人の生き方から学び、自己の生き方を探る道徳の時間を提案します。

 
2 研究の実際
(3) 授業実践
B 授業実践1

↑(92.2MB)
1 主題名
「目標に向かう強い意志」 内容項目1−(2)
2 資料名
「柳川春己の挑戦」(自作資料)
3 資料について

本資料は佐賀市在住の盲目アスリートで、1996年のアトランタパラリンピックで金メダルを獲得した柳川春己さんの生き方を写真や映像でまとめ自作したものです。柳川さんが大きな目標を達成させるまでに、小さな目標をもち、こつこつと前向きに挑戦していく姿や目標を達成できない挫折を味わった経験、そしてそこから立ち直る姿は感動的で、生徒の心に強く訴えてくるものがあります。夢や目標をもつことの大切さと、その達成のためには強い意志と最後までやり抜こうとする態度が必要であることを気付かせることができる資料であると考えました。

挫折したときの気持ちやそれを乗り越えた理由を考えることを通して、柳川さんの思いと生きる姿勢に自分たちの思いを重ねながら、生徒一人一人の気持ちを交流させていきたいと考えました。

4 ねらい

盲目アスリートの柳川春己さんが挫折を経験しながらも立ち直る姿に、自分の経験や思いを重ねて考えることを通して、夢や目標をもち、達成させるために最後までやり抜こうと努力することの大切さに気付かせる。

5 展開 (形成的な評価: ●達成不十分な生徒への指導)

道徳的価値を深める手立てについてはこちら
過程
学習活動
主な発問・予想される生徒の反応
指導上の留意点
導入

道徳的価値への

方向付け

1 将来の夢や目標

について、話し合う。

 

 

○30歳になった時、あなたは

何を していると思いますか。

何をしているといいなぁと思

いますか。

 

 

・事前アンケートの結果を紹介しながら、発表し

やすい雰囲気を作る。

展開

道徳的価値の理解

2 柳川春己さんの

人生を知り、考え、意

見交流する。

・ 写真と映像を見る。

説明を聞き、考える。

 

○悔しくて涙が止まらなかっ

たのはなぜだろう。

・一生懸命頑張ったのに、

目標が達成できなかったか

ら。

・4年間の努力が無駄にな

ったから。

・けががなかったら、出場で

きていたかもしれないから。

 

・柳川さんが走るようになったきっかけや練習

方法などを、写真と映像を提示しながら紹介す

る。

・ブラインドウォーク体験を思い出させる。

・部活動や自分が一生懸命取り組んでいること

と関連させて考えさせる。

・4年に1度しかない大きな目標を達成できな

かったことの悔しさを強調して、想像させる。

・人間の弱さに気付かせ、柳川さんに共感でき

るようにする。

道徳的価値を

自分との関わりで

捉える

・ ワークシートの1に

自分の考えを書く。

 

 

○もし、あなたが柳川さんの

立場だったら、この後どうす

ると思いますか。その理由

も書きましょう。

「走ることをやめる」

・もう無理だと思うから。

・夢をあきらめると思うから。

「走ることを続ける」

・しばらく落ち込むが、また

走りたくなると思うから。

・目標に向けて、まだ頑張り

たいから。

 

 

・「走ることをやめる」「走ることを続ける」と選択

式にして、考えさせる。

自分を柳川さんの立場と重ねて判断し、その

理由を書いている。

●部活動など、今一生懸命取り組んでいる

 ことを想起するように、声掛けをする。

・ワークシートに記入した後、グループで意見

交流させる。

・意見交流の仕方として、全員の考えとその理

由を聞いた後、必ず自分と違う考えの班員に

質問したり意見を出し合ったりするように指示

する。

・全員の考えが同じ場合は、柳川さんはどうし

たと思うか予想するように指示する。

道徳的価値の理解

・ ワークシートの2に

自分の考えを書く。

 

 

◎挫折から立ち直ることがで

きた柳川さんが、心の中にも

っていたものは何だろう。

・絶対叶えたい夢。

・強い意志。

・やれるかもしれないという

自信。

・あきらめない気持ち。

・励ましてくれる人や伴走者

への感謝の気持ち。

 

・ねらいに近付けるために、聞き返しの発問を

する。

例:「どんな夢だったと思う?」

   「周りの人が励まそうと思ったのは、柳川さ

 んのどういう姿を見たからだろう?」

・補助発問「あなたは、挫折した時に心の中に

何をもっていたいですか。」と問い掛けて、自分

とのわりで価値を捉えさせる

終末

道徳的価値を発展

させていくことへの

思いや課題を培う

3 柳川さんからのメ

ッセージ(映像資料)を

聞く。


4 ワークシートの3に

授業の感想を書く。


5 教師の話を聞く。

 

 

 

 

○柳川さんの生き方を知って

感じたことや、自分の夢や目

標について考えたことを書き

ましょう。

 

 

 

 

・メッセージの終わりを問い掛けの形にして、自

分の夢や目標について思いを書く活動につな

げる。

・発表させて、価値を交流する。

・柳川さんの言葉をいくつか紹介して余韻を残

して終わる。

6 評価の観点

自分が抱く夢や目標をもち続け、達成させるために困難や失敗を恐れず、最後までやり抜こうとする意欲をもつことができたか。(ワークシート)

○自作資料の概要

      過程

                        場面・話のあらすじ        (○発問 ◎中心発問)

展開前段

教師の説明と

インタビュー

映像

@練習風景を見せて紹介する。映像を見て、分かったことを発言させる。 (映像)

                        パワーポイントスライド資料

Aパラリンピックに3度出場するまでの人生を、パワーポイントとインタビューを見せて、紹介する。

(インタビュー内容)

・走るようになったきっかけ(8歳で失明、33歳の時、盲人でホノルルマラソン42.195キロを走

った人のことを知り、自分も挑戦してみることにした。)

・走る距離を少しずつ伸ばし、目標を少しずつ高くしていったこと

・一人での練習方法(グランドに杭を打ち、そこから20メートルのロープを引き、自分の腰に

巻いたチューブにつなげる)

                         パワーポイントスライド資料

B2003年にパラリンピック選考会で、落選したことを伝える。

・2004年のアテネパラリンピックを目指していたが、2003年、合宿中にプールに入ろうとして転

倒、病院での診察の結果、左足の半月板をかなり痛めていることが判った。可能性を信じて、

アテネへの選考会を走った。完治には程遠い足をかばいながら約3時間9分で完走した。当

時44歳だった。

発問1

発問2

○悔しくて涙が止まらなかったのはなぜだろう。

○もし、あなたが柳川さんの立場だったら、この後どうすると思いますか。その理由も書きましょ

う。(ワークシート1に記入)

展開後段

教師の説明

C柳川さんのその後を紹介する。

・目標を失い、落ち込む日々が続いたが、走ることは続けたいという思いで走り続け、2004年

アテネパラリンピックの年にホノルルマラソンに出場し、9時間29分で完走。実力的にその次

の北京マラソン(2008年)を目指すのは厳しいと感じた。同じ年のある日、出席した結婚式場

で、ある競技をしている人と出会った。

・新たな挑戦が始まった。(トライアスロン)

・2005年に唐津の大会で初出場し完走。昨年(2011年)には、長崎県で、海でのスイム3.8キ

ロと自転車180キロとフルマラソン42.195キロのトライアスロンに挑戦し、完走した。

・新たな目標ができた。(4年後のリオデジャネイロパラリンピックへの出場)

 

                        パワーポイントスライド資料

発問3

◎挫折から立ち直ることができた柳川さんが、心の中にもっていたものは何だろう。(ワークシー

ト2に記入)

○補助発問「あなたは、挫折したときに、心の中に何をもっていたいですか。」

終末

 

 

 

 

 

 

柳川さんからのメッセージ(映像)

パワーポイントインタビュー映像

教師の話

○柳川さんの生き方を知って感じたことや、自分の夢や目標について考えたことを書きましょう。

 柳川さんの言葉を4つ紹介する。

パワーポイントスライド資料

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