■ 学年別指導案の例(高校1年生)
1.単元名:数学A 平面図形,数学T 図形と計量
2.対 象:高校1年生
3.教材について
 三角形の頂角の二等分線の長さを,これまでの学習内容を活用し多様な方法で求める。
(1)教材観
 図形の計量については,中学校3年生で「相似の考えを活用できること」,「三平方の定理の意味を理解しそれを活用できること」が目標として示されており,身の回りのものの測定に活用できることが求められている。さらに,高等学校1年生では,三角比を測量に活用できることが求められており,定型的な解法については丁寧な指導がなされている。
 しかし,課題解決能力の向上を図るためには,既習事項の有用性を意識し,図形に興味をもつような指導の充実がさらに求められている。
 本教材は,「三角形の頂角の二等分線の長さを求める」過程を通して,これまで学んだ図形の証明等の内容がどう生かされているのか理解できるものである。補助線を利用した幾何的解法の有用性が確認できるとともに,生徒の発想を豊かにできる教材であると考える。

(2)指導観
 これまでは,平面図形とその性質について,種々の定理や証明を個別に学んできた。演習を通して,問題の解法を見付けたり,公式として活用したりすることはできるものの,体系的に証明を位置づけたり,考え方を単元を越えて活用することを学ぶ機会は少ない。
 本時のテーマは,三角形の頂角の二等分線の長さを求める中で,既習の解法以外に複数の解法を考えさせる「数学的活動」を取り入れた授業とする。
 平行線や垂線などの適当な補助線を引く初等幾何的な解法や,座標平面を利用する解析幾何を用いる方法など,多様な解法を指導する中で,とりわけ初等幾何のもつシンプルさや有効性を再確認させるとともに,多様に考えることのすばらしさを味わわせたい。
 高等学校における図形学習の節目の時期に,既習事項を体系的に振り返るとともに,図形に興味をもたせる指導を取り入れることは,今後の学習活動に有効であると考える。

4.指導計画
  数学A 第3章 平面図形      15時間
  数学T 第4章 図形と計量     24時間
  数学A 第1章 集合と論理      5時間
  本時
5.本時の指導
(1)本時の指導目標・評価規準
 @角の二等分線の性質を理解するとともに,図形の計量に活用できる。【知識・理解】
 A問題解決には,複数の証明方法があることに関心をもち,自ら取り組もうとする。
                                 【関心・意欲・態度】

(2)本時の学習指導過程
過程 主な学習活動 指導上の留意点 評価活動等






・与えられた△ABCの頂角の二等分線を作図し,
 BD:DC=AB:AC
を証明する方法を振り返る。
 
(方法1)平行線分の比の性質を利用
(方法2)面積を利用
(方法3)補助円を利用 等
・これまでの学習内容と本時の関連や,本時の目標を数学の体系を踏まえて簡単に説明する。


【関心・意欲・態度】
@角の二等分線の性質を理解し,作図の意味を説明することができる。
A相似形や平行線分の比の性質を理解し,図形の計量に活用できる。
B具体的な事象の数量関係を三角比などを用いて表現し,図形の計量に活用できる。
C正弦定理や余弦定理を図形の計量に活用できる。
D三角形の面積を用いて,図形の計量ができる。
E図形を座標平面上に表すことによって,図形の計量ができる。
 以上のように複数の考え方ができることを確認し,図形の解法に生かせることを指導する。
【関心・意欲】複数の証明方法があることに関心をもち,自ら取り組もうとする。













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問1
AB=6,AC=10,∠BAC=120°を満たす△ABCの角Aの二等分の長さADを様々な方法で求める。
(生徒の学習活動例)
・「面積」を利用して求める。
 △ABC=△ABD+△ADCより
1/2AB・ACSin120°=1/2AB・AD
   ・Sin60°+1/2AD・ACSin60°
・平行な補助線を用いて考える。
(1)点Cを通りADに平行な直線CPをひく。
(2)点Bを通りADに平行な直線BPを引くなど
・相似な三角形を作図して考える。
・補助円を用いて考える。
・「座標平面」を利用して求める。
(1)点Aを原点にとり,Cをx軸上にとる
(2)点Aを原点にとり,Bをx軸上にとる

・その他の解法がないか考える。
・出てきた考え方を分類・整理する。
問2
 AB=a,AC=b,∠BAC=2θ°を満たす△ABCの角Aの二等分の長さADを求める。
・どのような考え方をすればいいか考える。
・問1と同じ考え方でできるのではないかと予想する。
・ADに平行な補助線を引く方法で考える。
(1)ADに平行な直線CPを引く
(2)ADに平行な直線BPを引く など。
・相似な三角形を作図する方法で考える。
・垂線を引く方法で考える。
・出てきた解法以外の考え方をまとめる。
・結論に至る推論の過程を筋道を立てて説明できるように指導する。
・生徒が中線定理と混同しないように指導する。
・前日に課題プリントを配付し,基本的な解法は教科書・ノート等で確認するように指導する。

・証明の思考過程で用いた考え方が問題解決に有用であることを強調する。

・初等幾何の考え方のもつよさを感じられるように指導する。


・生徒の発表で出てこなかった解法については,簡単に紹介する。






・既習事項の振り返りの大切さに気付くことができるように指導する。
・それぞれ,△ACD,△ABDが二等辺三角形になることに注目するよう指導する。




○思考過程を大切にするように指導する。
【知識・理解】
面積を利用する方法で,証明することができる。





【知識・理解】
補助線を引いて,証明を考えることができる。
























・今日の課題を考える過程で出た考えを整理し,それぞれの特徴やよかったところを考える。
・自己評価を行い,本日の学習内容を確認する。


 
■ 他学年の指導案↓
中学校1年 中学校2年 中学校3年 高 校1年 高 校2年 高 校3年