事例に見るブリーフセラピー

 ここでは,具体的な相談の中での,ブリーフセラピーの技法を用いたやりとりの一部分を紹介します.。ここに載せているものは,時間にするとごくわずかなものです。しかし,この短いやりとりによって,子どもや保護者が元気になったり,自ら目標を定めることにつながったりしたケースです。

 ここでは,一方的に不満をぶつける子どもや,自分を表現することが極端に苦手な子どもなどの事例を挙げています。このような子どもは、学校内カウンセリングの対象にはなりにくいかもしれません。しかし,ブリーフセラピーの考え方を生かしたかかわりで、アプローチの方向が見えてくることがあります。


★ かかわりがちょっと難しい子どもへのブリーフセラピー

 教師の困り感に挙げた,「マイナス面に目が行く」「原因探しに終始する」「保護者と教師の思いがずれる」という傾向に,このようなかかわり方はどうでしょうか。

★ 教師の困り感にブリーフセラピー


★ ブリーフセラピー活用例

ブリーフセラピーの技法の使い方が,はっきりとしていてわかりやすい事例です。

子ども(保護者)の様子 用いた技法
1 集団不適応:周囲への不満を頻繁に訴える。偏ったものの見方をしがち。
リソース探し
称賛
1 不登校:周囲への不信感が強く自分を素直に表現できない。攻撃的な言動が目立つ
例外探し
称賛
1 不登校:口数が少なく,かかわりをもつのが難しい。
リソース探し
称賛
子ども(保護者)の様子 用いた技法
1 集団不適応の子どもの保護者:養育態度のことで,自分を責めている。
称賛
コーピングクエスチョン
1 集団不適応:周囲と同じ活動に参加できない。それがなぜだか,自分でも理由がわからず困っている。
リフレーミング
コーピングクエスチョン
1 不登校傾向の子どもの保護者:子どもの現状が受け入れがたく,しきりに原因探しをする。
リフレーミング
外在化
集団不適応の子どもの保護者:子どもの状況把握に関して,学校側とのずれを感じている。
リフレーミング
子ども(保護者)の様子 用いた技法
1 不登校:学校に行きたくても行けないことをとても気にしている。
例外探し
リソース探し
1 引きこもりがち:自分を変えたいが,一歩が踏み出せずにいる。
ゴールの設定
1 不登校の子どもの保護者:子どもの様子に変化が見られず焦っている。
スケーリングクエスチョン
1 集団不適応:注意散漫なため,失敗が多い。そのためしっ責を受けやすい。
ミラクルクエスチョン