生徒間に定着の差が出やすい「文法事項」と「英作文」について、設問ごとに分析した。
自分の気持ちや考えを条件に即して簡単な英語で書くことには課題がある。
[中学2年生 大問8の小問(1)(2)(3)]
○ 問題の概要

○ 解答状況
問8(1)の問題は「十分達成」の期待正答率を6.5ポイント上回っている。 しかし、過去形を用いた英作文の問8(2)の問題は「おおむね達成」の期待正答率を下回った。問8(3)の問題は「おおむね達成」の期待正答率をやや上回るにとどまった。(1)~(3)ともに3語程度の簡単な英語で答える問題であるが、定着状況に大きな差が生じている。
問8(1)の問題は動詞に語形変化がないが、問8(2)の問題は過去形はedを付けるため正答率が下がっていると考えられる。 また、過去形の定着には時間が掛かることも無解答率が高い原因の一つと考えられる。
○ 指導法改善の手立て
その日学習した新出文法や新出表現を I を主語にして書く活動が必要である。
例えば、問8(1)では「友だちとできることについて話してみましょう。その後であなたができることを I から始めてノートに書いてみましょう。」という授業はよく行われている。そこで、問8(2)でも、過去形の語形変化についての文法説明よりも、「友だちとの対話の後に自分が昨日したことを I から始まる英文で書いてみよう。」という授業を行うことが効果的である。
その際、"I watched TV after school yesterday, but I always watch it after dinner."のように動詞の時制に注意を向けるような英作文の指導が効果的である。
また、問8(3)で、"I from Japan."の誤答例のようなbe動詞が脱落することを防ぐには、4月に行う自己紹介のような活動を継続して行い、そのスピーチ原稿を書かせる指導を行うと効果的である。
[中学3年生 大問8の小問(1)(2)(3)]
○ 問題の概要
○ 解答状況
問8(1)~(3)の3問とも「おおむね達成」の期待正答率を下回るか、やや上回る結果となった。
問8(1)は正しく"Yes, I was."と書くことについて課題がある。(2)(3)は疑問詞で始まる疑問文のため、(1)よりも無答率が20%を超えている。普段の授業で話したり書いたりする活動が不足していることが理由の一つと考えられる。
○ 指導法改善の手立て
中学2年生の書く活動では、日記や将来の夢などまとまった英文を書かせる機会が増える。いきなり書く指導に入るのではなく、まず口頭で十分に対話練習をして慣れてから、書く活動に入ることが有効である。慣れてきたら、正しく書くために、授業中に"Were you busy yesterday?"と"Did you watch TV yesterday?"という答え方の異なる2つの質問をまとめて行うと効果的である。ただし、文法用語の解説や用法の区別などに深入りしないように留意しなければならない。
|