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中学校1年生 「カレンダーで数学しよう」

1 ねらい

(1)
カレンダーの数の並び方の性質を予想することができる。
(2)
予想した性質を文字を用いて証明することができる。
(3)
数量や数量の関係を文字を用いて表すことのよさに気付くことができる。

2 算数・数学の活用について

(1)
活用する主な既習事項
○文字の式(1年)
(2)
活用する力をはぐくむ授業の視点
ア  カレンダーの中にある□で囲まれた9つの数の和を速く正確に求めるという課題の提示によ
  り、生徒の興味・関心を引き出したい。「カレンダーで数学しよう」の課題解決のためには、速く
  正確に計算できる法則があることに気付かせる。
イ  基準となる数を文字を用いて表すと、ほかの数も同様に文字式で表現することができることに
  気付かせる。そして、こうした計算の工夫を通して、速く正確に計算できる法則を見付けるため
  には、基準となる数(中央の数)を文字を用いて表すとよいことに気付かせる。また、生徒自らが
  カレンダーの中に潜む数量の関係を見付け、それらを文字式を用いて一般的に表現しようとする
  意欲を引き出す。
ウ  カレンダーという身近なものを教材として扱うことで、身の回りにあるものの中にも数量と数量
  の間にいろいろな関係が隠れていることに気付かせ、それらの関係を文字や文字式を用いて一
  般的に表現させることで、文字や文字式を活用することのよさを実感させる。

3 本時の展開

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生徒の学習活動
教師の指導・支援
問題を知る。

カレンダーの中の□で囲まれた9つの数の和をすばやく求めよう。

T2は、カレンダーを提示し、9日を中央とする3×3の9つの数の和を求めさせる。求める速さを競わせるようにする。
T2が問題を提示した数秒後に、T1がその和を出し、生徒を驚かせる。そのことで、すばやく答えを求める工夫に興味をもたせる。
他の日を中央とする3×3の9つの数の和を求めさせ、同様にT1が数秒後にその和を答え、さらに生徒を驚かせる。
数回繰り返し、和を求めさせる。
3×3の9つの数の和を、簡単に求める方法を考える。 T1は3×3の9つの数の和を簡単に求める方法があることを知らせ、その方法を考えさせる。
10日や11日、20日(月によっては、8日や9日、15日なども)を中央とする9つの数の和を求めさせ、その和は(中央の日)を9倍することで求められることに気付かせる。
3×3の9つの数の和が、9×(中央の日)で求められるわけを考える。 なぜ9×(中央の日)で、9つの数の和が求められるか、考えさせる。

  カレンダーの数の並び方に注目させ、ある数のひとつ右の数は+1、下の数は+7であることを押さえる。

  中央の日をとすると、9つの数は以下の図のようになり、その和は9となることを気付かせる。


中央の数を基準にすると、一つ前の数は基準になる数の−1、一つ後の数は+1等、ヒントを与えながら文字に置き換えて考えるように指導する。


9×(中央の日)となり、説明がつくことを理解させる。


文字を使うと、すべての場合が説明でき、文字を使うことのよさを伝える。


友達の意見を聞いて、分かったことや考えたことなどノートに書きくわえる。
カレンダーで数学しよう。  

数の囲み方を縦、横、斜めなどいくつかフラッシュ的に提示し、活動の見通しを持たせることで、カレンダーに潜む数量の間の関係をできるだけ多く発見させる。

発見した数量の間の関係を文字を用いて表す方法がないかを考えるように助言する。

つまずいている生徒には、机間指導をしながら横に並んだ3数の和について考えてみるように支援する。

3年生の学習内容に踏み込んだ「□で囲んだ4数の対角線の積の差は7」は乗法公式を用いるので、今回は文字を利用せずに具体的な数での確認にとどめる。
予想される生徒の反応
・横に並ぶ3数の和は、真ん中の数の3倍
・横に並ぶ5数の和は、真ん中の数の5倍
・横に並ぶ7数の和は、真ん中の数の7倍
・縦に並ぶ3数の和は、真ん中の数の3倍
・斜めに並ぶ3数の和は、真ん中の数の3倍
・ひし形に囲んだ5数の和は、真ん中の数の5倍
・□で囲んだ4数の対角線の積の差は7
文字を用いて表現できた生徒には、発表の準備をするように指導する。
発見したことを発表する。 カレンダーの中に潜んだ数量の間の関係を発表させる。 
本時の学習について振り返る。 カレンダーにおける数量の間の関係を文字を用いて表すと、それらの関係が(中央の日)の何倍かで表現できることに気付かせたい。
*指導案はこちらからダウンロードできます。        
*問題文のワークシートはこちらからダウンロードできます。
*プレゼンテーション教材はこちらからダウンロードできます。
*実践事例ははこちらからダウンロードできます。

4 授業を終えて

  私たちの生活に身近なカレンダーを教材として取り上げた。この学習を通して、「カレンダーにはいろいろな法則があって、それを見つけるのが楽しかった。」、「文字の式の形に直すという考えでとても簡単にできるようになり、とても楽しかったです。」などの感想が聞かれた。カレンダーの中に潜む数量の間の関係を見付け、それらを文字を用いて表す活動をする中で、生徒たちは文字を用いて式に表すことのよさを少しは感じることができたのではないかと思う。 身近なものを教材化することで、生徒たちが既習事項を活用して数量の関係を導き出したり、主体的に学んだりする姿が見られたことが成果であると思う。教師が教材開発をする際の視点が大切で、一つの題材を多面的に見ることがポイントになると感じた。
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