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将来を見据える子どもが育つ!キャリア教育のすゝめ

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学習指導案    小学校第6学年 学級活動
1 題材名
 「もっと もっと なかよし活動(異年齢集団活動)」
 
2 題材設定の理由
 本年度の総合的な学習の時間は、「みんなに喜んでもらおう大作戦」をテーマに取り組んでいる。これは、最上級生として学校のために自分たちにできることは何かを考え、全校みんなの役に立つことを進んで行おうとする態度を育てることをねらったものである。異年齢集団による「なかよし活動」は、6年生にとって、全校みんなの役に立っていることを実感させることのできる場であり、最上級生としての自覚と責任をもたせる絶好の機会である。しかし、これまでの「なかよし活動」を振り返ってみると、学年当初は活動への意欲にあふれていたが、活動を進めるにつれて、うまくコミュニケーションが取れずに下級生への言葉掛けや班活動でのお世話などで戸惑う姿が見られ、活動への意欲を持続することができずにいる子どもも出てきた。また、日々のなかよし班での掃除や集会での出し物練習などにおいても、リーダーとしての下級生へのかかわり方に難しさを感じている子どももいた。そこで、学級活動(2)「日常の生活や学習への適応及び健康安全」の「ウ 望ましい人間関係の形成」において、異年齢集団活動を取り上げ、「なかよし活動」の意義について考えさせるとともに、これまでの活動を振り返る中で、リーダーとして下級生とコミュニケーションを取りながらどのようにかかわっていけばよいか、具体的な方法を考えて話し合わせることは、これからの「なかよし活動」を更に充実したものにしていく上で重要なことだと考え、本題材を設定した。
 本学級の子どもたちは、明るく素直で活動的である。学級での係活動や当番活動だけでなく、全校的な活動にも意欲的に取り組もうとする。学級活動においては、「春の体育大会を成功させよう」「七夕集会でなかよし班のチームワークを高めよう」「みんなで楽しもう!プール集会」などの議題で話し合い、実践活動を進めてきた。計画から実践まで互いに協力して意欲的に活動し、満足感を味わってきている。これらの活動を通して、クラスの友達や下級生に対する思いやりの気持ちも少しずつではあるが育ってきている。しかし、実践活動には意欲的だが、自分の考えを発表するのが苦手なため、話合い活動を好まない児童も数名いる。また、自分たちの生活上の課題解決に向けて話し合った経験も少ない。
 指導に当たっては、ワークショップ型の方法を取り入れた話合い活動を行うことで、学級全員が話合いに参加できるようにし、様々な考えを交流させるようにしたい。そして、学級にとって、自分にとってよりよい解決策について考えさせることで、最上級生としての役割を再認識させ、その責任を果たそうとする意欲とリーダーとしての自覚をもたせるようにしたい。さらに、学級活動内容(1)ウ「興亜山にみんなを招待しよう」での集会の計画や、総合的な学習の時間での「興亜山ワクワク集会」の準備・実践へとつなげ、学級活動で話し合った考えを実践する場として位置付けたい。これらの活動において、相手を意識しながら活動させることで、思いやりの心が育ち、残りの小学校生活においても下級生に温かく接してくれることを願っている。
  
3 本題材で重点を置いたキャリア諸能力
コミュニケーション能力 「異年齢集団の活動に進んで参加し、役割と責任を果たそうとする。」
「思いやりの気持ちをもち、相手の立場に立って考え行動しようとする。」

 ・ 集団生活のために進んで力を尽くし、リーダーシップを発揮できる。
 ・ 所属する集団に主体的にかかわろうとする。
 ・ 人権を尊重し、温かい人間関係を築こうとする。
 
4 題材の目標
 これまでの「なかよし活動」を振り返らせ、よりよいかかわり方について考えさせることで、リーダーとしての役割と責任を果たすことの大切さに気付かせ、思いやりの気持ちをもって主体的にかかわろうとする態度を養う。
 
5 題材の評価規準
関心・意欲・態度 思考・判断 技能・表現 知識・理解
 リーダーとして、思いやりの気持ちと責任感をもって、下級生に主体的にかかわろうとする。  リーダーとしてのよりよいかかわり方について、自分なりに考え、友達の考えのよさを生かして話し合うことができる。  意識調査で得た情報を生かしながら、自分の考えを書いたり発表したりすることができる。  リーダーとしての役割と責任を果たすことの大切さや下級生とのよりよいかかわり方が分かる。
 
6 指導計画
活動時間 活動内容 指導上の留意点







・ 「なかよし活動」についての作文を聞き、感想を出し合う。《課題の確認》 
・ 題材を決定する。
・ 「なかよし活動」についての作文を読み、問題意識を共有化させる。



・ 意識調査をする。 (6年生と下級生) 
・ 6年生には、「なかよし活動」について内容別に活動のうまくいっていることと、課題となることを調査し、下級生には、「なかよし活動」の好きなところと嫌なところを調査し、下級生や友達の気持ちを知る手立てとさせる。


【第1回計画委員会】
・ 意識調査結果資料を作成する。
・ 議案書を作成し記入を呼び掛ける。
 



・ 調査結果をまとめた資料を見て、議案書に自分の考えを記入する。《問題の意識化》
 ・ 事前に、計画委員会と一緒に調査結果をまとめて掲示しておき、本時の話合いに向けて議案書に自分の考えを記入させておく。


【第2回計画委員会】
・ 学級活動の準備と打ち合わせを行う。
 

内容(2)ウ
   もっと もっと 「なかよし活動」





・ 掃除、「なかよし活動」等におけるリーダーとしてのかかわり方について振り返る。 ・ 下級生や担当教師からの気付きやよい行いを紹介し、意欲化を図る。
 
7 本時の学習
(1) 目標
意識調査の結果を基に、「なかよしグループ」の課題やその原因について、自分の考えを書いたり発表したりできるようにする。(技能・表現)
リーダーとしてのよりよいかかわり方について、自分や友達の考えのよさを生かして話し合わせるようにする。
                                                           (思考・判断)
(2) 展開
  学習活動 指導上の留意点 評価(方法)
【キャリア諸能力】





1 「なかよし活動」に関する感想を聞く。

2 本時のめあてを知る。
・ 下級生や先生方からの声を「うれしい言葉」中心に伝え、もっと「なかよし活動」を充実させようという意欲をもたせる。
・ 意識調査の結果を提示し、ここに上がった課題を解決していくことが、「なかよし活動」を充実させることにつながることを伝える。
 
  ☆6年生へのアンケート結果☆                ☆下級生へのアンケート結果☆
   課題  下級生の気持ちを考えて、これからの「なかよし活動」を、もっともっと充実させよう。









25分
3 グループごとに課題の状況や原因について考え、発表する。
《児童が進行》










4 出てきた課題に対してどうすればよいかに ついて、具体的な改善策を考え、発表する。
《児童が進行》
・ うまくいく、また、うまくいかない原因や理由について個人で考える時間を取った後に、グループ内で意見交換させる。
・ 意識調査の結果を印刷したものを配布し、それを基に話し合わせる。
・ グループ内で出た意見を紹介させ、全体の課題として共有化を図る。


      ※グループごとに発表



・ 「掃除」「集会」「共遊」の具体的な場面ごとに、リーダーとして下級生とどのようにコミュニケーションを取りながらかかわっていけばよいか、具体的な方法を考えさせる。
・ 具体策について学級全体で話し合わせることで、一人一人の気付きや考えを深めさせるようにする。
・ 司会グループには、話合いをスムーズに運営できるように、事前にフロアの考えを把握させておく。
「なかよしグループ」の課題やその原因について下級生の気持ちを考えて、自分の考えを書いたり発表したりすることができる。
(ノート・発表内容)
【コミュニケーション能力】















リーダーとしてのよりよいかかわり方について、自分や友達の考えのよさを生かして話し合うことができる。
(ノート・発表内容)
【コミュニケーション能力】





15分
5 学級目標を振り返 る。


6 話合いを振り返り 、これからの「なかよし活動」について自分なりのめあてをもつ。
・ 学級目標を取り上げ、話し合ったことを実行することは、学級目標を達成することにもつながることを話し、「なかよし活動」の意義について再確認させる。
・ 今後の生活に生かしたいことを自分なりのめあてとしてワークシートに記録させる。



・ これからの自分の行動目標を、数人に発表させ、リーダーとして、思いやりの気持ちと責任感をもって主体的にかかわろうとする意欲を高めるようにする。
・ これからの総合的な学習の時間「興亜山ワクワク大作戦パートU」等で、話し合ったことが生かされるように励ます。








指導案【PDF】 資料等【PDF】
8 児童の様子・感想
自分の考えを言うだけでなく、何事にも下級生に合わせた態度で接していきたい。(ワークシートより)
これからは、低学年の人たちが行動がしやすいように、低学年の目線に合わせて、分かりやすい言い方をしたい。(ワークシートより)
最上級生として、掃除は無言で真剣にしてお手本になり、注意するときは、優しく教えてあげるようにする。(ワークシートより)
「パワフル26(学級目標)」を心掛け、下級生のことをもっと考えて優しくし、よい模範になりたい。(ワークシートより)
9 考察
全校児童に「なかよし活動」に関するアンケート調査を行ったことで、「なかよし活動」に対する6年生と下級生のそれぞれの思いに気付かせることができた。児童は、下級生の気持ちに具体的に気付くことができたと同時に、6年生の多くが自分と同じような気持ちで「なかよし活動」に取り組んでいるという思いを共有することができ、リーダーとしての役割と責任を果たすことの大切さを実感することができたと思う。
「なかよし班」のメンバーで、課題やその原因について話し合わせたことで、自分の班の活動の様子や下級生への接し方について、具体的に振り返らせることができた。また、話合いで出てきた課題に対してどうすればよいか、具体的な改善策をみんなで考えさせたことで、リーダーとして下級生に対して思いやりの気持ちをもって、主体的にかかわっていこうとする気持ちをもたせることができた。
具体的な改善策に関する児童の発言内容の中に、大単元として関連付けている総合的な学習の時間における異年齢との集会活動の場面を意識した内容のものがあり、集会活動に対する意欲を高めさせることにもつながった。
具体的な解決策についての話合いでは抽象的な意見が多かった。実際の場面での具体的な行動目標まで考えさせるには、アンケート結果の提示だけでなく、具体的な活動場面を思い起こさせる手立てが必要だった。

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最終更新日: 2009-03-24