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小・中学校の連携を図る特別支援教育の充実に向けて

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○ 中1生活・学習アンケートの対人関係に関する考察
《中学1年生の対人関係に関する意識》
 

学校生活にも慣れ、様々な活動にも取り組んだ1学期を振り返る時期にアンケートを実施し、気になる生徒とそれ以外の生徒(以下一般生徒)別に集計を行った。一般生徒の大部分は、中学校に入学して新たな友達を作りたい感じており[友達を増やすことへの意欲]([ ]内は質問項目)、それが中学校生活の楽しさにつながっている〈表-1_1及び1_2〉。また、友達づくりへの意欲が、いじめが少ないと感じていたり[いじめ]、みんなと一緒に遊ぶことがどちらかというと得意と思っていることと深く関連している生徒がいる〈表-1_1及び1_2〉。友達や周りの人とかかわる際に、自分の気持ちを落ちついて伝えたり[自分の気持ちを伝えること]、自分の言いたいことを相手に分かるように話したり[相手に分かるように話すこと]することに苦手さを感じている生徒がいる〈表-2_1及び2_2〉

先生ついては、厳しいと感じているが[厳しさ]、学級担任の先生が自分のことをよく理解してくれると感じている生徒もいる[担任からの理解]。担任から理解をされていると感じていることと、何か困ったときには先生に気軽に相談したい[担任への相談]と思うこととの間には、深い関連がある表-4_1及び4_2。つまり、担任に理解されていると感じるほど、いろいろと先生に相談をしたいと思っている。

気になる生徒においても、友達づくりに関することについては、一般生徒と同様の傾向がある表-1_1及び1_2ただ、友達や周りの人とかかわる際に、自分の気持ちを落ちついて伝えたり[自分の気持ちを伝えること]、自分の言いたいことを相手に分かるように話したり[相手に分かるように話すこと]することに苦手さを感じている生徒が多い〈表-2_1及び2_2〉さらに、自分の気持ちや考えを伝えることに苦手さがあり、友達と一緒に遊ぶことを苦手と感じている生徒が少なからずいる〈表-3_1及び3_2〉

先生ついても同様の傾向がある。ただ、話や説明を聞くことに苦手さを感じると、何か困ったときでも相談することに躊躇する生徒がいる表-4_1及び4_2

   
 
対人関係に関わる質問項目の関係性
   5件法によるアンケートを実施した後、回答結果を得点化(とても満足=2、まあまあ満足=1、どちらでもない=0、やや不満足=-1、とても不満足=-2、または、とても得意=2、まあまあ得意=1、どちらでもない=0、ちょっと苦手=-1、とても苦手=-2)し、対人関係に関する質問項目における相関を見てみると、以下のような関係性が見られた。また、2つの質問項目において、どちらの項目においても1つ以上のマイナス得点がある群を「不満足群」、どちらの項目においても1つ以上のプラス得点がある群を「満足群」とし、それぞれの内訳を調べた。

 

 
表-1_1 「友達を増やすことへの意欲」と高い相関を示す質問項目
 
 
表-1_2 「友達を増やすことへの意欲」と高い相関を示す質問項目の不満足群と満足群の内訳
 
   表-1_1の「友達を増やすことへの意欲」と高い相関を示す質問項目を見てみると、「中学校生活の楽しさ」や「いじめの有無」、「他者からの賞賛」、「みんなと一緒に遊ぶこと」があった。全ての質問項目において、表-1_2における不満足群に属する一般生徒は3%以下、気になる生徒では8%以下であった。一方、満足群に属する一般生徒は、「中学校生活の楽しさ」では68%、「いじめの有無」では34%、「他者からの賞賛」では38%、「みんなと一緒に遊ぶこと」では66%であった。同様に、気になる生徒においても高い割合を占めていた。一般生徒、気になる生徒とも、満足群に偏った相関にあることが分かる。このことから、上記にあげられた項目が友達を増やすことと深く関連していると考えられる。
   
   
 
表-2_1 「自分の気持ちを伝えること」と高い相関を示す質問項目
 
 
表-2_2 「自分の気持ちを伝えること」と高い相関を示す質問項目の不満足群と満足群の内訳
 
   表-2_1の「自分の気持ちを伝えること」と高い相関を示す質問項目を見てみると、「相手に分かるように話すこと」があり、一般生徒、気になる生徒ともとても高い相関係数を示した。表-2_2における不満足群に属する一般生徒は17%おり、気になる生徒では、40%を占めていた。気になる生徒においては、不満足群に偏った相関があることが分かる。このことから、一般生徒において、自分の気持ちや考えを相手に分かりやすく伝えることに苦手さを抱える生徒がおり、さらに、気になる生徒においてはその傾向が強いことが考えられる。
   
   
 
表-3_1 「相手に分かるように話すこと」と高い相関を示す質問項目
 
 
表-3_2 「相手に分かるように話すこと」と高い相関を示す質問項目の不満足群と満足群の内訳
 
   表-3_1の「相手に分かるように話すこと」と高い相関を示す質問項目を見てみると、「みんなと一緒に遊ぶこと」があり、気になる生徒においてはとても高い相関係数を示した。表-2_2における不満足群に属する気になる生徒では、16%を占めていた。
   
   
 
表-4_1 「気軽に相談」と高い相関を示す質問項目
 
 
表-4_2 「気軽に相談」と高い相関を示す質問項目の不満足群と満足群の内訳
 
   表-4_1の「気軽に相談(困ったことを先生に気軽できる)」と高い相関を示す質問項目を見てみると、「担任からの理解」や「教科別の指導者(多くの先生が教えてくれること)」、「教科別指導による効果」、「他者からの賞賛」「話や説明を聞くこと」があった。中でも、「担任からの理解」においては高い相関係数を示した。「担任からの理解」では、表-4_2の不満足群に属する一般生徒が13%、満足群が28%おり、やや満足群に偏った相関にあることが分かる。担任から理解されていることと気軽に担任に相談することには深い関係があると考えられる。「教科別の指導者」「教科別指導による効果」においても同様に傾向があると考えられる。ただ、どの項目においても10%前後の生徒が担任からあまり理解されていないと感じ、気軽に担任に相談できないと思っていることも考えられる。気になる生徒だけに該当するが、「気軽に相談」することと「話や説明を聞くこと」については、不満足群に偏った相関が見られる。
   

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最終更新日: 2010-03-23