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小・中学校の連携を図る特別支援教育の充実に向けて

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○ 小・中学校で共通して活用できる具体的支援
 1 「いつ」「だれが」「どこで」「どうした」という疑問詞を提示し、それに合わせて話をさせる

話す内容をうまく整理できない子どもに対して、「いつ」「だれが」「どこで」「どうした」という疑問詞をワークシートなどに整理し、それを手掛かりに話をできるようにする。

 2 読むところがはっきり分かるようにする

読み飛ばしをする子どもやどこを読むのか分からない子どもには、1行分だけ穴のあいた補助具を使う。子どもに合わせて、透過性の有無、色、大きさ等を工夫する。左の例は、教科書と同じ長さで、半透明にして前後の行に書いてあることが分かるようになっている。右の例は名刺サイズで携帯にも便利である。

 3 文字を拡大し、漢字にはふり仮名を付ける

教科書の文字が小さくて読みづらい子ども、文節を意識して読むことが難しい子ども、漢字の読みが困難で文章の理解が難しい子どもに効果的な支援である。文字を拡大し、行間も広くとり、分かち書きをする。読めない漢字にはふり仮名を付ける。読み間違いの多い文字には、意識できるよう印(シール等)を付けて読みやすくする。

 4 教室前面の掲示物を必要最少限にし、すっきりさせる

視覚情報が多すぎるとそれらに気をとられ、注意を向けなければならないところに注意が向けられないことがある。これは、必要なことに注意を向けられるようにするための支援である。教室前方の黒板とその周りには、その日の時間割や1週間の予定表など必要最少限の掲示物だけにする。また、子どもの作品などの掲示物は教室後方などに掲示する。

 5 掃除場所が視覚的に分かるようにする

どこを掃除していいのかが分からない子どもに対しての支援である。ぞうきんがけをするときのコースをテープで示す(左)。ほうきで掃いたゴミを最後に集める場所をテープで囲む(右)。

 6 線を引くときに定規がずれないようにする

定規がずれてしまうため、まっすぐ線を引くのが難しい子どもに対しては、ブルタックを使って定規を固定する。使い方は、定規の裏に米粒大のブルタックをはり、固定するだけ。ブルタックは何にでもくっつき、後を残さず何度でも繰り返し使うことができる。

 7 180°を超える角度を測る

全円分度器

CONCISE

180度を超える角度を通常の分度器で測ることが難しい場合には、製図用全円分度器を使う。分度器の使い方の手順書を一緒に渡すのもよい。

 8 サークル定規を使って円を描く

サークル定規

株式会社フジコロナ

なかなかコンパスをうまく使えない子どもに対して、サークル定規を使う。シャープペンシルやサインペンを穴にさして、くるっと回すだけで円を描くことができる。中心位置は拡大レンズになっており、円の中心が見やすくなっている。

 9 引き出しの中に何が入っているのか、文字と写真で示す

引き出しの中に何が入っているのか、文字だけでなく、写真も添えると、名前を知らなくても片付けることができる。また、自主的に準備をすることができる。

 10 テストの文章にふり仮名を付ける
 

左のように、テストの問題用紙にある漢字にふり仮名を付ける。こうすることで、漢字の読みが苦手な子どもも、テスト問題に向き合うことができ、学習内容の理解の状況を把握することができる。

左のような問題では、解答用紙を別にしないで、答えをそのまま空欄に記入できるようにする。

11 問題文と解答欄を近付ける

 解答用紙を別にしないで、それぞれの問題の近くに解答欄を用意する。解答する場所を見つけにくい子どもにとっての支援であるが、多くの子どもが答えやすくなると思われる。
 12 プリント1枚の問題の量を調節する
 教科書等で1ページにたくさんの問題が書かれている場合、たくさんの問題があることで、どの問題を解いてよいか分からない子どもやすべての問題が終わるまで長時間集中できない子どもがいる。数問を抜き出して、1枚のプリントにすると、少しずつ確認ができ、子どもの満足感にもつながる。長時間、じっとしておくことができない子どもにとっては、先生に見せるために席を離れて移動する機会を設定することにもなる。
 13 書かかせる量を調節する@

書くことが苦手な子どもが漢字を練習する際に、みんなと同じ量(左の例の1ページ全部)を書かせるのではなく、書く力に合わせて課題の量を調節する。(例では、太枠の中を書き終わることを本人の目標とさせる。)

書き取ることが苦手な子どもに対しては、なぞる課題にしたり、覚える文字数を減らしたりする等、子どもが今できていることを十分に把握した上で、本人の負担が重くなりすぎないように配慮する。

  14 書かかせる量を調節するA
 書くことが苦手な子どもが時間割を連絡帳などに書き写す際、書き方を簡略化するなどして書く量を調節する。
 15 書くことの目標をもたせる
 書くことに抵抗感のある子どもに、目標をもってもらうために、達成階段を用い、できたことを確認させる。 ただし、書くことに苦手さがある子どもには、がんばっても達成できない階段は苦痛になる恐れがある。書字の力には問題はないが、書くことに抵抗感をもっている子どもには効果が期待できる。
 16 漢字をゲーム形式にして覚えることができるようにする
  漢字を書いた用紙を切ってばらばらにした後、パズルの要領で組み合わせてゲーム感覚で漢字の形や読みを覚える。

覚えた漢字を書くことができる子どもには、漢字プリントを用意して、覚えた漢字を書いて確認ができるようにする。

 17 スケジュールの変更が苦手な子ども用のスケジュール表をつくる
 スケジュールの変更が苦手な子どものために、変更したことが分かるスケジュール表を用意する。左の例は、朝の時間と授業のみの提示になっているが、子どもの状態に応じて、昼休み、給食(弁当)、掃除の時間を入れてもよい。子どもの実態を考慮してつくるとよい。近くに置いたり、机の横に掛けるようにしたりして、常に確認ができるようにする。

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最終更新日: 2010-03-23