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◇ 「個別の教育支援計画」作成のポイント

 1 「個別の教育支援計画」作成の目的

    平成19 年4月に文部科学省より出された「特別支援教育の推進について」(通知)には、「特別支援教育は、障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち、幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するため、適切な指導及び必要な支援を行うものである」と明記されている。
 また、平成20 年3月に告示された小・中学校の新学習指導要領には「障害のある児童生徒などについては、特別支援学校等の助言又は援助を活用しつつ、例えば指導についての計画又は家庭や医療、福祉等の業務を行う関係機関と連携した支援のための計画を個別に作成することなどにより、個々の児童生徒の障害の状態等に応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的、組織的に行うこと。」と記されている。
 このことは、発達障害をはじめ、種々の障害のある幼児児童生徒や特別な教育的支援を必要とする幼児児童生徒に対して、一人一人の特性を理解し、それに対応した支援を計画的・継続的に行う必要があることを示している。そのために、「個別の教育支援計画」並びに「個別の指導計画」に基づいて、幼児児童生徒の支援を実施していくことが必要となる。

 2 「個別の教育支援計画」とは

 「個別の教育支援計画」とは、平成15 年3月の「特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議」が「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」で明確にした 、障害のある幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズに対応して効果的・効率的に教育を行うための支援計画である。
 これは、資料1に示されるように、障害者を生涯にわたって支援するという視点から、彼らにかかわる様々な関係者(教育、福祉、医療、労働等の関係機関、保護者など)が情報を共有しながら、よりよい生活の実現を目指すために作成される「個別の支援計画」において、彼らが教育の対象となった際に作成するものである。
 

資料1 個別の支援計画のイメージ図

「今後の特別支援教育の在り方について」(最終報告)より引用

 
  この「個別の教育支援計画」は資料2のように、障害のある幼児児童生徒一人一人のニーズを把握し、長期的な視点で幼児期から学校卒業後まで、一貫して適切な教育的支援を行うために作成されるものである。そして、その作成・実施に当たっては、彼らの所属する学校等が中心となり、保護者や関係機関と綿密な連携を図ることが必要となる。

資料2 個別の教育支援計画のイメージ図

「特別支援教育のさらなる充実に向けて」(審議の中間とりまとめ)より

   

 3 「個別の指導計画」との関連

 「個別の教育支援計画」と「個別の指導計画」は、その位置付けが多少異なる。
 「個別の教育支援計画」は、障害のある幼児児童生徒が地域や学校で生活する際に、学校等が中心となって、保護者と福祉、医療、労働等の各関係機関が連携して効果的な支援を実施するためのものである。これに対して、「個別の指導計画」は、学校で指導する際に、一人一人の幼児児童生徒の特性に配慮した目標や内容、方法等をまとめた計画である。
 このように、「個別の教育支援計画」は、障害のある幼児児童生徒が教育の対象となる際に、教育・医療・福祉・労働等の関係機関が連携し、長期的、継続的な支援を計画するものであり、「個別の指導計画」は、彼らが所属する学校において、「個別の教育支援計画」に基づき、ある特定の期間内(年度、学期等)に学ぶ内容について、一人一人の特性に応じた支援を計画するものとして区別される。
 つまり、これらは独立して単独で作成されるものではなく、深く結びつきながらそれぞれの作成の意義を踏襲するものでなくてはならない。そこで、今回の研究において作成した「個別の教育支援計画」作成支援ソフトでは、これまでに述べてきた「個別の教育支援計画」と「個別の指導計画」の両方のねらいを併せもつものとして作成している。
 

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最終更新日: 2010-03-23