将来を見据える子どもが育つ!キャリア教育のすゝめ |
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5 研究のまとめ |
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(1) 研究の成果 |
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平成19、20年度の2年間にわたり本研究に取り組んできました。 1年次では、主にキャリア教育の理論について研究を進めました。その中での主な成果としては、キャリア教育そのものが真新しいものではなく、今までの教育活動をキャリア諸能力を育成する視点で見直し、再構築していくものであると分かったことです。 2年次では1年次の理論研究を基に、各校種において無理なくキャリア教育に取り組むことができ、その成果を実感してもらえるような手引書の作成を進めました。その内容として、「学校におけるキャリア教育推進の流れ」、「キャリア教育を進めるために(手引き)」、「能力体系表」、「大単元構想(例)」をまとめ、提案することができました。これらの成果として以下のことが挙げられます。 |
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ア 「キャリア教育を進めるために(手引き)」「学校におけるキャリア教育推進の流れ」の作成 | ||||
これまでの研究を基に、キャリア教育に取り組むために、まずキャリア教育とはどのようなものか、また、どのように進めていけばよいのかということをまとめたことで、キャリア教育の意義や、推進のための全体的な流れを示すことができました。 | ||||
イ 「能力体系表」の作成 | ||||
学習指導要領や「学習プログラムの枠組み」を基に、道徳の時間・学級活動・ホームルーム活動・総合的な学習の時間において、キャリア諸能力と関連の深い、目標や内容、身に付けさせたい能力や態度を分類し、「能力体系表」として独自に作成しました。これにより、キャリア諸能力を身に付けさせるには、どのような学習、題材設定をすればよいかが分かり、道徳の時間・学級活動・ホームルーム活動・総合的な学習の時間のねらいとキャリア諸能力の育成をつなげるものとなりました。また、道徳の時間・学級活動・ホームルーム活動・総合的な学習の時間のねらいやつながりがより明確になり、キャリア諸能力の育成に有効な大単元の構想をすることができました。 | ||||
ウ キャリア諸能力の重点化の提案 | ||||
キャリア諸能力それぞれの関連性を踏まえて重点化を図ったことにより、小・中・高等学校の系統性をもたせることができました。 各校種で類似した内容の体験活動を取り扱った場合でも、それぞれの発達段階に応じたキャリア諸能力の育成のねらいを明確にして、それぞれに意義のある学習を進めていくことができました。 |
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エ 小・中・高等学校における大単元構想(例)の提案 | ||||
各校種において、能力体系表を基にキャリア諸能力を重点化し体験活動を軸として、道徳の時間・学級活動・ホームルーム活動・総合的な学習の時間を関連付けた大単元構想(例)を作成し、学校現場ですぐにでも活用していただけるものとして提案することができました。 | ||||
○ | 体験活動を軸としたことで、道徳の時間・学級活動・ホームルーム活動・総合的な学習の時間を効果的に関連付けることができ、体験活動が道徳の時間・学級活動・ホームルーム活動・総合的な学習の時間に生かされました。 | |||
・ | 体験活動を軸としたことで、道徳の時間・学級活動・ホームルーム活動・総合的な学習の時間の学習が相乗効果をもたらし、より充実したものになりました。 | |||
・ | 道徳の時間に、体験活動の中に含まれた価値を振り返ることができるような資料を取り上げることで、価値をより身近な問題として実感を伴ってとらえさせることができ、その意味や大切さについて考えを深め、道徳的価値として自覚できるようにすることができました。 | |||
・ | 道徳の時間に育成した道徳的実践力を、体験活動の中で、実際に言動に表そうとする児童生徒の姿も見られました。 | |||
・ | 学級活動・ホームルーム活動では、取り上げた内容の実践の場として、体験活動を充実させることができました。 | |||
・ | 総合的な学習の時間では、道徳の時間や学級活動・ホームルーム活動で学んだことを生かして学習に取り組み、学びを深めることができました。 | |||
○ | 能力体系表を基に道徳の時間・学級活動・ホームルーム活動・総合的な学習の時間の学習内容や題材を設定し、関連付けた指導を行うことができました。 | |||
・ | 異年齢集団活動で役割や責任を果たそうとしたり、自分の将来について関心が高まったり、進路計画における自己の目標に対し努力するようになったりするなど、各大単元でねらうキャリア諸能力の育成を図ることができました。 | |||
・ | 道徳の時間・学級活動・ホームルーム活動・総合的な学習の時間における指導も、それぞれの本来のねらいから外れることなく目標を達成することができました。 | |||
・ | これまで活動のみに終始しがちだった体験活動も、心情面、態度面からの指導が充実したことにより、児童生徒が体験活動に目的意識をもち、主体的・意欲的に臨むことができるようになり、より充実した体験活動となりました。 | |||
最後に、我々教師がキャリア諸能力を育成するという視点をもって授業に臨むことで、それぞれの授業の関連性をより意識するようになり、それに伴い、授業自体のねらいを明確にすることができました。キャリア教育を推進することで子どもたちの成長とともに、我々教師も成長することができると思います。 |
(2) 課題 | ||||
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・ | キャリア諸能力がどの程度身に付いたかの客観的な評価 | |||
キャリア諸能力が身に付いているかの判断は、個別指導に役立てていくためにも必要です。 | ||||
・ | 各教科と道徳の時間・学級活動・ホームルーム活動・総合的な学習の時間を関連付けた大単元の構想 | |||
キャリア諸能力の育成の視点を入れた学校教育計画を確立し、各教科においてもキャリア諸能力の育成に取り組んでいくことが、キャリア教育の充実につながります。 | ||||
・ | 地域・保護者との連携 | |||
キャリア教育を推進していく上で、地域・保護者の理解や協力が不可欠です。そのためにも、地域・保護者との連携を深めていく必要があります。 |
(3) 参考文献 |
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文部科学省 『小学校・中学校・高等学校 キャリア教育推進の手引 −児童生徒一人一人の勤労観、職業観を育てるために−』 平成18年11月 |
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文部科学省 『中学校 職場体験ガイド』 平成17年11月 |
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文部科学省 『小学校学習指導要領解説 道徳編』 平成20年8月 東洋館出版社 |
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文部科学省 『小学校学習指導要領解説 特別活動編』 平成20年8月 東洋館出版社 |
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文部科学省 『小学校学習指導要領解説 総合的な学習の時間編』 平成20年8月 東洋館出版社 |
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文部科学省 『中学校学習指導要領解説 道徳編』 平成20年9月 日本文教出版 |
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文部科学省 『中学校学習指導要領解説 特別活動編』 平成20年9月 ぎょうせい |
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文部科学省 『中学校学習指導要領解説 総合的な学習の時間編』 平成20年9月 教育出版 |
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文部科学省 『高等学校学習指導要領解説 特別活動編』 平成11年12月 東山書房 |
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文部科学省 『高等学校学習指導要領案』 平成20年12月 |
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国立教育政策研究所生徒指導センター 『キャリア教育体験活動事例集』 平成20年3月 |
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埼玉県中学校進路指導研究会 『新しい時代の生徒を育てる 中学校キャリア教育』 2007年3月 |
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明石 要一 『キャリア教育がなぜ必要か−フリーター・ニート問題解決への手がかり−』 2006年10月 明治図書 |
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鳥居 哲也 『フリーター・ニートにさせないキャリア教育の授業』 2007年4月 学陽書房 |
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三村 隆男 『キャリア入門』 2004年10月 実業之日本社 |
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亀井 浩明・鹿嶋 研之助編著 『小中学校のキャリア教育実践プログラム』 平成18年9月 ぎょうせい |
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三村 隆男編 『図解はじめる小学校キャリア教育』 2004年11月 実業之日本社 |
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嬉野市立吉田小学校・吉田中学校・佐賀県立嬉野高等学校 『平成17・18年度文部科学省委嘱 キャリア教育推進地域指定授業研究紀要』 平成19年1月 |
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佐賀県立小城高等学校 『平成20年度 オンリーワンノート』 平成20年 |
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