M…保護者  T…教師

★ 教師の困り感にブリーフセラピー〜マイナス面に目が行く

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集団不適応の子どもの保護者:養育態度のことで,自分を責めている。

★ 保護者の様子とねらい

子どもができないことを話した後,必ず,「私のせいなんです。」と表情を曇らせる保護者。その後には,自分自身ができないこと,自分自身に足りないことを,うつむきながら話す。特に,以前,家庭環境が落ち着かない時期があったことを,気にしている。しかし,忙しい仕事の合間に,子どもとかかわろうと努力している。

そこで

 保護者の思いや努力が,子どもの様子に反映しにくいケースで,保護者は,自分自身のマイナス面ばかりに目が行き,すっかり自信をなくしていた。しかし,このやりとりの後,「このやり方で,いいんですね。」と言い,うなずいた。その後も,「例外探し」と「リソース探し」で,かかわり方や,子どものもついいことろを確認することができた。
 子どもの変容が見えにくいケースであるので,保護者を支えることが重要だと考えられる。今後も,ブリーフセラピーの技法を用いて,一歩進んだ状態が常にイメージできるようなかかわりを心かけたい。

★ 考察

「例外探し」で,うまくいったかかわりを見付け,自信の回復を図る。
「コーピングクエスチョン」で保護者のかかわりのよさや,かかわろうとする努力を認める。

★ 実践

M:  私とじゃだめだけど,主人となら,宿題も言われたとおりちゃんとするんです。だから,「おまえの育て方が悪いんだ」って言われます。そのとおりなんですよ。私のせいなんです。 
T: お母さんと一緒だと,うまくいきませんか?
M: まじめにやりません。ふざけたり,途中で投げ出したりします。 
T: いつもそうなんですか?最後までできない?できるときはありませんか? 
M: 何とか最後までさせてます。時間がかかって大変ですけど…
T: 大変でしょう。最後までやる子どもさんもすごいけど,お母さんもすごいですね。どんなふうに努力されてるんですか?

M:

計算の日は大丈夫なので,そばで見てます。漢字の練習は大嫌いで,ドリルを見ようともしません。乗物の載った図鑑が好きなので,その本の中から,書ける漢字を探して書いてます。
T: 子どもさんのことをよく見てかかわっていらっしゃるんですね。