国語科授業の「あったらいいな!」を形にします。

 授業展開案5  〜授業づくりの基本構想に基づく実践の提案〜  (「読むこと」の指導)
単元名 
  描写に注意して読もう
教材名(出典)
  教材1 「走れメロス」(光村図書「国語2」・東京書籍「新しい国語2」)
教材2 「視点を変えて書こう」(光村図書「国語2」)

 ※教材2は、「ジャンルを変えて書き換えよう」(東京書籍「新しい国語2」)でも同じように授業を組み立てる
    ことが可能です。

生徒の実態と指導のねらい
   佐賀県の生徒の実態として、「読むこと」では、特に「文章の展開や表現を手掛かりにして登場人物の心情を読み取ること」に課題があって、生徒が文学的な文章の読み取りに苦手意識をもつ一因となっています。また「書くこと」では「相手に読みやすく分かりやすい文章にすること」に課題があり、表現を工夫して書くことができていない現状があることが分かります。そこで本単元では、表現の特徴や工夫について評価し、感想を交流する「意見交流会」を言語活動として位置付け、描写に注目して表現の仕方や登場人物の心情を読み取る力を身に付けさせることをねらいとします。そして、作品の空白部分に気付かせ、その部分を登場人物になりきって書かせる活動を行うことで、登場人物の人物像や心情についての読みを深めさせ、作者の表現の特徴や工夫について確認させます。
学習内容の系統性
 
言語活動について
   本単元では、詩歌や物語などを読み、内容や表現の仕方について感想を交換する(第2学年「C読むこと」(2)ア)活動としての「意見交流会」を言語活動として設定します。作者の表現の特徴や工夫について考えることで描写への意識を高め、登場人物の心情や人物像に迫る力を身に付けることができると考えます。さらに、
  @作品の描写に注目し表現の特徴や工夫に気付く。
  Aあらすじをまとめ作品の空白部分に気付く。
  B描写の効果や登場人物の言動の意味を考える。
というスモールステップによる学習活動を取り入れ、知識・技能の習得を行います。そして、その学習活動の中で身に付けた知識・技能を使い、作者の表現の特徴を利用して、作品の空白部分を想像し、登場人物になりきって創作する活動を行うことで身に付けた知識・技能の定着を目指します。
単元の指導目標
(1)
描写の効果や登場人物の言動の意味を考えさせ、登場人物の心情を読み取ることができるようにする。
(2)
文章表現の仕方や登場人物の人物像などについて自分なりの考えをもつことができるようにする。
単元の評価規準
ア 国語への関心・意欲・ 態度
1 文章の描写から表現の特徴や登場人物の心情を読み取ろうとしている。
  【C 読むこと(1)イ】
イ 書く能力 1 意見や心情が相手に効果的に伝わるように描写を工夫して書いている。 
  【B 書くこと(1)ウ】
ウ 読む能力 1 抽象的な概念を表す語句や心情を表す語句などに注意して読んでいる。
  【C 読むこと(1)ア】
2 文章の描写の効果や登場人物の言動の意味などを考え、内容を理解している。
  【C 読むこと(1)イ】
3 文章に表れているものの見方や考え方について、自分の考えをもっている。
  【C 読むこと(1)エ】
エ 言語についての知識・理解・技能 1 相手や目的に応じて文章の形態や文章表現に違いがあることを理解している。
  【伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項イ(オ)】
単元の計画(全8時間)
主な学習活動
指導上の留意点
指導計画
ワークシート
1 作者に関する情報や資料から、作品に対する興味をもつ。

2 学習目標を設定し、学習計画を立てる。
○太宰治について知ることで、その作品にも興味をもつような資料を提示する。


○学習の流れを生徒が把握できるよう配慮する。
○難語句や読めない漢字についても確認をしておく。
指導計画1/8
学習計画表
ワークシート@

3 教材1「走れメロス」の全文を通読し、初発の感想をもつ。
○教材1を読ませ、初発の感想と人物関係図を書かせる。
○表現の仕方や登場人物の人物像について自分の考えがもてるように感想の書かせ方を工夫する。
指導計画2/8
学習計画表
教材1CD
ワークシートA
4 物語のあらすじをとらえる。

 

○登場人物の把握、おおまかな場面分けの後、登場人物の言動に注目させて出来事をとらえさせる。
指導計画3/8
学習計画表
ワークシートA
ワークシートB
5 あらすじをまとめ、文章の描写の効果や登場人物の言動の意味を考える。 ○とらえた出来事を時系列にまとめたワークシートを使ってあらすじを簡単にまとめさせ、物語に書かれていない空白部分があることに気付かせる。 指導計画4/8
学習計画表
ワークシートB
6 描写に着目して、表現の特徴を見付け、考えをまとめる。

○出来事、登場人物の行動、台詞の描写について見直させる。
○特徴を簡潔な言葉でまとめ、それに対する意見を交流させる。
指導計画5/8
学習計画表
学習プリント手引きC
【表現の工夫に強くなる】

ワークシートC
7 教材2「視点を変えて書こう」を読んで、書き換えの方法について知る。
8 「走れメロス」の表現の特徴を利用して、物語の空白部分を想像して書く。
○書き換えの視点や方法について簡単にまとめさせ、参考にさせる。

○選んだ登場人物の心情を考えながら物語の空白部分を作者の書きぶりを利用して書くように指示する。
指導計画6/8
学習計画表
補助資料@
ワークシートD
ワークシートE
9 「走れメロス」の表現の特徴を利用して、物語の空白部分を想像して書く。(前時の続き)
10 グループで書いた作品を読み合い、相互評価する。
○選んだ登場人物の心情を考えながら物語の空白部分を作者の書きぶりを利用して書くように指示する。
○内容と表現の仕方の両面から評価させる。
指導計画7/8
学習計画表
ワークシートE
評価表
11 書いた作品を基に、意見の交流をする。
12 「走れメロス」の主題について考える。
13 学習のまとめをする。
○お互いの作品の主題や表現の工夫を話し合うことで、本編への理解を深めさせる。
○意見交流会で出た意見を参考にさせる。

○何を学んだかを認識させる。
指導計画8/8
学習計画表
ワークシートF
評価表

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※学習計画表は、単元を通して同じものを使用しています。また、同一番号のワークシートはすべて同じ内容です。

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最終更新日: 2010-03-23