■ 学年別指導案の例(中学校1年生)
 
1.単元名平面図形
 
2.対  象中学校1年生
 
3.単元について
(1)教材観
 図形については,小学校において,具体的なものの操作活動を通して直観的に判別したり,その性質を調べたりしてきている。特に高学年では,様々な図形について細かい観点から辺や角の関係を調べたり,平行線や三角形の作図について学んできている。
 中学校1年生では,図形に用いる記号や用語を理解し,それらを活用することによって図形を表現することができるようにする。こうした過程を通して,図形の問題を抽象化したりしながら,論理的に考察する態度を培っていくことが求められる。また,図形の作図作業を通して,図形を与えられた条件を満たす点の集合としてとらえることができるとともに,図形の平行移動,対称移動等を考えることで,動的なとらえ方もできるようにする。
 本単元では,小学校で学んだ図形学習を振り返りながら,図形の性質を大まかにとらえる見方から,与えられた条件式に基づき更に正確にとらえることができるようにしていく。こうした振り返り活動を通して,図形を点を条件を満たす図形としてとらえる見方のよさを味わうとともに,図形が条件を満たしているか,論理的に説明できるようにしていく。
 本単元における学習活動は,次年度以降学習する図形の証明や図形の合同・相似の学習の論理的思考の基礎となる重要な教材である。

(2)指導観
 生徒の中には,図形問題を苦手とする生徒も少なくなく,考え方よりむしろ結果に至る「形式的な解法」を早く知りたいという意識が強いと思われる。また,作図指導においても,手法の指導に終始し,根拠となる考え方を十分指導できていない傾向があり,学習状況調査結果において一定の理解度を示すのにもかかわらず,学年が進むにつれて,図形が複雑になると,条件に合った作図ができない生徒が増えていく実態がある。
 こうしたことから,形式的な作図指導に終わらないよう,具体的な図形の操作活動や作図活動に取り組ませることで,生徒自身が作図方法の意味に気付き,発見する喜びを味わわせたい。

(3)単元の目標
 基本的な図形を見通しをもって作図するとともに,平面図形についての理解を深める。
 
4.指導計画
第5章 平面図形 第1章 図形の基礎
    1 直線と角 ・・・・・・・ 2時間
    2 円と多角形・・・・・・ 2時間
    3 対称な図形・・・・・・ 3時間
    4 基本の作図・・・・・・ 3時間(本時2/3)
    5 おうぎ形 ・・・・・・・ 3時間
    問題 ・・・・・・・・・・・・・・ 1時間
 
5.本時の指導
(1)本時の目標
 基本的な図形を見通しをもって作図する能力を伸ばすとともに,平面図形についての理解を深める。
 ・角の二等分線の基本的な作図の方法を理解し,それを利用することができる。
(2)本時の指導過程
過程 主な学習活動 指導上の留意点 評価活動等






・ 角の二等分線の用語とその意味を理解する。

・ 本時の課題について考える。
 
・ 課題提示
 「角の二等分線を作図する方法を考えよう。」
・折り紙や身近なものに含まれる角の二等分線を写真や動画を活用するように指導する。
・これまで垂直二等分線をコンパスを利用して作図したことに注目できるように留意させる。
【知識・理解】
角の二等分線の用語とその意味が理解できる。













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@角の二等分線の作図方法を用紙に書かれた 「ひし形」で考える。
・与えられた角を折って,折り目を付ける。
・折り目に線を引く。
・本当に折り目(対角線)が角の二等分線になっているか,説明する。
A一方の辺を延長し「二等辺三角形」で考える。
・三角形の1辺を他の辺に重ねて,長さが等しくなるように折る。
・折り目に線を引く。
・本当に折り目が角の二等分線になっているか,説明する。
・作図の方法と用語についてまとめる。
B角の二等分線を作図する。
・頂点を中心にコンパスで円をかき,半直線OX,OYとの交点をP,Qとする。
・P,Qを中心として等しい半径の円をかき,2円の交点をCとする。
・半直線ORをひく。
・角の二等分線になっているか確認する。
C角の二等分線を利用した問題を作る。
D角の二等分線と2辺の関係を調べる。
・気付いたことを発表する。
・紙を角の二等分線に垂直に折ったり,切り取る作業を通して,確かめる。
・角の二等分線の性質についてまとめる。
・どんな作図の方法があるか,予想を立てさせ,自由に考える時間をとる。
・角の二等分線が,ひし形のどの部分に当たるのか考えるよう指導する。
・分度器やものさしを使う考え方(近似的な作図)も否定的に扱うことなく,長所や短所に気付かせるように指導する。





・2円の半径は最初の円の半径と等しくなくてもよいことに留意させる。
 (対角線に対して対称であれば,一般の四角形・三角形でよいことに触れる)




・角の二等分線から2辺までの距離に注目して考えるよう指導する。
【表現・処理】
角の二等分線の作図の方法を考え,作図することができる。
















【表現・処理】
図形の対称性を利用して作図したことに気付く。






・身近な事例を示し,条件を満たす図形を正確に作図する意味を理解する。


・定規とコンパスに制限して作図する意味を指導する。
・正多角形の作図に利用できることに注目するように指導する。
・今後の学習につながる内容であり,意味を理解して作図する重要性を確認させる。
【関心・意欲・態度】
作図を活用し課題を解決しようとする。

■ 他学年の指導案↓
中学校1年 中学校2年 中学校3年 高 校1年 高 校2年 高 校3年