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小学校4年生「箱の表面積を考えよう〜むだなく、色紙を準備しよう〜」

1 ねらい

(1)
箱の面の構成を考えて面積を求めることができる。
(2)
同じ面が2個ずつあることに気付き、効率よく計算する方法を理解することができる。

2 算数・数学の活用について

(1)
活用する主な既習事項
○はこの形(3年)
○面積(4年)
○式と計算(4年)
(2)
活用する力をはぐくむ授業の視点
ア  本時では、単に箱の表面積を求めさせるのではなく、児童がより関心をもって取り組めるよう
  に「箱に色紙をはり、飾る」という日常の活動で起こり得そうな場面を設定する。
イ  問題は、辺の長さを書き入れた見取り図で提示するが、箱の構成がとらえやすいように、立体
  模型を用意しておく。実際に箱の形を観察しながら、箱の面の構成に気付けるようにする。児童
  は、まず、1面ずつの面積を出し6つの面積を出すと考えられる。しかし、計算したり、箱の形を観
  察したりするうちに、向かい合う面の長方形が同じ形で、同じ面積であることに気付き、それが3
  組あることに気付くことができるであろう。このことから、既習事項である「式と計算」の学習と結
  び付け、いろいろな計算の工夫を導くことができる。
ウ  終盤に、「色紙ではなく、1のタイルをはると何枚いるだろう。」と投げ掛ける。このことは、面
  積を単に公式に当てはめて解いていた児童に対して、「面積は1辺が1cmの正方形がいくつ分
  あるかで表す」ことの再確認も促せると考える。
   他教科と関連させ、実際に作る場面を設定し、算数で学習したことがいろいろな場面で利用で
  きることを実感させたい。

3 本時の展開

をクリックすると写真や動画を見ることができます
児童の学習活動
教師の指導・支援
本時の問題を知る。  

問題文は図で示すが、文意がとらえやすいように模型を用意する。
面を指し示しながら、箱の形がとらえやすいように配慮する。
本時のめあてを知る。  

箱にはる色紙の広さを工夫して求めよう。
見通しをもつ。

予想される児童の反応
「箱の面は長方形」
「6つの面からできている」
「色紙の広さは面積と同じ」
ここでは、面の形、面の数が6面あることをおさえる。
面を切り取って並べることにより、箱の面の構成を明確にする。
用意する色紙の広さが各面の面積の和と同じ値であることに気付かせる。
一人調べをする。
・見通しをもとに、既習の学習内容を使って自力解決を行う。

予想される児童の考え
@1面ずつ計算し、6つの面積を足す。

A同じ面積が2つずつあることに気付き、
 A×2+B×2+C×2
 として答えを出す。

BAを立式した後、まとめて×2とできることに気
 付き、(A+B+C)×2とする。
実際に観察できるように箱を用意しておく。

<教師の見取りと支援>
・面積が求められずにいる児童→
箱の面が長方形であることを問いかけにより確かめ、各面の面積を求めさせる。
・@の考えをしている児童→
他に計算の仕方がないか考えるように促す。
・A、Bの考えをしている児童→
児童の考えに価値付けし、必要であれば小さなグループで発表のリハーサルを行う。
考えを発表する。

・40+40+30+30+48+48=236

・40×2+30×2+48×2=236

・(40+30+48)×2=236
発表を聞いて自分の考えと似ている点、違う点を見つけるよう指示する。
自分の意見を発表させたり、友達の考えに補足させたり、個の考えを全体で考えさせたりしながら話し合いを進める。
考えを整理させることにより、「簡単にできる、早くできる」という視点で見るとどの考えが便利か考えさせる。
本時の学習をまとめる。 本時を振り返り、児童の言葉を導きながらまとめる。

箱にはる色紙の広さは、箱の面の面積を求めて合わせると分かる。
同じ数が2つずつあるときには、まとめてかけると、速くく計算ができる。
いろいろな場面を想像しよう。

・1のタイルを貼るとしたら・・・

・牛乳パックで作った箱のときは・・
いろいろな場面を投げかけ、みんなで考えていくことにより、活用の広がり、実生活のつながりを実感させたい。
既習事項を使って学習したことを意識付けるために、烏賊と掛けて「今日の生かした学習」としてまとめる。
学習の振り返りをする。  ふりかえりシートに、今日の学習の振り返りを書かせる。理解したことや、学び合いで思ったことを想起させるよう声をかける。
*指導案はこちらからダウンロードできます。        
*問題文のワークシートはこちらからダウンロードできます。
*実践事例はこちらからダウンロードできます。

4 授業を終えて

  面積の学習を重ねていくと、公式ばかりにとらわれ本来の「広さ」の概念が薄れがちになる。そのことが、決まった形の面積は求められるが、ちょっと見方を変えると求めることができなくなるという児童の活用力の低下という実態を生み、そのことは、5年生での平行四辺形や三角形の求積の際の等積変形や、倍積して求めることの困難さに結び付きがちである。そこで、面積は、面の広さであることを再認識させ、いろいろな場面において活用できることを実感させたいと思いこの学習に取り組んだ。日常起こり得る場面であったことで学習意欲も高まり、児童は、何とか色紙の広さを求めようと取り組んだ。また、箱の形を改めて考えることにより、向かい合う面が同じ形であったことも確認することができた。さらに、計算の工夫を考えさせることにで、学習内容を組み合わせて問題が解決できることやそれぞれの単元の学習内容はつながっていることを意識できたと思う。教師にとっても各単元の学習内容を組み合わせたり、日常場面への広がりをもたせたりする発展的内容の問題を意識して考える機会になった。
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