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どのように取り組む?中学校技術・家庭科、高等学校家庭科における「食育」指導

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 ○実践事例 その2  高等学校家庭科 「家庭基礎」


 

1 題材名 「健康で安全な食生活のために」 (平成20年10月 第3学年実施、40名)

指導案
全4時間 【PDF】

展開(第1・2時)

展開(第3・4時)

ワークシート
生徒の実践
ワークシート(記入済)【PDF】
 

2 題材とその指導について






国際化、情報化とともに、消費社会が進展するに従い、食に関する問題が多様化、深刻化しており、食の安全面に対する不安と生涯の健康への影響が懸念されている。
   平成17年に「食育基本法」が成立し、翌年の3月に食育推進基本計画が策定された。平成20年1月に出された中教審の答申では、普通教科「家庭」において、食育の推進にかかわる学習の充実が、改善の具体的事項として挙げられている。
  ⇒これまでの食生活の学習で得た知識・技術を活用し、自分の食生活を見直し、充実させていくことができる生徒の育成をねらいとした。






食の学習内容について幅広く興味・関心をもっており、特に調理実習に対する学習意欲は高いものの、実生活において自分で食事を作る生徒は少なく、実生活に生かされているとは言えない 。
   「食の安全に対する関心はある」と答えた生徒が85%と高いが、商品の購入のときには、「値段(安い)」「味」を商品購入の基準に挙げており、「旬の食材」「原産地」「原材料」を挙げた生徒はほとんどいないことから、食の安全に対する意識が、消費行動には結び付いていないと考えられる。
⇒健康で安全な食生活を送ることができるように、自分の食生活を見直し、栄養的にバランスのれた献立を考え、実践できるようになることが重要である。








  @「食べる力」(「食育」で身に付けたい力)の明確化
  家庭科における食に関する指導を明確にするために、食の安全と健康、地域の食材を生かすなどの「食べる力」を指導計画の中に具体的に示す。
   A中・高の系統性
  中学校での自分の生活の自立を図るための基礎的な学習事項を踏まえ、さらに、高等学校では、社会とのかかわりの中で、いかに自分の生活を創造していくのかということを重視した内容にする。
   B実践的・体験的な学習活動の一層の充実
    自分の食生活の課題を主体的に解決するとともに、充実・向上を図る能力と実践的な態度を育てるために、課題解決学習であるホームプロジェクト的な学習活動を取り入れる。
   C学んだことを生かす場の工夫
   家庭での実践と実践を発表する場を設定することで、学習内容を定着させる。また、自己評価と相互評価を設けることで、実践を深め、今後の食生活につながるようにする。

3 題材の目標

健康で安全な食生活について理解させるとともに、地域社会とのかかわりの中で、自分の食生活を見直し、
課題を見付け、改善を図ることができるようになる。

 

4 題材の評価規準

 
関心・意欲・態度
思考・判断
技能・表現
知識・理解
  健康で安全な食生活について考えようとしている

(ア)自分の弁当の問題点と改善策から、栄養的にバランスの取れた献立を考えることができる。 
  (イ)友達の弁当について食の安全と栄養の面からアドバイスができる。

(ア)家庭で、栄養と安全に配慮した弁当を作ることができる。
  (イ)健康で安全な食の視点から、弁当の実践をまとめ、説明することができる。

(ア)健康で安全な食生活のために、消費者としての立場と購入について理解している。 
   (イ)食事摂取基準を基に、自分の弁当の栄養的なバランスについて現状を把握している。

 

5 「食べる力」(「食育」で身に付けたい力)

@自分の健康を考えて、安全な食べ物を栄養のバランスよく食べることができる。

A日常の食事は、地域の農産物と関連していることや、地域の伝統と結び付き、先人によって培われた

  多様な食文化があることについて知り、自分の食事に取り入れようとする。

 

6 指導計画(全4時間)

学習過程
主な学習事項
時配
教師の指導・支援
評価規準
食べる力


See




Plan

 




Do




See

@健康で安全な食の

点から現状を把握

る。

 

A問題点から改善策を

考える。
  B実践に向けて、弁当

のテーマと献立を作成

する。

展開(第1・2時)

@食材(県産、国産、旬)
  養的なバランスについて、本日
  の昼食を基にチェックさせるこ
  とで、具体的に現状を把握さ
  せる。

A弁当の献立につながるよう
  に、具体的な改善策を考えさ
  せる。
  B健康で安全な食の視点
  配慮した献立になるよ

  示をする

関心・意欲・態度

知識・理解(ア)
知識・理解(イ)

思考・判断(ア)
@
A

C家庭で弁当を作る。

 

C食材を購入するときは、

材の質(県産、国産、旬)にも

配慮させる。

技能・表現(ア)
@
A

D弁当の実践について

まとめ、自己評価をす

る。

Eグループ発表をす

る。

F全体発表をする。

G感想を書く。

展開(第3・4時)

D健康で安全な食の視点か

ら、資料をまとめ自己評価を

させる。
   Eグループ内でアドバイスを

させ、相互評価をさせる。
   F弁当の実践について、アド

バイスをする。
   Gこれからの食生活に生かす

ように意識付ける。


技能・表現(


思考・判断(


関心・意欲・態度

@
A

7 考察

(1)今回は、「食べる力」(「食育」で身に付けたい力)の「自分の健康を考えて、安全な食べ物を栄養バランス
   よく食べること ができる」
に重点を置いて取り組みました。食育の指導の目標と内容を踏まえた上で、
家庭科
   における食に関する指導をすることで、他の「食べる力」についても育成することができると考えます。

(2)食の安全という視点から、地産地消・旬産旬消について学習していく中で、自分の生活と地域社会とのか
  かわりを見直すことができたようです。また、自分たちの消費行動と環境保全とのかかわりについても考える
  ことができたと思います。

(3)食の領域においてホームプロジェクト的な学習を取り入れたことにより、学習事項の定着が図られ、家庭で
  の実践につながったと考えられます。生活の実践力低下が課題となる中で、ホームプロジェクトの学習は、生徒
  の実践的態度と能力の育成に有効であると思います。家庭基礎2単位においては、夏期休業中の実施ではテ

  ーマが限られているので、 授業内容を精選して、 まとめの段階でホームプロジェクト的な学習を取り入れると、

  指導も充実すると思います。
   (4)
実践を具体的に振り返り、発表する場を設けることで、実践から学ぶことも多くなり、これからの食生活に
  つながるように意識付けることができたと考えられます。今後は、年間を通して数回、テーマを決めて実施する
  と、 実践的な態度と能力の向上が期待できると思います。

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最終更新日: 2009-03-26