M…保護者  T…教師

★ 教師の困り感にブリーフセラピー〜原因探し

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不登校傾向の子どもの保護者:子どもの現状が受け入れがたく,しきりに原因探しをする。        

◎ 保護者の様子とねらい

 子どもの行動の裏に何か理由があるはずだとしきりに原因を探す保護者(教師の困り感と同じ)。不安が強かったので,保護者の思いを全面的に受容するスタンスでカウンセリングを進めた。しかし,原因探しの傾向は変わらず,原因がわからないことで更に保護者がいらだち,子どもへの接し方に影響が及ぶことも懸念された

そこで

◎ 実践

「リフレーミング」で,子どもの行動をとらえ直し,「泣くけれど休まない」ということに気付いてもらうようにする。
その後「外在化」で,問題やその原因を子どもから切り離すことを試みる
 リフレーミングへの反応はよく,「学校を休むつもりはない」こいうことに,すぐに気付いてもらえた。「外在化」では,答えやすいように,「○○鬼」という例を出してみた。子どもの今の状態を客観的にとらえてもらえたように思う。
 それまで,「なぜだかわからないから,どうしていいかもわからない。」と幾度も口にしていたが,最後には,前の晩に子どもとかかわってみることを,自わから提案。明るい表情だった。後日の面談では,ゆっくり構えて子どもとかかわるうちに,子どもが落ち着いたとの嬉しい報告があった。

◎ 考察

M:  なんで朝,ぐずるのか,全く理由がわからない。いくら聞いても,泣くばかりで,本当に困っています。前は,こんなことなかったのに,いったいどうしてこうなっちゃったんでしょう… 
T: ずっと泣き続けるのですか?
M: 私が仕事に行く時間になると,あきらめたような感じで一緒に出て行きます。それなら,なんで初めっから泣かずに行かないんだって,腹が立ってしかたないんです。 
T: ほー。すごい。自分で気持ちを切り替えて,学校に行くんですね。そのまま休んでしまうことはないんですね。 
M: まあ,そうですね。ええ,言われてみれば。休みまではしませんね。学校を休むつもりはなさそうなんですよね。だったらどうして泣くんでしょうかね…
T: 子どもさんを泣かせているのは,何でしょう?「○○鬼」みたいな言い方だと?

M:

ああー。「さぼり鬼」かな…ちがう,さぼりはしないか…「甘え鬼」ですかねえ。甘えたいんでしょうね。
T: どのようにしたら,その「甘え鬼」は出ていくのでしょうね。
M: そうですね…泣いてるのにかまってやったらいいんでしょうね。でも,朝は余裕がなくて…前の晩,泣かないおまじないでもしようかな…