学年別指導案の例(中学校2年生)

1.単元名:図形と合同

2.対 象:中学校2年生

3.単元について
(1)教材観
 図形については,中学校1年生で,図形に用いる記号や用語を理解し,それらを活用することによって図形を表現できるようになった。また,こうした過程を通して,図形の問題を抽象化したりしながら,論理的に考察ずる態度を培ってきた。また,図形の作図作業を通して,図形を与えられた条件を満たす点の集合としてとらえることができることなどを学んできた。
 本単元では,中学校1年次に学んだ図形学習を振り返りながら,基本的な作図の方法を,三角形の合同条件を用いてその根拠を明らかにし,筋道を立てて説明できるようにしていく。こうした振り返り活動を通して,図形を「条件を満たす点の集合」としてとらえる見方のよさを味わわせるとともに,線分を図形の一部とみなし,合同な図形の性質を用いて,論理的に説明できるようにしていく。
 本単元における学習活動は,次年度以降学習する図形学習に必要な「論理的思考」の基礎となるもので,基本的ではあるが極めて重要である。

(2)指導観
 生徒の中には,「作図手法」を機械的に理解し,根拠となる考え方を十分理解できていない者もいる。学習状況調査結果においても,一定の理解度を示すにもかかわらず,学年が進むにつれて,図形が複雑になると,条件に合った作図ができない生徒が増えていく実態がある。
 こうしたことから,生徒にとって比較的分かりやすい「角の二等分線の作図」を通して,昨年学んだ作図方法が,図形の性質を利用して論理的に証明できることを理解し,論理的に考えるよさを身に付けさせたい。

(3)単元の目標
 図形の合同の概念を明らかにするとともに,三角形の合同条件を理解し,それを基にして図形の性質や作図の方法が正しいことを論理的に筋道を立てて考察する能力を養う。

4.指導計画
第5章 図形と合同
   1 合同な図形・・・・・・・・・・・・ 2時間
   2 三角形の合同条件・・・・・・ 2時間
   3 図形の性質の確かめ方・・ 4時間(本時4/4)
  問題 ・・・・・・・・・・・・・・ 1時間

5.本時の指導
(1)本時の目標
 基本的な作図の方法が正しいことを三角形の合同条件を用いて,根拠を明らかにしながら,筋道を立てて確かめることができる。

(2)本時の学習指導過程
過程 主な学習活動 指導上の留意点 評価活動等






・ 角の二等分線の作図方法を復習する。

・ 本時の課題について考える。
 
・ 課題提示
 「角の二等分線の作図が本当に正しいか
  三角形の合同条件を用いて証明しよう。」
・角の二等分線の作図方法を思い出させる。その際,どのような図形を用いたかを思い出すように指導する。 【知識・理解】
角の二等分線の作図方法が理解できる。













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@角の二等分線を実際に作図し,課題を解決す るために必要な「結論」と「仮定」をそれぞれ確かめる。
・結論:∠AOP=∠BOP
 仮定:OA=OB,AP=BP

A証明に用いる2つの三角形を確かめる。
・△OAPと△OBP

B2つの三角形の辺と角の関係を示す。
・OA=OB,AP=BP
・OP=OP


C証明の表現を用いて,記述する。
・どの合同条件が使えるか考える
・自分の言葉や記号を使って相手に説明する。
・数式や記号を使って,ノートに記述する。




D証明を振り返り,証明のルールを満たしているか確かめる。


・練習問題を解く
(1) △ABCの頂角Aの外角の二等分線についても内角の場合と同じ作図方法で作図できることを証明する。
 
(2) 線分AB上の点Mと,AB上にない点Pがある。AM=BMかつAB⊥PMならば
 PA=PBが成り立つことを証明する。
・仮定と結論を示す過程で,作図に用いた図形の条件を具体化する中で,図形の理解を深めていけるように丁寧に指導する。
・∠AOP=∠BOP(結論) を導くために,何が言えればいいのか考えさせ,結論の角を含む2つの合同な三角形に着目すればいいことを確認させる。
・結論以外に明らかな条件を図中に示すように指導する。
・「よって」「したがって」などの用語を意味を理解して適切に用いるように指導する。


・どの合同条件が使えるかに留意するよう指導する。





・与えられた条件を満たす図を正確に作図できるように指導する。
・一度証明できたことがらは,条件を変えない限り使ってよいことを知らせる。











【表現・処理】
証明用語を適切に用いることができる。
証明のルールに基づき,必要な条件を示し,簡潔かつ論理的に証明することができる。




【知識・理解】
証明を行うことの意義が理解できる。





・いろいろな図形の作図方法が論理的に証明できることを通して,証明のよさを確認する。



・今後につながる内容であり,自分で条件をきちんと整理しながら,論理的に根拠を示すことの重要性を確認させる。   

■ 他学年の指導案↓
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