「児童生徒一人一人が居心地のよさを感じる学級集団づくり」について提案します!

               
現在の位置: 2 研究の実際  (5) 対応策の実施 オ 高等学校における実践 (エ) 成果と課題
 
オ 高等学校における実践
男女間のリレーションづくりを目指した学級での取組
 
(エ) 成果と課題
● 成果
高等学校においては、学年団を中心に、担当学年の生徒を指導・支援しています。しかし、指導・支援の在り方について、学年会で原因を探ったり、対応の方向性を決めたりすることは、十分に行われているとは言えません。今回、アンケートの分析を踏まえて事例検討を実施したことにより、学年団で情報の共有や共通理解を図ることができました。また、生徒を客観的に捉えるアンケートと複数の教師による日常観察からの情報を照らし合わせることにより、学級集団及び生徒をより正確に、より多面的に把握することにつながったと考えます。
高等学校においては、意図的・計画的に学級集団づくりを行うことがあまりありませんでしたが、本研究を通して、意図的・計画的な学級経営の提案ができました。
対応策を実践する際には教科担当者の協力を得たり、「気になる生徒」の対応を副担任に担当してもらったりしました。その成果としては、学級担任が今、気になっている生徒を教科担当者が知る機会になったこと、複数の教師からの情報により学級担任の生徒理解が深まったことが挙げられます。開発的・予防的生徒指導の視点から、その学級にかかわる複数の教師が共通理解をもち、意識して観察や声掛けを行うことによって、「気になる生徒」の早期発見や、いじめ・不登校の予防につながったのではないかと考えられます。
● 課題
学級経営においては、学級担任一人が抱え込むのではなく、チームとして複数の教師がかかわることが求められています。しかし、学級集団や個人に関する情報を共有したり、共通理解を図ったりするための学年会や事例検討会は、人的、時間的な制約から実施が困難な状況があります。時間を設定して学年会や事例検討会を実施することが望ましいですが、実施が困難な場合は、それに代わる情報共有の工夫が必要であると考えます。例えば、職員が集合する朝礼の前後を利用して、短時間でも学年での打合せをすることや、ICTを利用して学級や個人の状況を学年団で共有することなどが考えられます。チームで連携して学級経営を行う上で、日頃から教師同士が何でも相談し合える良好な人間関係を築いておくことが重要です。
高等学校においては、学校単位で年間計画が立てられているため、学級担任裁量で使える時間は限られており、授業時間の確保が問題となってきます。本研究においてはLHRの時間を利用して授業を実践しましたが、開発的・予防的生徒指導は授業実践だけを指すものではありません。SHRや掃除時間等、普段の学校生活の中でも生徒にアプローチすることは十分に可能です。本研究においても、学級担任が生徒のよさを見付け、日々のSHRでそれをフィードバックしたり、部活動顧問が部活動の時間に話をしたり、授業以外の時間も意識的に活用しました。授業時間が確保できない場合には、SHRや休み時間、放課後をいかに使うか、日々の声掛けをどのように行うか、工夫次第で成果を望めるのではないかと考えられます。
 「生徒一人一人が居心地のよさを感じる学級づくり」に関しては、第2回目のアンケート前後に小さなトラブルが起きていることから、学級全員が「居心地のよさ」を感じてはいないと考えられるため、今後も継続して対応策を検討し、実施することが必要です。アンケート結果に基づき、その時の学級集団や個人の状態に応じて、適切な対応策を実施することによって、一人一人が「居心地のよさ」を感じられる学級に近付けると考えられます。
 
 
         
         
         
         

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