(2) 図形領域の指導方法の改善について
〜系統性のある指導方法とは〜
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本研究でいう指導の「系統性」とは,現行の学習指導要領や教科書の指導順序等の固定概念に縛られた全国一律の画一的なものではありません。数学教育の歴史的・体系的な指導実態を把握するとともに,それぞれの学校・学年の取組などを踏まえて,目標を明確にした教材・評価資料を開発するところに新たに生じるものであると考えています。
この「系統性」は,学校の教育目標に応じて,学習指導要領に示されている「系統」に基づいたものに戻る場合もあると思います。しかし,改めて「教材・指導方法を見直す過程」を経て,実際の指導に役立つ独自の「系統性」が確保できると考えます。
こうした積み重ねを繰り返し,よりよい指導方法を改善していく姿勢が大切です。
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(3)興味・関心を高める指導の在り方
〜図形指導状況の評価・改善の具体的な取組についての提案
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@アセスメント調査
アセスメント調査には,まず,全国や本県で行われた学習状況調査の結果(平成15年度高等学校学習状況調査結果)を利用する方法があります。また,各高等学校には,県下一斉模試をはじめ各種試験のデータも数年分蓄積した資料があるので,こうした資料を併用することが望ましいと思います。この場合,単に学年間の比較をするためではなく,学校としての傾向や課題を正しく把握することが大切です。
A指導計画の評価
県内外の各高等学校数学科の年間指導計画を収集し,生徒の活動の総体である指導計画に関するデータを収集し,要因を多面的に分析します。
この指導計画の評価を行うことによって,自校に求められる指導内容や指導方法の改善策が見いだせるとともに,授業の効率性と効果性も向上していくものと考えます。
数学的活動を実践する「時間を生み出す」ためにも,欠かせない取組です。
B数学教員及び生徒の意識調査
指導しにくい分野はどこか,生徒の理解が定着していない分野はどこか,生徒の意識はどうか,さらに,どうしてこのような結果になったのか,どんな要因(児童生徒の要因,教師の要因等)が働いているのかを分析することが重要です。
C系統性の考慮
入学,進級した生徒のこれまでの学習内容や理解度等の実態や,学校・学年のこれまでの取組等を踏まえて,目標を明確にした教材開発や評価資料を開発し活用したり,各学年・校種間のつながりを見通した指導を行ったりする必要があります。
DS(評価)→P(計画)→D(実践)
高等学校の場合,それぞれの学校の生徒の実態や指導実態が大きく異なることから,自校の生徒や指導方法の評価を行い,課題や弱点を分析し,改善方策を策定(計画)し,授業への実践につなぐ必要があります。
新たな実践を取り入れる場合,ますます授業の進度計画が厳しくなるという指摘を校内から受けることも考えられます。こうした意見に対しては,理論的な背景や期待される効果についてきちんと説明できるように準備し,一定の合意のもとにできるところから実践していく必要があります。 |