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中学校3年生 「車は急に止まれない。自動車の停止距離を数学する。」

1 ねらい

(1)
空走距離は自動車の速度に比例し、制動距離は自動車の速度の2乗に比例することに気付くことができる。
(2)
自動車の速度と空走距離、制動距離の関係をそれぞれ式に表すことができる。
(3)
自動車の速度からおよその停止距離を求めることができる。またブレーキ痕の長さ(制動距離)から事故直前のおよその速度を求めることができる。

2 算数・数学の活用について

(1)
活用する主な既習事項
○比例と反比例(1年)
○関数(3年)
(2)
活用する力をはぐくむ授業の視点
ア  課題を「自動車の適正な停止距離を求める」とし、今後、自動車免許を取得する際に必要 とな
  る事柄を設定した。また、自動車の停止距離を空走距離と制動距離に分けることで、1年で学習
  した比例と、3年で学習した関数との融合も図り、これまで学習して きた内容が実生活で
  どのように活用されているかを実感させたい。
イ   空走距離は自動車の速度に比例し、制動距離は自動車の速度の2乗に比例することを棒グ
  ラフや、時速との対応表などから理解させる。また、時速と空走距離、時速と制動距離のグラフも
  それぞれ提示すると効果的である。
ウ  学習した考えを使って、「交通事故現場のブレーキ痕の長さから、事故車両の事故直前の速
  度を求める。」なども考えさせることで、活用の広がりを期待したい。また、速度と停止距離 の関
  係だけでなく、速度と衝撃の大きさなども関数で考えられることも紹介したい。

3 本時の展開

をクリックすると写真や動画を見ることができます
生徒の学習活動
教師の指導・支援
本時の学習内容を知る。
・高速道路の写真を見ながら、50、100の表示や白線の意味するものを考える
 ○ 高速道路の車間距離表示の写真を提示し、表示や白線の意味を考えさせることで、本時の学習課題への興味・関心をもたせ、ストーリーを予想させる。
本時の学習課題を知る。  

高速道路を時速100kmで走っているとき、ブレーキを踏んでから車が止まるまでの停止距離はどれくらいだろう。

・空走距離、制動距離、停止距離について知る。
   
身近な例や実験により、状況を十分に想起させる。

@時速()と空走距離()の関係を調べる。 対応表や棒グラフを使って直観的な考えを自由に発表させたい。その際、グラフの形状や値の変化に着目して関係を捉えさせたい。

・時速20kmのとき空走距離が6mになることから近似的にの関係を式に表す。    

・時速100kmのときの空走距離を求める。 停止距離を空走距離と制動距離に分け、それぞれと時速との関係を表す式を求めさせる。

A時速()と制動距離()の関係を調べる。

・時速20kmのときの制動距離が3mになることから近似的にの関係を式に表す。

・時速100kmのときの制動距離を求める。

B停止距離=空走距離+制動距離から時速100kmのときの停止距離を求め、それを適正車間距離とする。
練習問題を解く。  

本時の学習を振り返る。
・交通事故のニュース記事を読む。
交通事故のニュース記事を紹介し、交通安全の意識を喚起したい。
*指導案はこちらからダウンロードできます。        
*問題文のワークシートはこちらからダウンロードできます。
*実践事例はこちらからダウンロードできます。

4 授業を終えて

  関数については各学年で学習するが、関数の利用については十分に取り扱うことができなかったため、生徒自身も,関数のよさを実感できていないのではないかと考えた。そこで、実生活の中での関数の例として、時速と停止距離の関係を取り扱うことにした。単に制動距離だけでなく、空走距離についても考えさせることで、1年で学習する比例についても復習させることができた。また、本題材を取り扱う上でのレディネスとして、関数 と比例や反比例、一次関数と対比させながら授業を進めることができたことは、関数の学習のまとめとして効果的であった。授業後の生徒の感想に「今日の授業で、いろいろなところで数学が使えることを知ることができた」「関数を利用して事故の瞬間の速度を知ることができるなど、数学は奥が深いと思った」などがあり、生活の中で関数を活用することのよさを実感することができたと思われる。
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