「児童生徒一人一人が居心地のよさを感じる学級集団づくり」について提案します!

             
現在の位置: 2 研究の実際  (5) 対応策の実施 ア 小学校(中学年)における実践  (ア) 児童理解
                   
ア 小学校(中学年)における実践
学級全体にリレーションを広げる単学級での取組
 
(ア) 児童理解
1 本事例の学級の様子(4年生、5月上旬)
 各学年1学級の小規模校です。本学級の男子児童は明るく元気で、多くの休み時間はほぼ全員で遊んでいます。女子児童の多くは、決められたことを守り、落ち着いて生活する様子が見られます。一方で、男子児童の一部に、意欲的に学校生活を送っているものの友達とのトラブルが多く見られたり、女子児童同士では仲のよいグループだけで行動しがちになったりする傾向があります。 今後、単学級で小学校生活の残り3年間を同じメンバーで過ごす中で、より一層の集団のまとまりや一体感、あたたかい雰囲気を育てることが課題であると考えます。
               
2 実践前のアンケート (「Q−U」) 結果(5月中旬)
     
     
     
A:アンケート結果と学級担任の
  日常観察が一致しない児童
 
B:アンケート結果と学級担任の
  日常観察が一致しない児童
 
C:学級での影響力が大きい児童
 
 D:態度や行動が気になる児童
 
 
     図5−ア−1 実践前のアンケート(「Q−U」) 結果(5月中旬)
3 本事例の「学級把握シート」
  本事例の「学級把握シート」は、個人情報が含まれており、プライバシー保護の観点から省略しています。
   →「学級把握シート」についてはこちら
 
4 チームによる実態把握(研究委員、学級担任)
【集団について】
アンケート(「Q−U」)結果より
学級担任の日常観察より
・学級の65.7%の児童が学級生活満足群に位置しており、ルールとリレーションがある程度確立している。

・侵害行為認知群の割合が17.1%と4群の中で2番目に高いことから、安心して友達同士でかかわることができている。

・学級生活不満足群の児童は、低学年の頃とほぼ同じ位置にある。
・特定の児童に限らず、学級内で誰かが活動中に失敗すると笑うことがあり、あたたかい雰囲気を感じられないことがある。

・学習中の姿勢が悪く、人の話を聞くことが難しい児童がいる。

・男子児童に比べて、女子児童のまとまりが感じられない。

学級がこのような状態になった要因として考えられること
・単学級であるため学級での活動がなく、団結したり協力したりする場面が少ない。そのため、学級の一体感が得られにくかったことが考えられる。また、女子児童のまとまりについては、単学級のために人間関係が固定化して、児童同士の交流がグループ内に留まっていることも考えられる。

・侵害行為認知群の割合が高いことについては、友達の失敗を笑うことや話をじっくり聞くことができないことが原因として考えられる。また、友達とのかかわりにおけるルールが十分に確立されていないことも考えられる。

・学級生活不満足群の児童は、人間関係が固定化しているために低学年の頃と同じ群に位置していると考えられる。

【個人について】
アンケート(「Q−U」」)結果より
学級担任の日常観察より
・Aは、学級生活満足群の一番右上に位置している。全ての質問項目で適応していると判断することができる。


・Bは、学級生活不満足群に位置している。学習や友達関係に関する意欲は高いが被侵害得点が高く、嫌がらせを受けていると感じている。この傾向は、低学年の頃から続いている。

・Cは、侵害行為認知群に位置している。承認得点は高いものの、嫌なことを言われたりされたりすることが「よくある」と答えている。低学年の頃は、学級生活満足群に位置していた。



・Dは、学級生活不満足群に位置しているが、友達から嫌がらせを受けていると感じていない。学習意欲や学級を肯定的に捉える質問の得点が低く、学校生活全般に関する意欲が低い。
・Aは、友達と進んでかかわることは少なく、休み時間は一人で読書をして過ごすことが多い。教師の指示が通りにくく、行動が遅れることがある。

・Bは、休み時間は友達と一緒に外で遊んでいる。授業中は、積極的に発表する。Cとは低学年からトラブルになることが多く、学級担任に訴えてくることがあった。


・Cは、リーダー的存在でたくさんの友達を誘って遊ぶことが多い。運動能力が高く、友達からは認められている。学習には積極的に参加して発言するが、理解には時間が掛かることがある。整理整頓が苦手で、学級担任が声を掛けることが多い。Bとトラブルがあっても、学級担任に訴えることはない。

・Dは、放課後に近所の友達と遊ぶことが多い。学校では自分の気持ちを表現することが苦手で、一人になることがある。

抽出した児童がこのような状態になった要因として考えられること
・Aは、アンケートの結果と担任の日常観察が一致しないことから、アンケートの質問の意味が理解できずに回答したか、評価を気にし過ぎていることが考えられる。
・Bは、アンケートの結果と担任の日常観察が一致しないことから、不安傾向が強いことが考えられる。
・Cは、学級での影響力が大きい児童である。学年が上がるにつれて、人間関係の変化や学習面への不安が影響していることが考えられる。
・Dは、担任の観察から一人になる場面が見られたり、承認得点が低く「学級にいたくない」「一人ぼっちでいる」と答えたりしていることから自己肯定感が低いのではないかと考えられる。
                   

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