佐賀県の中学1年生の実態として、平成21年度佐賀県小・中学校学習状況調査の結果から「読むこと」、「書くこと」、「言語事項」の2領域1事項に課題が見られました。その中でも特に「書くこと」では、「目的や意図に応じて、必要な情報を選択したり整理したりして書く」こと、「目的や意図に応じて、伝えたい事柄が相手に明確に伝わるように書く」ことに課題が見られます。
中学校入学時からこれまでの学習において生徒は、「分かりやすく書こう」で相手や目的に応じたいくつかの表現技法を、「根拠を示して書こう」で自分の意見を文章に書いて伝える際に根拠を明らかにして書くことを学んできています。しかし、経験が少ないために、学んだことを生かして、相手や目的に応じて書く形式を適切に選択したり、表現の工夫をしたりして書くまでには至っていません。この課題を克服するためには、目的や相手、場面を設定し、それに応じた表現の工夫をして書く指導が有効だと考えられます。その際に、文学作品を教材の一つとして取り上げ、読むこととの関連を図った指導を行うことによって、表現の特徴や工夫に着目するようになれば、作品に対して自分の考えをもつこともできると思われます。
そこで本単元では、文学的な文章(教科書教材)の一部を、視点を変えて脚本の形に書きかえる言語活動を位置付けます。相手や目的に応じて必要な情報を選択し、伝えたい事柄が相手に明確に伝わるように表現を工夫して書くことを経験させ、言語活動を通して課題の克服を目指します。 |