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小・中学校の連携を図る特別支援教育の充実に向けて

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○ 中1生活・学習アンケートの生活面に関する考察
《中学1年生の生活面に対する意識》

 

  学校生活にも慣れ、様々な活動にも取り組んだ1学期を振り返る時期にアンケートを実施し、気になる生徒とそれ以外の生徒(以下、一般生徒)別に集計を行った。一般生徒の大部分は、学校生活に何らかの楽しみを感じながら生活を送っており[中学校生活の楽しさ]([ ]内は質問項目)、それが学校行事への参加意欲や友達づくりへの意欲、登校意欲などにつながっている〈表-1_1及び1_2〉。ただ、中学校生活に緊張や疲れを感じている生徒もおり[学校生活における緊張や疲れ]、その疲れを帰宅してから感じている生徒がいる[帰宅後の疲れ]〈表-2_1及び2_2〉。中には、腹痛や頭痛などの体調の不良を感じ[体調]、学校に行きたくないと思ったことがある生徒もいる〈表-3_1及び3_2〉。

家庭生活においては、帰宅後の自由な時間が少ないと感じており[帰宅後の自由時間]、学校生活の中で緊張や疲れを感じることと深く関連している生徒がいる表-4_1及び4_2〉。また、家庭では、家族から「勉強しなさい[家族からの声掛け」「もう中学生だから[家族からの期待]」と声を掛けられることに負担を感じている生徒がいる〈表-5_1及び5_2〉。

気になる生徒においては、学校生活に楽しみを感じているが、楽しみを感じることができない生徒がいる[中学校生活の楽しさ]。楽しみを感じることができずにいることが、学習意欲や友達づくりへの意欲、登校意欲などと関係している〈表-1_1及び1_2〉。部活動の楽しみを感じることができなかったり[部活動の楽しさ]、頭痛や腹痛が増えたり[体調]したことで、学校へ行きたくないと感じる生徒がいる〈表-3_1及び3_2〉。

   
 
中学校での生活に関わる質問項目の関係性
   5件法によるアンケートを実施した後、回答結果を得点化(とても満足=2、まあまあ満足=1、どちらでもない=0、やや不満足=-1、とても不満足=-2、または、とても得意=2、まあまあ得意=1、どちらでもない=0、ちょっと苦手=-1、とても苦手=-2)し、生活に関する質問項目における相関を見てみると、以下のような関係性が見られた。ここでは、質問項目間の相関係数が0.3以上の場合について、「高い相関を示す質問項目」として取り上げている。また、2つの質問項目において、どちらの項目においても1つ以上のマイナス得点がある群を「不満足群」、どちらの項目においても1つ以上のプラス得点がある群を「満足群」とし、それぞれの内訳を調べた。
   
 
表-1_1 「中学校生活の楽しさ」と高い相関を示す質問項目
 
 
表-1_2 「中学校生活の楽しさ」と高い相関を示す質問項目の不満足群と満足群の内訳
 
    表-1_1の「中学校生活の楽しさ」と高い相関を示す質問項目を見てみると、全生徒の回答集計において0.3以上の相関係数を示すものが10項目あった。表-1_2の「不満足群」と「満足群」の内訳を見てみると、一般生徒においては、不満足群がほぼ5%以下であり、満足群に40%以上の生徒が含まれていた。このことから、満足群に偏った相関があると考えられる。一般生徒にとっては、上記にあがっている項目が中学校生活の楽しさとの深く関係していることが分かる。一方、気になる生徒においては、10%を超える生徒が不満足群に属し、満足群の生徒も30%前後を占めていた。
   
   
 
表-2_1 「学校生活における疲れや緊張」と高い相関を示す質問項目
 
 
表-2_2 「学校生活における疲れや緊張」と高い相関を示す質問項目の不満足群と満足群の内訳
 
    表-2_1の「学校生活における疲れや緊張」と高い相関を示す質問項目を見てみると、「テスト」と「帰宅後の疲れ」があった。「テスト」においては、一般生徒の相関係数は0.23と弱い相関であるが、表-2_2の「不満足群」と「満足群」の内訳を見てみると、48%が不満足群に属していた。また、気になる生徒においては、61%が不満足群に属していた。このことから、不満足群に偏った相関があると考えられる。

「帰宅後の疲れ」においては、一般生徒では50%、気になる生徒では59%が不満足群に属していた。不満足群に偏った相関があることが分かる。

   
   
 
表-3_1 「学校への登校意欲」と高い相関を示す質問項目
 
 
表-3_2 「学校への登校意欲」と高い相関を示す質問項目の不満足群と満足群の内訳
 
   表-3_1の「学校への登校意欲」と高い相関を示す質問項目を見てみると、前述の「中学校生活の楽しみ」と「部活動の楽しみ」と「体調」があった。「部活動の楽しみ」においては、一般生徒では、表-3_2の不満足群に属する生徒が8%、満足群に属する生徒が34%いた。気になる生徒においては、不満足群が21%いた。一方、中学校生活になって頭痛や腹痛が増えたかと聞いた「体調」においては、一般生徒では14%、気になる生徒では27%が、不満足群に属していた。体調が悪くなり登校への意欲が下がっている生徒が少なからずいることが分かる。
   
   
 
表-4_1 「帰宅後の自由時間」と高い相関を示す質問項目
 
 
表-4_2 「帰宅後の自由時間」と高い相関を示す質問項目の不満足群と満足群の内訳
 
   表-4_1の「帰宅後の自由時間」と高い相関を示す質問項目を見てみると、「帰宅後の疲れ」があった。一般生徒では、表-4_2の不満足群に属する生徒が61%、満足群に属する生徒が4%いた。気になる生徒においては、不満足群が64%いた。不満足群に偏った相関があることが分かる。このことから、帰宅後に疲れ感じることが多くあり、十分な自由時間がない状況にあることと考えられる。
   
   
 
表-5_1 「家族からの声かけに対する負担」と高い相関を示す質問項目
 
 
表-5_2 「家族からの声かけに対する負担」と高い相関を示す質問項目の不満足群と満足群の内訳
 
   表-5_1の「家族からの声かけに対する負担(勉強しなさいという声かけ)」と高い相関を示す質問項目を見てみると、「家族からの期待(もう中学生だからと言われること)」があった。「家族からの期待」においては、一般生徒では、表-5_2の不満足群に属する生徒が25%、満足群に属する生徒が15%いた。気になる生徒においては、不満足群が26%いた。このことから、「勉強しなさい」「もう中学生だから」と言われるような家族のかかわりに負担を感じる生徒がいることが考えられる。
   

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最終更新日: 2010-03-23