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確かな学力をはぐくむ社会科学習の在り方研究委員会

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社会科 実践事例その6    中学校2年生 地理的分野


 1 単元名  「資源とエネルギー」
 
  
 
 2 教材観
   資源の分布には偏りがあり、日本は「資源の博物館」と呼ばれるほど資源の種類は豊富であるが、エネルギー資源には乏しく、外国からの輸入に依存しているのが現状である。
   生活に深く結び付いている重要な資源である原油、天然ガス、石炭、鉄鉱石などは永久に存在するものではなく、採掘可能年数があり、枯渇の危険性がある。
   二酸化炭素の排出量増加がその一因とされる地球温暖化も大きな問題であり、バイオエタノールはガソリンを補完する車の燃料として注目されている。
   単元「資源とエネルギー」の発展学習の課題として「バイオエタノールは必要か?」について考え、多面的・多角的な視点からとらえさせ、必要かどうかということについて判断させることは意義がある。
   バイオエタノールは、石油などの化石燃料と違って、大気中の二酸化炭素を増加させず、地球温暖化問題の解決に貢献すると考えられている。

3 生徒観

 ○

   男女ともに落ち着いて授業に取り組むことができている。
   一問一答のような形式の質問では意欲的に取り組むが、思考・判断を要するような質問に対しては、苦手意識をもっている生徒が多い。

4 指導観

   個人の考えを基にして、各グループでの話し合い活動を中心に学習を進めていく。
   自分の考えを発表する場面や、グループとしての考えをまとめたり、発表したりするなどの場面を設定し、「バイオエタノール」について考えさせ、多面的・多角的に思考を広げていく。
   思考の深まりによる判断の変化を把握させながら学習を進めていく。
   必要・不必要のいずれかの立場に立ち、根拠を明らかにして主張する活動を通して、論理的に考える姿勢を養う。
   「バイオエタノールは必要か」という問題にどのように向き合い、どうしたら国民全体の幸せや個人の幸せにつながるのかということまで考えを広げさせ、最終的な自分自身の判断を、どのような価値に基づいて行ったのかを自覚させる。

5 単元の総括目標

  世界的視野から資源の分布と消費の現状に関心をもち、資料からエネルギー消費の現状を読み取り、新エネルギーや環境問題に結び付けて考えることができるようにする。その上で、バイオエタノールの必要性について、資料を基に判断し、自分の言葉で表現することができるようにする。

6 単元の評価規準

関心・意欲・態度 思考・判断 技能・表現 知識・理解

資源の分布やエネルギーの消費について関心をもち、新エネルギーや環境問題などの現状を意欲的に考えようとする。

資源やエネルギーの現状や環境問題について多角的・多面的に考察し、根拠を基に自分の考えをまとめることができる。

資料を分析し、それを基に分かりやすくまとめ、説明することができる。

資源の分布と消費の現状から、新エネルギーや環境問題について、メリット・デメリットを含めて理解する。

 7 単元の指導計画 (全4時間)
主な学習活動 ワークシート・資料
1

<世界と日本のエネルギー>

資源の分布の現状を知る。

  鉱産資源は、採掘可能年数があり、枯渇の危険性がある。
 教科書
2

<世界と日本のエネルギー>

世界と日本のエネルギー消費の現状を知る。

   新エネルギーの開発について知る。
 
3

<バイオエタノールは必要か?>

バイオエタノールについて知る。

バイオエタノールは必要か、不必要かについての仮説を立てる。

資料を読み取り、分析したことをワークシートに記入する。

グループで、意見交換して知識の共有を行い、分かったことをワークシートに補足する。

 教師の話を聞き、分かったことをワークシートに補足する。

資料

 ワークシート@
4

<バイオエタノールは必要か?> 【本時】

グループで意見交換を行い、グループの主張とその理由をまとめる。

グループの意見を代表者が発表する。

「バイオエタノールを必要とする」「不必要とする」という立場は、それぞれにどのような社会を目指しているのかを考え、明確にする。

実現すべきはどちらの社会なのかを判断し、最終的な自分の考えをワークシートにまとめる。

発表用紙

 ワークシートA

8 実践を終えて

  【成果】

この単元を学習したことにより、生活に深く結び付いている重要な資源である原油、天然ガス、石炭、鉄鉱石などは永久に存在するものではなく、採掘可能年数があり、枯渇の危険性があることを理解させることができた。

二酸化炭素の排出量増加が一因とされる地球温暖化が大きな問題であるために、世界で新エネルギーの開発が進んでいることに気付かせることができた。

資料分析を個人で行なわせた後、グループで意見交換をさせたことにより、資料の読み取りを深めさせることができた。

個人の考えを基にして、各グループでの話し合い活動を進めていったことにより、それぞれの考えを深めさせることができた。

自分の考えを発表する場面や、グループとしての考えをまとめたり、発表したりするなどの場面を設定して考えさせることにより、多面的・多角的に思考を広げていくことができた。

「必要」「不必要」のいずれかの立場に立ち、理由や根拠を明らかにして主張する活動を通して、論理的に考える態度を養うことができた。

 テーマにどのように向き合い、どうしたら国民全体の幸せや個人の幸せにつながるのかまで考えを広げさせ、最終的な自分自身の判断を、どのような価値に基づいて行ったのかを自覚させることができた。
   【課題】

資料の読み取りを正確にできず、グループ活動においてもうまく読み取ることができていない生徒がいたため、その補足説明の時間を多くとる必要があった。

思考・判断をすることに対する苦手意識をもっている生徒が多いことを考慮したため、教師の説明がていねいになりすぎるなど、予定よりも時間が掛かることになった。

 「目指す社会はどのような社会か」という発問に対して、どのような答えを出せばよいのかを迷う生徒が多かったので、導入の段階で、「目指す社会」ということについて、どのように考えればよいのかということを、教師が具体的に説明をする必要があった。



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最終更新日: 2009-03-27