技術・家庭科(家庭分野) 〜課題選択学習を取り入れた食生活指導の工夫〜
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 食生活の指導における授業実践例 2         

 題材 「オリジナル 手作り弁当にチャレンジしよう」 内容A(1)(2)(5) 〜発展的な学習を含む〜
 ねらい (中学2年生で実施,食生活に関する学習の最終題材としました。)
1 自分の食生活を振り返り,問題点を改善するような弁当の献立を作成することができる。
2 課題ごとにグループで弁当献立を作成し,自主的に調理ができる。
※ 食生活に関する学習の最後に位置づけ,学習のまとめにすると効果的と思われます。
 
 課題選択学習の課題例  (◎は授業で実際に取り組んだ課題を示します。)
◎ 栄養バランス抜群の弁当献立を考えよう。 (基礎的な課題)
◎ 野菜たっぷり,体の調子を良くする弁当献立を考えよう。 (野菜の重量で判断)
◎ カルシウムたっぷり,骨を丈夫にする弁当献立を考えよう。(カルシウムの給源となる食品の利用)
○ 鉄分たっぷり,貧血防止の弁当献立を考えよう。
○ 加工食品に頼らない,すべて手作りの弁当献立を考えよう。 
 
 献立作成の条件 〜無理なく作成させるための条件として設定しました〜
・ 栄養バランス〜弁当献立法について学習し,取り入れさせること。 (資料参照)
・ 能率(時間)〜調理時間60分,学習した調理法でできること。(焼く,炒める,煮る,ゆでるなど)
・ 費 用〜一人当たり300円以内でできるもの。(主食を除く)
※ 調理品を1〜2品あらかじめ固定して献立作成させると,考えやすく,作成にかかる時間も短くなり,実習の指導も行いやすいくなります。
※ 1グループの人数を3人と(できるだけ少なく)することで,個人の意見が反映しやすいようにします。  
 指導計画 (8時間計画)・参考図書             
 ・ 自分の食事内容を振り返って,弁当の課題を決める  (1時間)  *弁当づくりの導入とします。
 ・ 弁当献立の立て方と献立(グループ献立)の作成   (3時間)
 ・ 献立の検討と調理計画         (2時間) ※授業実践の指導案 (本時 1/2)
 ・ 調理実習(弁当作り)と評価      (2時間)

 参考:「技術・家庭 題材集 家庭分野」(開隆堂) P34〜37 ・ 教科書「技術・家庭 (家庭分野)」(開隆堂)P61
    
   授業実践の成果(生徒の作成した献立や弁当は,こちらで見ることができます)  
       
   授業実践指導案(5/8時間目)は,こちらから(PDF)  

 「弁当の献立作成」の授業の流れとおもな支援 (導入〜5時間目までの授業の流れを示します)
段階  学習活動 教師の主な支援 教具・資料






@自分の食生活の問題点を
 見付ける(食事の内容を中
 心に)


A改善するために心掛けた
 いことを考える

B本時の目標を把握し,弁
 当づくりに向けて,自分の
 学習課題を設定する
・栄養バランスバッチリ弁当
・野菜たっぷり弁当
・カルシウムたっぷり弁当


・食生活のチェック表に沿って,食事内容を中心に自己評価させ,自分の問題点を見付けさせる。
・チェック表をもとに,自分に不足する栄養素やとり過ぎの傾向にある栄養素を把握させる。

・多くとりたい食品や控えた方が良い食品について考えさせる。

・目標「自分の課題を決め,課題にあった献立作りをしよう」を提示し,今後の学習の流れを知らせる。
・3つの学習課題(生徒の実態に合わせて)を提示し,自分の学習課題を選択させる。学習活動@Aを踏まえて,設定させていく。
・その課題を選んだ理由を記述させる。

・食生活点検表




・資料集










C弁当の献立の条件につい
 て確認する




D食品の色と栄養の関連に
 ついて考え,栄養バランス
 のとり方を知る



E望ましい弁当献立の
 「主食,主菜,副菜の割合」
 と 「弁当の容積」
 について知る




F課題の解決方法(食品の
 選び方)を考える
  ※ここから,課題別に
    グループ編成する


・手作りと市販の弁当の写真を提示し,手作り弁当のよさを確認し,弁当を作るときに気をつけることを考えさせる。
・献立の条件について思い出させ,弁当の場合重視することとして,栄養バランス(いろどり),時間,好みを取り上げる。

・栄養のバランスのとり方の1つとして,「食品の色と栄養」を取り上げて学習させる。
・「赤(茶),黒,緑,黄(橙),白」の色の食品を挙げさせて,それぞれに多く含まれる栄養素の違いに気付かせる。

・数種類の弁当写真(又は図)を用いて,それぞれの弁当の主食:主菜:副菜の割合について調べさせ,食品群別摂取量の割合から,どれがよいか考えさせる。
・弁当献立法を用いて「主食:主菜:副菜」の割合が「3:1:2」になるとバランスがとりやすいことに気付かせる。
・年齢,性別にあった弁当箱の実物大を提示し,生徒の手に持たせて,自分の弁当箱の大きさと比較させる。

・課題ごとにグループを作り,効果的な食品の選び方について話し合わせる。(グループは3人組,男女別)
・食品の選び方について考えた後,課題ごとにヒントカードで確認させて献立作成へと進めさせる。

・弁当献立の立て方
資料:弁当写真(手作りと市販弁当)








・弁当の割合図

・弁当箱(所要量に見合う大きさの物男子:800ml,女子:700mlとする)

・提示用の学習課題
・ヒントカードPDF



解決の実行

G弁当づくりに関する条件
 (約束ごと)を知り,調理品
 を選ぶ





H自分の課題に沿って弁当
 の献立を考え,図に描く
  (完成したら色をぬる)


 ※このあと,教師による
   評価を行っておく



I作成した献立の改善点や
 工夫点について考える
 (改善点⇒改善方法まで)


J同じ課題のグループで意
 見交換する
 (ここからは,グループ活動となる)
・次の約束を提示する。調理品については,写真資料を準備し選びやすくする。
 【約束】
  @主食は「ごはん」で考える
  A主菜は「肉のしょうが焼き」「野菜の肉巻き」「さけのムニエル」
    「とりの照り焼き」から1つ選ぶ。
  B副菜に「きんぴらごぼう」か「ごぼうサラダ」を1つ選ぶ
  C加熱する調理は4つ以内にする。

・学習シートには実物大(平面図・上から見た図)の枠を準備し,食品を実物大で描かせる。
・実物大で描きやすいように,下絵(実物大)を資料として配布し,ヒントカードも活用させる。

・作成した献立は提出させ,「評価」(色シール)をして返す。 
(赤:改善すべき点,黄:気になる点,☆:よい点や工夫している点とし,学習シートに貼り付けて返す)

・よりよい献立にするために,問題点を直したり,楽しい工夫をすることをいくつかの献立例をもとに知らせる。
・シールの意味を知らせ,どの食品(調理品)がその根拠になっているか考えさせ,改善点を把握させる。

・「○○が」「〜だった」ので「△△に変更した」という形を示し,意見交換がスムーズにできるようにする。
・聞く側は一人一言はコメント(気付きなど)をさせる。


・弁当献立の作成
・実物大枠(提出用学習シート)
男子:14×20p,女子:14×18p,高さ:3p(想定)











・「献立を見直そう」(指導案)








K修正した献立について発
 表する



Lこれまでの献立作成つい
 て振り返り,自己評価する


M次時の学習内容を把握す
 る

・事前に立てた献立(弁当図)をプロジェクタで示しておき,どのように変更したか(又は工夫したか)発表させる。
・良い改善方法や工夫についてはポイントを取り上げておさえ,学習のまとめとする。

・評価表を準備し,弁当の条件が満たせたか,課題をどのように工夫して解決したか,自分の学習への取り組みなどを自己評価させる。

・次時は,弁当の実習に向けて分量を正確に決め,調理計画を立てる必要があることを確認する。

・生徒献立作のパワーポイント



・自己評価票(ワークシート)
 献立作成における主な評価規準 (1/8〜5/8時間について:調理計画・実習を除く)
 ・栄養のバランスをとるために主食,主菜,副菜の割合を守って,いろどりよく献立作成ができたか。(理解)
 ・調理時間を考え,自分の課題を達成するために食品を適切に使い,献立作成ができたか。(工夫・創造)
 ・自分の課題を把握し,資料などを活用して,自分で献立作成をしようとしていたか。(意欲)
 
 授業で使うワークシート及び配布,提示資料はこちらから(PDF)
  ワークシート
   〇事前学習として(献立の検討の仕方を学ぶ)
   〇食生活点検表(学習活動@A,自分の食事内容をチェックする)
   〇弁当献立の立て方(学習活動C〜F,献立作成のポイント)
   〇弁当献立の作成(学習活動G〜L,小グループによる献立作成と検討・修正)
  配布資料(活用場面)など
   
〇手作り弁当の写真(学習活動C,弁当の条件を考えさせるための提示資料)
   〇弁当の割合図(学習活動E,弁当献立のポイントを考えさせる資料)
   〇献立作成の約束(学習活動G,主菜と副菜の決め方について条件)
   〇ヒントカード(学習活動FG,課題ごとに献立作成の考え方を知らせる)
   〇主菜・副菜の調理方法(学習活動G,調理計画で活用させる)
   

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