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小・中学校の連携を図る特別支援教育の充実に向けて

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○ 中1生活・学習アンケートの学習面に関する考察

《中学1年生の学習面に関する意識》
    学校生活にも慣れ、様々な活動にも取り組んだ1学期を振り返る時期にアンケートを実施し、気になる生徒とそれ以外の生徒(以下、一般生徒)別に集計を行った。一般生徒においては、中学校に入学して勉強するように努力をしている生徒が、半数以上いる[勉強への努力]。この勉強への努力は、教科によって先生が替わることで学習の理解が深まると感じていたり、話や説明を聞くことがどちらかというと得意と思っていたりすることと深く関連している〈表-1_1及び1_2〉。ただ、授業の進み方が速く学習についていけないと感じている生徒がおり[学習の進度]、中学校でのテストが大変と感じること[テスト]と深く関連している〈表-2_1及び2_2〉。さらに、テストが大変と感じ、高校受験や受験勉強のことを不安に思っている生徒が、半数以上いる表-3_1及び3_2〉。

学習する際の得意なこと・苦手なことでは、多くが得意・苦手がなかったり、どちらかというと得意であったりするが、12の活動ほとんどにおいて、苦手さを抱えている生徒が1割以上いる〈得意なこと・苦手なことの集約参照〉。授業中に先生の話や説明を聞くこと[話や説明を聞くこと]、人から聞いたことや頼まれたことをしっかりと覚えておくこと[聞いたことを覚えておくこと]、教科書などの文章を読むこと[文章を読むこと]、文章を読んで問題に答えること[読んで答えること]は、12の活動と関連がある。つまり、これからの活動が学習する上で重要な要素になっている表-4。また、この4つの活動は、それぞれに深い関連がある。

気になる生徒においても、中学校に入学して勉強するように努力をしている生徒が半数近くいる。勉強への努力については、一般生徒と同様の傾向がある。〈表-1_1及び1_2〉。

学習する際の得意なこと・苦手なことでは、12の活動ほとんどにおいて、苦手さを抱えている生徒が3割以上いる。特に、文章を読んで問題に答えること[文書を読んで答えること]、いやなときに自分の気持ちを伝えること[気持ちを伝えること]、自分の言いたいことを相手に分かるように話すこと[相手には分かるように話すこと]、[数の計算をすること]、[図形の勉強をすること]が苦手な生徒が半数いる〈得意なこと・苦手なことの集約参照〉。一般生徒同様に、[話や説明を聞くこと][聞いたことを覚えておくこと[文章を読むこと][読んで答えること]はそれぞれに深い関連があり、苦手と感じている傾向にある。表-7_1及び7_2〉〈表-8_1及び8_2〉〈表-9_1及び9_2〉〈表-10_1及び10_2

   
学習に関する質問項目に見られる関係性
    5件法によるアンケートを実施した後、回答結果を得点化(とても満足=2、まあまあ満足=1、どちらでもない=0、やや不満足=-1、とても不満足=-2、または、とても得意=2、まあまあ得意=1、どちらでもない=0、ちょっと苦手=-1、とても苦手=-2)し、学習に関する質問項目における相関を見てみると、以下のような関係性が見られた。 ここでは、質問項目間の相関係数が0.3以上の場合について、「高い相関を示す質問項目」として取り上げている。 また、2つの質問項目において、どちらの項目においても1つ以上のマイナス得点がある群を「不満足群」、どちらの項目においても1つ以上のプラス得点がある群を「満足群」とし、それぞれの内訳を調べた。

 

 
表-1_1 「勉強への努力」と高い相関を示す活動
 
 
表-1_2 「勉強への努力」と高い相関を示す活動の不満足群と満足群の内訳
 
   表-1_1の「勉強への努力」と高い相関を示す質問項目を見てみると、「中学校生活の楽しさ」や「教科別指導による効果」、「話や説明を聞くこと」があった。すべての質問項目において、表-1_2における不満足群に属する一般生徒は4%以下、気になる生徒では14%以下であった。一方、満足群に属する一般生徒は、「中学校生活の楽しさ」では55%、「教科別指導による効果」では44%、「話や説明を聞くこと」では26%であった。気になる生徒においても「中学校生活の楽しさ」「教科別の指導による効果」では満足群が30%を超えていた。一般生徒、気になる生徒とも、満足群に偏った相関にあることが分かる。このことから、上記にあげられた項目が勉強への努力と深く関連していると考えられる。
   
   
 
表-2_1 「学習の進度」と高い相関を示す活動
 
 
表-2_2 「学習の進度」と高い相関を示す活動の不満足群と満足群の内訳
 
   表-2_1の「学習の進度」と高い相関を示す質問項目を見てみると、「テスト(テストが大変)」があった。「テスト」において、表-2_2における不満足群に属する一般生徒は22%、満足群に属する生徒が9%いた。やや不満足群に偏った相関になることが分かる。学習の進み具合が速いと感じることとテストの負担が深く関係していると考えられる。また、気になる生徒において、「体調(頭痛や腹痛の増加)」が高い相関を示していた。学習の進度と頭痛や腹痛の増加との間に関連があると考えられる。
   
   
 
表-3_1 「テスト」と高い相関を示す活動
 
 
表-3_2 「テスト」と高い相関を示す活動の不満足群と満足群の内訳
 
   表-3_1の「テスト」と高い相関を示す質問項目を見てみると、「受験」があった。「受験」において、表-3_2における不満足群に属する一般生徒は53%、満足群に属する生徒が4%いた。気になる生徒では、不満足群が不満足群が60%、満足群が4%であった。不満足群に偏った相関にあることが分かる。テストを大変に思うことと受験への不安には、深い関連があると考えられる。
   
   
《得意なこと・苦手なこと》に見られる関係性
    学習する際に必要となる12の活動について5件法(とても得意・まあまあ得意・どちらでもない・ちょっと苦手・とても苦手)によるアンケートを実施した。その後、回答結果を得点化(とても得意=2、まあまあ得意=1、どちらでもない=0、ちょっと苦手=-1、とても苦手=-2)し、12の活動における相関を見てみると、以下のような関係性が見られた。

表-4において、高い相関係数を示すものにおいて、それぞれの活動との関係を、生徒全体と一般生徒、気になる生徒別に集計し、学習面に見られる生徒の意識を把握することにした。

 
表−4 得意なこと・苦手なことに見られる相関(生徒全体)
 
 
〔相関係数が0.3以上を太字、0.25以上を標準、0.2以上を斜体で表記〕
   
 
表-5_1 「字を書くこと」と高い相関を示す活動
 
 
表-5_2 「字を書くこと」と高い相関を示す活動の不満足群と満足群の内訳
 
   表-5_1の「字を書くこと」ととても高い相関を示す質問項目を見てみると、「写すこと」があった。「写すこと」では、表-5_2における不満足群に属する一般生徒は6%、気になる生徒では21%であった。一方、満足群に属する一般生徒では34%、気になる生徒では26%であった。一般生徒においては、満足群に偏った相関にあることが分かる。また、気になる生徒のみに高い相関を示す質問項目が「読んで答えること」「相手に分かるように話すこと」「座っていること」があった。中でも、「読んで答えること」「相手に分かること」においては、25%が不満足群に属していた。気になる生徒においては、「写すこと」「読んで答えること」「相手に分かること」で、やや不満足群に偏った相関にあることが分かる。
   
   
 
表-6_1 「写すこと」と高い相関を示す活動
 
 
表-6_2 「写すこと」と高い相関を示す活動の不満足群と満足群の内訳
 
   表-6_1の「写すこと」と高い相関を示す質問項目を見てみると、前述の「字を書くこと」と「話や説明を聞くこと」、「座っていること」があった。「話や説明を聞くこと」では、表-6_2における不満足群に属する一般生徒は5%、気になる生徒では19%であった。一方、満足群に属する一般生徒では24%、気になる生徒では13%であった。一般生徒においては満足群に偏った、気になる生徒では不満足群に偏った相関にあることが分かる。また、「座っていること」では、表-6_2における不満足群に属する一般生徒は3%、満足群に属する一般生徒では36%であった。一般生徒においては満足群に偏った相関にあることが分かる。
   
   
 
表-7_1 「話や説明を聞くこと」と高い相関を示す活動
 
 
表-7_2 「話や説明を聞くこと」と高い相関を示す活動の不満足群と満足群の内訳
 
   表-7_1の「話や説明を聞くこと」と高い相関を示す質問項目を見てみると、前述の「写すこと」と「聞いたことを覚えておくこと」「文章を読むこと」「読んで答えること」「座っていること」があった。「話や説明を聞くこと」では、表-7_2における不満足群に属する一般生徒は13%、満足群に属する一般生徒では17%であった。一般生徒においては満足群にやや偏った相関にあることが分かる。また、「文章を読むこと」では、表-7_2における不満足群に属する一般生徒は8%、満足群に属する一般生徒では19%であった。一般生徒においては満足群にやや偏った相関にあることが分かる。「読んで答えること」では、不満足群に属する一般生徒は13%、満足群に属する一般生徒では12%であった。上にあげた質問項目では、満足群に属する割合が20%に満たない項目が多く、逆に不満足群が10%前後の割合を占めていることが分かる。
   
   
 
表-8_1 「聞いたことを覚えておくこと」と高い相関を示す活動
 
 
表-8_2 「聞いたことを覚えておくこと」と高い相関を示す活動の不満足群と満足群の内訳
 
   表-8_1の「聞いたことを覚えておくこと」と高い相関を示す質問項目を見てみると、前述の「話や説明を聞くこと」と「文章を読むこと」「読んで答えること」「相手に分かるように話すこと」があった。「文章を読むこと」では、表-8_2における不満足群に属する一般生徒は11%、気になる生徒は24%、満足群に属する一般生徒では18%、気になる生徒は9%であった。一般生徒においては満足群にやや偏った、気になる生徒にとっては不満足群に偏った相関にあることが分かる。また、「読んで答えること」では、表-8_2における不満足群に属する一般生徒は19%、気になる生徒では30%、満足群に属する一般生徒では11%、気になる生徒では7%であった。一般生徒、気になる生徒とも不満足群に偏った相関にあることが分かる。「相手に分かるように話すこと」では、不満足群に属する一般生徒は16%、気になる生徒では32%、満足群に属する一般生徒では12%、気になる生徒では10%であった。上にあげた質問項目では、満足群よりも不満足群に属する割合が多くなっており、これらの活動において苦手さを抱えていると考えられる。
   
   
 
表-9_1 「文章を読むこと」と高い相関を示す活動
 
 
表-9_2 「文章を読むこと」と高い相関を示す活動の不満足群と満足群の内訳
 
   表-9_1の「文章を読むこと」と高い相関を示す質問項目を見てみると、前述の「聞いたことを覚えておくこと」と「読んで答えること」「座っていること」があった。「読んで答えること」では、表-9_2における不満足群に属する一般生徒は18%、気になる生徒は37%、満足群に属する一般生徒では16%、気になる生徒は11%であった。一般生徒においてはやや不満足群にやや偏った、気になる生徒にとっては不満足群に偏った相関にあることが分かる。また、「座っていること」では、表-8_2における不満足群に属する一般生徒は4%、気になる生徒では14%、満足群に属する一般生徒では29%、気になる生徒では14%であった。一般生徒においては、満足群に偏った相関にあることが分かる。
   
   
 
表-10_1 「読んで答えること」と高い相関を示す活動
 
 
表-10_2 「読んで答えること」と高い相関を示す活動の不満足群と満足群の内訳
 
  表-10_1の「読んで答えること」と高い相関を示す質問項目を見てみると、一般生徒では前述であげた活動以外にはないが、気になる生徒では、前述の「文章を読むこと」、「相手に分かるように話すこと」「座っていること」があった。「相手に分かるように話すこと」では、表-8_2における不満足群に属する気になる生徒は33%、満足群に属する気になる生徒は8%であった。気になる生徒にとっては不満足群に偏った相関にあることが分かる。また、「座っていること」では、気になる生徒で不満足群に属する生徒は17%、満足群に属する生徒は10%であった。気になる生徒では、不満足群に偏った相関にあることが分かる。
   
   
 
表-11_1 「自分の気持ちを伝えること」と高い相関を示す活動
 
 
表-11_2 「自分の気持ちを伝えること」と高い相関を示す活動の不満足群と満足群の内訳
 
    表-11_1の「自分の気持ちを伝えること」と高い相関を示す質問項目を見てみると、「相手に分かるように話すこと」があり、一般生徒、気になる生徒ともとても高い相関係数を示した。表-11_2における不満足群に属する一般生徒は17%おり、気になる生徒では、40%を占めていた。気になる生徒においては、不満足群に偏った相関があることが分かる。このことから、一般生徒において、自分の気持ちや考えを相手に分かりやすく伝えることに苦手さを抱える生徒がおり、さらに、気になる生徒においてはその傾向が強いことが考えられる。
   
   
 
表-12_1 「相手に分かるように話すこと」と高い相関を示す活動
 
 
表-12_2 「相手に分かるように話すこと」と高い相関を示す活動の不満足群と満足群の内訳
 
    表-12_1の「相手に分かるように話すこと」と高い相関を示す質問項目を見てみると、前述の「聞いたことを覚えておくこと」「読んで答えること」「自分の気持ちを伝えること」と「みんなと一緒に遊ぶことこと」があり、気になる生徒において高い相関係数を示した。表-12_2における気になる生徒で不満足群に属する生徒は16%、満足群に属する生徒が、16%いた。
   
   
   

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最終更新日: 2010-03-23