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活用力に培う国語科学習の在り方

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小学校第5学年の実践


1 単元名  人物の生き方をえがいた作品を読もう

   教材名 「マザー・テレサ」 真鍋和子

   出  典 『新編 新しい国語』 5年下 東京書籍

1つ1つのことばへの思いを大切にする授業を求めながら、これまで習得してきた言語能力を駆使し、新しく学ぶ言語能力の習得を図る授業展開を考えました。

2 学習内容の系統性

3 単元とその指導について

児童観

教材観

説明文教材『動物の体』の学習によって、文章の要旨にかかわることばを取り出しながら読み取り、各場面にタイトルを付けていくことを経験してきた。 本教材文は、マザー・テレサの伝記である。3つの大きなまとまりで構成され、さらに9つの小さなまとまりに分かれる。
文学教材『ちかい』の学習では、主人公の心情の移り変わりを場面ごとに読み取り、短歌形式(五・七・五・七・七形式)でまとめることを経験した。
マザー・テレサの思い、「貧しい人は神様と同じ」「貧しい人は美しい」という生き方や考え方にふれることは、まだ、自分自身だけのことを考えがちな児童にとって、有意義な経験になるものと考える。
全校で取り組んでいる「朝のさわやか読書」に積極的に取り組み、読書を楽しんでいる。しかし、自分の好きな内容の本を読むことが多く、長い文章や、好みの異なるジャンルの本は、あまり読もうとしない。
 
   

指導のポイント!

「学び」の方法を意識させる場の工夫

 

知識・技能を意図的に活用させる場の工夫

短歌にまとめる話し合いの振り返りの時に、「話し合いの様子」、「話し合って分かったこと・話し合ってよかったこと」の2つの観点を与え、意識的に分けて考えさせる。

  選んだことばを基に、マザー・テレサの生き方、考え方の分かる短歌を作る。
  これまでの日々の学習活動の中に、短歌づくりを取り入れ、短歌をつくる経験を十分に積ませ、本文のことばを選んでまとめることに集中させる。
   

学習活動を振り返り、整理する場の工夫

インタビュー記事づくりにおいて、記者側、マザー・テレサ側それぞれの視点から考えることにより、作品の内容に迫る。さらに、マザー・テレサの生き方・考え方を再び考え直すために、本文にもう一度戻って考える必要性が生まれる。
学習活動の振り返りでは、「話し合いの様子」を具体的に振り返ることで「話し合い」の進め方・まとめ方の技術の習得を図る。
 
学習活動の振り返りでは、「話し合って分かったこと・話し合ってよかったこと」を具体的に振り返らせることで、「話し合うことのよさ」を味わわせ、これからの活動につなげる。      

4 単元の指導目標

伝記に書かれた人物の生き方や考え方を読み取ることができるようにする。
伝記を読み、考え方や、生き方など読み取ったことを、インタビュー記事にまとめることができるようにする。

5 評価規準

国語への

関心・意欲・態度

伝記など事実に基づいた物語を興味をもって読もうとしている。【「C 読むこと」A 内容(1) ア】
話す・聞く能力 紹介する本の感想や、読んで考えたことを整理して話している。【「A 話すこと・聞くこと」A 内容(1) ア イ】
書く能力 紹介する伝記の内容が読み手に伝わるように、インタビュー記事を作っている。【「B 書くこと」A 内容(1) ア イ】
読む能力 叙述に即して伝記に描かれたマザー・テレサの行動や考えを読み取っている。【「C 読むこと」A 内容(1) イ】

6 単元の計画(全10時間)

主な言語活動
主な学習活動
評価とその方法
初発の感想
初発の感想を書いて、感想を交流する。 マザー・テレサの生き方や考え方に目を向けている。【ワーク・発言】
意見交流
単元の進め方について知る。 場面ごとの、マザー・テレサの生き方、考え方を表すことばを観点を基に選ぶことができる。【ワーク・発言・話し合い】

話し合い活動

短歌づくり

*以下の活動を毎時間行う。
「マザー・テレサ」の生き方・考え方を表すことばを選ぶ。 選び出したことばに、なぜ選んだのか自分なりの理由を考え、書くことができる。【ワーク】
選び出したことばを基に、グループで短歌にまとめる。 話し合い活動において、自分の考えを積極的に発言している。【観察・ワーク】
話し合い活動の様子などを振り返り、カードに記入する。 観点を基に、活動を振り返ることが出る。【ワーク】
本時へGO!
 

インタビュー

記事づくり

これまでの学習を基に、「マザー・テレサ」へのインタビュー記事を作る。
マザー・テレサの生き方・考え方を大切にしながら、インタビュー記事を作ることができる。【ワーク】
10
推薦文作成
他の伝記作品を読み、おすすめの短歌にして紹介する。 他の伝記作品を積極的に読み、紹介しようとしている。【発言・観察】

7 授業を終えて

授業での取り組みについての考察<成果と課題>

「学び」の方法を意識させる場の工夫

成果 音読→言葉選び→話し合い(短歌づくり)→発表→振り返りの形態を継続することで、児童が授業の見通しをもって取り組むことができた。
課題 話し合い活動の振り返りの観点として話し合いの様子とよさの2点をもたせたが、児童の参考となるモデルを提示し理解させる必要があった。

知識・技能を意図的に活用させる場の工夫

成果 場面ごとの要点を短歌にまとめることで、必要な言葉は何かを吟味しながら言葉にこだわって読むことができた。
これまでの単元でも短歌づくりを経験させてきたことで、言葉を選ぶ作業に集中することができた。
課題 短歌は字数制限があり、言葉を吟味する際に採用されなかった大事な言葉もあるため、迷ったところなどを補足させるような声かけも必要になる。

学習活動を振り返り、整理する場の工夫

成果 振り返りの観点を2つに絞ることで、具体的な文言での振り返りができた。
これまでの単元でも振り返りの場を確保し、続けてきたことで、めあてや観点を意識した学習ができていた。

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最終更新日: 2009-03-25