本時の目標
常識としてとらえていた自然の概念と,作者の自然観との違いを理解できるようにする。

指導の実際(1/5時)
学習活動 指導と評価



「自然」という言葉の意味を確かめる。
 
各自に自然の定義をさせた上で,自然の対象になる具体的なものを,なるべく性質が異なるものから5つ選び,ワークシートとパネルに書かせる。
例)ぶな,すずめ,砂,熱帯林,台風




自然を自分たちがどのようにとらえているかについてまとめる。

         黒板(分類表)

題名による問題提起を踏まえ,筆者の事物の見方をまとめる。











自然と人工の区分をなくす筆者の見方について考える。
黒板に分類表の見出しを張り,指名した数人に自分のパネルを磁石で留めさせる。埋まらない項目に入るものや,分類表以外のものを考えた生徒がいれば発表させる。
筆者の自然観に近いものを書いていれば,そう考えた理由を尋ね,今回の学習につながることを伝える。

辞書を引かせ,人工と対立している自然についての一般的概念を確認させる。
自然についての辞書(旺文社 国語辞典)の説明,「人間の力が加わっていない物事そのままの状態」「人間を含む〜万物」が,自分たちの考えと重なることを確認させる。
*ア 自然についての把握に意欲的に取り組んでいる。
【ワークシート,観察】

辞書で確認した内容と矛盾する題名であり,そこに独自の視点(「私にとって」)があることを指摘する。その上で,評論の特徴を再度確認させる。

主教材1〜6段落を音読させ,2〜5段落で筆者が注目したものとそのときの心情が分かる箇所に傍線を引かせる。それぞれの特徴と筆者がどのような観点で取り上げているのか,ノートに書かせ発表させる。

*イ 筆者の観点を,本文中の具体例をふまえてまとめている。
【ノート,観察】

自然の美しさの形容に,人工物の比喩が使われている点に着目させる。

普段見ている現代の風景を思い起こさせ,人工物とそうでないものを分けてとらえているか,問い掛ける。

写真を見せ,人工物を含んだ自然と都市の風景に対し自分たちがどこで感覚的な区切りを付けるか問い掛ける。

終末
「自然という言葉」に,様々な意味が込められることを確認する。
単元の学習の流れを見通す。
記号論の説明に深入りしないようにしながら,言葉と対象との関係は固定されたものでないことを説明する。

本時で確認した筆者の自然観に,単元の最後に反論を加えることを伝える。全否定でなく,部分への反論や,論証として書かれていない点を指摘する形でもよいので,使える材料に気付けば,メモ等を残すことを予告する。
 

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