■ 学年別指導案の例(中学校3年生) |
1.単元名:図形の相似 |
2.対 象:中学校3年生 |
3.単元について |
(1)教材観 図形については,中学校2年生で,合同な図形について学び,その性質を利用していろいろな図形の性質や作図の方法が正しいことを筋道を立てて証明していく方法などを学んできた。 本単元では,中学校2年次までに学んだ図形学習を踏まえ,図形の相似や直角三角形の性質を調べたり,それらを図形の計量に用いたりして,論理的に考察できるようにしていく。 本単元における学習活動は,測量など将来の図形学習に必要な数量関係の基礎となる考え方であり,極めて重要である。 (2)指導観 生徒は,図形の相似を論理的に理解し,根拠となる考え方を十分理解できていない者もいる。学習状況調査結果においても,一定の理解度を示すのにもかかわらず,学年が進むにつれて,図形が複雑になると,条件に合った作図ができない生徒が増えていく実態がある。 こうしたことから,生徒にとって比較的分かりやすい「角の二等分線の作図」を通して,昨年学んだ作図方法が,図形の性質を利用して論理的に証明できることを理解し,論理的に考えるよさを身に付けさせたい。 (3)単元の目標 図形の合同の概念を明らかにするとともに,三角形の合同条件を理解し,それを基にして図形の性質や作図の方法が正しいことを論理的に筋道を立てて考察する能力を養う。 |
4.指導計画 |
第4章 図形と相似 1 相似な図形・・・・・・・・・・・・ 3時間 2 三角形の相似条件・・・・・・ 3時間 3 三角形と比・・・・・・・・・・・・ 3時間 4 平行線と比・・・・・・・・・・・・ 3時間(本時3/3) 問題 ・・・・・・・・・・・・・・ 1時間 |
5 本時の指導 |
(1)本時の目標 三角形の頂角の二等分線で分けられる線分の比の関係を既習事項を用いながら,根拠を明らかにし,筋道を立てて説明することができる。 (2)本時の学習指導過程 |
過程 | 主な学習活動 | 指導上の留意点 | 評価活動等 |
導 入 5 分 |
・ 角の二等分線の作図方法を復習する。 ・ 本時の課題について考える。 ・ 課題を解く 「△ABCの頂角Aの二等分線と辺BCの交 点をDとすれば,AB:AC=BD:DCと なることを証明する。」 ![]() |
・角の二等分線の作図方法を思い出させ,どのような図形を用いたか考えるよう指導する。 | 【知識・理解】 角の二等分線の作図方法が理解できる。 |
展 開 40 分 |
@角の二等分線に平行な補助線CEを加えた図を示し,平行線と比の関係を用いて課題を解決することを説明する。 ・比の関係が等しい組はどれか考える。 BA:AEとBD:DC ・角の関係が等しい組はどれか考える。 ∠BADと∠BEC(同位角) ∠CADと∠ACE(錯覚) ・課題の定理を証明する。 仮定と結論は何か考える? 仮定:∠BAD=∠CAD 結論:AB:AC=BD:DC A点Dから辺AB,ACに垂線を下ろして,三角形の面積比を2通りに表して,課題を解決する。 ・垂線DP,DQの長さが等しい理由を説明する。 △APD≡△ACD(直角三角形の合同) ・△ABDの面積をAB,PDをそれぞれ底辺と高さと見て式に表す。 また,△ACDについても同様に考え,2つの三角形の比がAB:ACになっていることを示す。 ・△ABDの面積をBDを底辺とし,高さをhとして式に表す。 また,△ACDについても同様に考え,2つの三角形の比がAB:ACになっていることを示す。 ・課題の定理が成り立つことを説明する。 ・練習問題を解く。 AB=6,AC=8,∠BAC=120°のとき BD:DCを求める。 |
・補助線の意味を由来を交えながら指導する。 ・平行線分の比を相似な三角形を示しながら説明する。 ・図に含まれる二等辺三角形を見付ける過程を丁寧に指導する。 ・証明に用いる用語の意味を理解して適切に用いるように指導する。 ・三角形の面積の求め方を用いる場合,底辺と高さをどこにとるか考えるよう指導する。 |
【表現・処理】 証明に用いる用語を適切に用いているか。 証明のルールに基づき必要な条件を示し,簡潔かつ論理的に証明することができる。 【表現・処理】 三角形の面積を用いて,線分の比の関係を説明できる。 |
ま と め 5 分 |
・1つの課題がいろいろな方法で論理的に証明できることを理解する。 |
・今後の学習につながる内容であり,条件をきちんと整理しながら,論理的に根拠を示すことの重要性を指導する。 |
■ 他学年の指導案↓ |
中学校1年 | 中学校2年 | 中学校3年 | 高 校1年 | 高 校2年 | 高 校3年 |
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