基礎的・基本的な知識・技能を活用することに課題がある。
[小学5年生 大問9]
○ 問題の概要

○ 解答状況
合同な正三角形を敷き詰め、その中にできる四角形(正三角形を2枚以上組み合わせた四角形)を選択肢の中からすべて選ばせる問題であった。正答率は36.2と「おおむね達成」の期待正答率45.0を下回る結果となった。原因としては、ひし形や平行四辺形を選択ししたものの、台形を選択しなかったことが考えられる。
○ 指導法改善の手立て
本問題では、合同な正三角形を敷き詰めた模様であることをしっかりと理解することが大切である。また、辺の長さや辺の並び方に着目させるとともに、いろいろな四角形の性質を基にして判断する力が必要である。そこで、「C図形」の領域の指導に当たっては、図形の構成要素に着目させて性質を見いださせたり、その理由を説明させたりすることが大切である。
[小学5年生 大問13]
○ 問題の概要

○ 解答状況
太郎さんの家を出発してコンビニエンスストアに途中寄り、郵便局に行くまでの時間と進んだ道のりとの関係を表すグラフを選び、選択した理由を記述させる問題であった。グラフを選択する問題の正答率は47.3と、「おおむね達成」の期待正答率55.0を下回り、さらに選択理由を記述する問題の正答率は20.0と、「おおむね達成」の期待正答率45.0を大きく下回った。また、選択理由を記述する問題での無解答率は13.3と高かった。自分の考えを筋道を立てて論理的に説明することに課題がある。
○ 指導法改善の手立て
本問題は、時間と道のりの関係をグラフに表現したものである。自転車で進んでいるときは、時間がたつにつれて道のりが長くなることや、コンビニエンスストアに立ち寄ったことに着目してグラフを読み取ることが大切である。また、そのグラフの特徴をとらえて記述するなど、日ごろの授業の中で身に付けさせていく必要があると考える。児童は、理解していることでも、それを相手に伝えるためには「何を」「どのように」記述すればよいのかを考え、論理的に表現する力を付けさせなければならない。さらに、児童には授業中に考えを述べるときは、問われていることに対して適切に答えられているかということを常に意識させることが大切であり、発表する前に自分の考えをノートに記述するなどの活動を取り入れることも効果的である。
[中学1年生 大問3]
○ 問題の概要

○ 解答状況
縦と横の長さの比が3:5の長方形の旗を作るために縦45センチメートル、横65センチメートルの長方形の布からできるだけ大きな旗を作るために長さをどのように設定すればよいかという問題であった。正答率は19.2と「おおむね達成」の期待正答率50.0を大きく下回っている。また、無解答率も12.1であった。問題の意味が理解できなかったり、比の性質を理解できていなかったりしたことが要因だと思われる。
○ 指導法改善の手立て
この問題では、問題の意味をきちんと理解できるように問題をよく読んで条件を理解することが重要となってくる。また、比の基本的な理解ができるように「たてと横の長さの比が3:5でたての長さが30㎝のときの横の長さを求めましょう。」といった基本的な問題が解けるように、比の性質を理解させる必要がある。そのようなことを踏まえて、縦を最大限に取った場合と横を最大限に取った場合で旗の面積を比べるといった、自分の解決過程を振り返る活動を、日ごろの授業においても取り組ませることが重要となってくる。さらに、計算をして解決することも大切な要素となってくるので、計算力を培っていく手立ても必要である。
[中学1年生 大問6]
○ 問題の概要

○ 解答状況
ソフトボール投げの場面で、4回投げた距離の平均を踏まえて条件に合うように5回目の距離を考え、式や言葉で説明させる問題であった。正答率は28.5と「おおむね達成」の期待正答率45.0を下回っている。また、無解答率が36.0と非常に高かった。平均の考えが十分に理解できていなかったり、考えを論理的に説明することがうまくできていなかったりしたためと思われる。
○ 指導法改善の手立て
まずは、平均の考え方を身近な題材を使って、理解させることが重要である。また、この問題は平均値を求めるような問題とは異なり、なぜこのような答えになるのかという理由を踏まえ,これをどのように論理的に説明するかということを考えさせる問題である。日々の授業の中で、自分の考えを図や式、言葉を使って適切に説明するなどの活動を取り入れ、友達に説明させることを積み重ねていくことが大切である。その際、自己評価や相互評価等を取り入れて自分の表現を見直させたり、説明を工夫させたりして、論理的に説明する力を付けていくことが必要である。
[中学1年生 大問14]
○ 問題の概要

○ 解答状況
あるケーキ店の月別売り上げに関する資料で棒グラフ、円グラフ、値段表の3つを関連付けて解決する問題であった。小問(1)の8月の売り上げが一番多かったケーキを選択する問題の正答率は9.1と「おおむね達成」の期待正答率50.0を大きく下回る結果となった。また、小問(2)の8月に売れたイチゴショートの個数を考える問題の正答率は8.7であった。条件に合うグラフを読み取り、複数の資料を関連付けて解決することに課題が見られる。
○ 指導法改善の手立て
この問題では、棒グラフや円グラフなどの複数の資料を関連付けて読み取らせることが大切な課題である。算数科だけでなく、社会科などでもこれらの内容を意識した指導が必要となってくる。また、割合の考え方も重要となり、「~の~%は~」という関係を確実に理解するとともに、実際の数値を求めることができるように指導することも大切である。さらに、計算する際、桁数が大きい場合も計算の工夫を行うなどの力が必要となってくるので、日ごろの計算練習などにおいても、意図的に桁数が大きい問題に取り組ませることが必要となってくる。
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