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将来を見据える子どもが育つ!キャリア教育のすゝめ

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 中学校第2学年 キャリア教育 大単元案 
職場体験学習
1 大単元名
「職場体験学習」
  (道徳の時間:7時間、学級活動:5時間、総合的な学習の時間:43時間 計55時間)
2 単元設定の理由
 今日、少子高齢化社会の到来、産業・経済の構造的変化、雇用の多様化・流動化等が進む中、就職・進学を問わず、子どもたちの進路をめぐる環境は大きく変化してる。また、教育を取り巻く環境も大きく変化してきており、これら社会と教育の動向から若者をめぐる様々な課題が浮かび上がっている。一方、若者の勤労観、職業観の未成熟や社会人・職業人としての基礎的・基本的な資質・能力の不十分さなどについても各方面から指摘されている。このような中、生徒一人一人が自らの責任で、キャリアを選択・決定していくことができるよう、必要な能力・態度を身に付けていく教育が求められている。文部科学省の「小学校・中学校・高等学校 キャリア教育推進の手引−児童生徒一人一人の勤労観、職業観を育てるために−」では、中学校におけるキャリア発達段階として「現実的探索と暫定的選択の時期」と示されている。さらに、その段階でのキャリア発達課題として「肯定的自己理解と自己有用感の獲得」「興味・関心等に基づく職業観・勤労観の形成」「進路計画の立案と暫定的選択」「生き方や進路に関する現実的探索」が挙げられている。発達段階に応じて、発達課題を達成できるように、必要とされる諸能力を意図的、継続的に育成していくことが重要だと考える。
 生徒が直接働く人と接することができる職場体験は、実際的な知識や技術・技能、また、働く人の思いに触れることができ、学ぶことの意義や働くことの意義を理解し、生きることの尊さを実感させることができる。さらに、働く人との交流を通して、コミュニケーション能力を高めるとともに、社会人としての基本的なマナーや言葉遣いを身に付けることや、新たな自分を発見することができる体験活動である。この職場体験を軸として、生徒が主体的に進路を選択決定する態度や意志、意欲などをはぐくめると考える。
 子どもたちの生活や意識の変容、学校から社会への移行をめぐる様々な課題、そして、学ぶことへの関心や意欲の低下が問題となっていまる。さらに、望ましい勤労観、職業観をはぐくむ体験活動等の不足が指摘されている。そのため、自己の将来に夢や希望を抱き、その実現を目指し、職業生活に必要な基礎的な知識や技術・技能の習得への理解や関心、望ましい勤労観、職業観の育成とともに、新たな知識や技術・技能を身に付け、生涯にわたって自己の職業生活をたくましく切り拓いていこうとする意欲や態度、目的意識などを培うことがこれまで以上に大切になってきている。
 そこで、職場体験活動を軸とし、体系表を基に道徳の時間・学級活動・総合的な学習の時間を関連付けた大単元「職場体験学習」を構想した。また、小・中・高等学校でキャリア諸能力を重点化した体験学習を設定することで、系統性のある教育が行えると考え、今回は「情報収集能力」「将来設計能力」の育成に重点を置いている。道徳の時間においては、主に働くことの価値や働く人々の思いにかかわること、学級活動においては主に将来に向けての進路計画にかかわることをはぐくんでいく。さらに、総合的な学習の時間においては、道徳の時間や学級活動を踏まえ、働く人との交流を通して、社会人としての基本的な資質を高めるとともに、その職業の役割や内容を理解し、働く人たちの思いに触れ、働くことの意義や勤労の尊さを追究していくことにより、これからの生活での目的意識をもつとともに、将来に向けてのより明確な進路の希望や今後のよりよい進路計画を考えていく力をはぐくんでいく。道徳の時間・学級活動・総合的な学習の時間を関連付けることで、相互作用し、より有効にキャリア諸能力をはぐくんでいくことができると考えている。
3 本単元で重点を置いたキャリア諸能力
領 域 能 力 職業観(進路)発達を促すために育成されることが期待される具体的な能力
人間関係形成能力 コミュニケーション能力 ・ 人間関係の大切さを理解し、コミュニケーションスキルの基礎を習得する。
情報活用能力 情報収集・探索能力 ・ 上級学校・学科等の種類や特徴及び職業に求められる資格や学習歴の概略が分かる。
職業理解能力 ・ 将来の職業生活との関連の中で、今の学習の必要性や大切さを理解する。
・ 体験等を通して、勤労の意義や働く人々の様子や思いが分かる。
将来設計能力 役割把握・認識能力 ・ 日常の生活や学習と将来の生き方との関係を理解する。
・ 様々な職業の社会的役割や意義を理解し、自己の生き方を考える。
計画実行能力 ・ 将来の夢や職業を思い描き、自分にふさわしい職業や仕事への関心・意欲を高める。
・ 進路計画を立てる意義や方法を理解し、自分の目指すべき将来を暫定的に計画する。
・ 将来の進路希望に基づいて当面の目標を立て、その達成に向けて努力する。
4 本単元のねらい
 職場体験活動等を通して、仕事上の多様な役割や意義を理解させ、自己の生き方について考えさせる。
 勤労の意義や働く人の思いが分かり、学校で学ぶことと職業生活との関連を理解させる。
 職場体験活動等を通して、職業に関する様々な情報を収集・探索するとともに、収集した情報を活用して自己の進路について考えさせる。
 職場体験活動等で得た情報や体験を基に、その時点での目標や計画を立て、達成に向けて努力しようとする態度をはぐくむ。
 社会人としての基本的なマナーや言葉遣いの意義が分かり、それらを身に付けさせる。
5 指導計画
領域 資料名・題材・内容 主なねらいや活動内容(内容項目) キャリア諸能力
道徳 朝がくると
いっぽんの鉛筆のむこうに
・ 人間は、計り知れないほど多くの人々の労働・仕事によって支えられて生きているということを理解させる。
・ いつの日か自分も社会の一員として、だれかを支える存在になるために学校で学ぼういう意欲を高めさせる。
4-(5)勤労・社会奉仕
役割把握・認識能力
帰りの会等 僕の私の進路計画 ・「僕の・私の進路計画」のワークシートを記入する。  
総合 職場体験学習の意義、目標設定 ・職場体験学習で何を学ぶことができるか話し合い、自分の目標をもつ。 課題解決能力
学活 なぜ人は働くのだろう ・働くことや職業への興味・関心を高める。
・働くことの重要性や大切さを理解する。
職業理解能力
道徳 私が働く理由 ・ 働くということは、周囲の人々とのコミュニケーションが大切であり、多くの人たちに支えられていることを理解させる。
・ 「働くこと」の理解を通して、職業についての正しい考え方を育てる。
4-(5)勤労・社会奉仕
職業理解能力
6、7 総合 職業人講話 ・働いている人の話を聞き、学習への意識を高める。 職業理解能力
総合 体験先事業所の選択及び班編成 ・体験先事業所を選択し、グループをつくる。  
9、10 総合 事前学習 ・職場体験学習を進めていくための課題やその解決方法を話し合い計画を立てる。 課題解決能力
11 道徳 言い方ひとつで気持ちもなごむ ・ 礼儀の意義を理解し、日常生活の中で適切な言動を取ろうとする態度を育てる。
2-(1)礼儀・適切な言葉
コミュニケーション能力
12 学活 身近な『職業と産業』について調べてみよう ・自分の職業への価値観を探る。
・自分なりの職業に対する考えをまとめる。
情報収集・探索能力
13〜21 総合 事前学習 ・計画に沿って課題の解決をする。 コミュニケーション能力
課題解決能力
22 総合 事前取り扱い ・職場体験活動における準備と注意事項の確認をする。  
23〜40 総合 職場体験活動
(3日間)
・事業所に出向き体験活動を行う。 コミュニケーション能力
情報収集・探索能力
職業理解能力
役割把握・認識能力
課題解決能力
41 道徳 二通の手紙 ・ 秩序と規律のある社会を実現するために、社会の一員としてきまりの意義について理解し、規律を大切にして生活しようとする態度を育てる。
4-(1)遵法・社会秩序の向上
選択能力
42 総合 職場体験活動の振り返り ・個人、グループで職場体験活動を振り返る。 課題解決能力
43 総合 お礼状の作成 ・体験先事業所にお礼状を書く。 コミュニケーション能力
44 道徳 牛たちと出会って ・ 生き物の命が私たちの命を支えていることに気付かせ、命のつながりについて考えさせる。
3-(1)生命尊重
自他の理解能力
45 道徳 あふれる愛 ・ 人類の幸福を目指し、その実現を図ろうとしたマザー・テレサの生き方に触れ、 国や民族を超えた深い人間理解の態度を育てる。
4-(10)国際理解・人類愛・平和
役割把握・認識能力
46〜51 総合 職場体験発表会 ・職場体験活動をまとめ、発表会をする。 コミュニケーション能力
情報収集・探索能力
役割把握・認識能力
職業理解能力
52 学活 適正を生かした進路を考えよう ・一人一人の適性とはどういうことかを理解する。
・自己理解を深め、自分の適性を進路と関連付けて理解し、進路計画の立案や進路選択に生かしていける能力を養う。
自他の理解能力
職業理解能力
53 学活 自分の将来をデザインしよう(1/2) ・進路計画を立てる目的を理解し、立てる上でのポイントを考えることができる。
・進路学習での情報を総合的にまとめ、進路計画の立てる際の方策をまとめることができる。
情報収集・探索能力
計画実行能力
54 総合 総合的な学習の時間の自己評価、学習の振り返り ・総合的な学習の時間の自己評価をし、学習を振り返る。 計画実行能力
55 学活 自分の将来をデザインしよう(2/2) ・自分の生き方を意識した進路計画を立てる。
・進路への多様な価値観や大切さを考え、進路選択へ向けての意識の向上を図る。
計画実行能力
56 道徳 和夫の決断 ・ 自らの長所や個性を考え、目標をもって生きていこうとする態度を養う。
1-(5)自己理解と向上心
課題解決能力
6 大単元の構想
大単元案【PDF】

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最終更新日: 2009-03-24