【高校家庭】保育における学習者主体の授業づくり
                 
一人一人の存在をかけがえのないものとして受け止め,感じること,考えることを大事にしながら,「かかわる」ということを学ぶことができます。
心理劇では,そこに成立している対人関係が発展し,それにより関係の担い手としての個人が伸びます。個人が伸びることにより,対人関係を発展させる体験ができます。  
座学ではなく, 実際に身体を動かし友達と触れ合って学ぶので,情緒が動き,気付きが情緒のレベルまで深まります。

  実際に心理劇を体験した
    先生の感想はこちら
    生徒の感想はこちら

モレノ(Moreno,J.L.)によって創始され「即興劇の形式を用いて,人間及び人間を取り巻く状況を探求する科学である」 と言われています。
日常の生活の中で埋没している自発性を引き出し新しい自分の生き方を発見できます。
心理劇というシナリオのないドラマを,そこにいる人みんなで創り,楽しく演じるうちに,自己への洞察が深まり人にかかわる喜び体験ができます。
心理劇は,理論も方法もそれぞれに独自性をもちながら発展してサイコドラマ,ロールプレイ,プレイバックシアターなどの様々な形に広がり,治療や教育の場で行われています。ロールプレイは心理劇のひとつの形式です。







テーマやストーリーの骨組みは指示されますが,シナリオはありません。短い打ち合わせで役をとり,役柄を決め,班のメンバーでおよそのストーリーを設定してから演じる学習です。
心理劇を授業に取り入れる際の課題は,生徒が演じることの不安と恥ずかしさを克服しにくいことです。
正解が目に見えないので,正解を追求することに慣れている生徒には,とまどいがあります。
生徒の不安は,回数を重ねれば解決されます。
心理劇には正解や良い悪いがなく,気付くための学習ということが分かってくると,演じることを楽しむようになれます。
心理劇には,関係を担う責任・状況を見る目・関係を変えていく力を養う心理劇と課題解決の方向を探る心理劇とがあります。 
課題解決の心理劇を数回経験すると,自分一人よりあるいは友達や大人の少数意見を聴くより,クラスみんなの意見を聴くほうが,30通り以上の意見が出て,参考になると思う生徒も出てきます。
心理劇で学ぶよさは @押しつけがましくないこと A自分で気付くこと B温かく導くこと です。 




人とのかかわりを大切にし,人の気持ちを分かるようになります。
人やものとのかかわりについて,多くのことに気付くとともに,自分や人の存在を振り返り,望ましい姿を考えます。
相手に合わせて,よりよい解決方法を考えながら演じるので,相手の動作や言葉によって,よい方向にもっていこうとする生活場面の擬似体験ができます。
柔軟性のある学習手法で,感性が研ぎ澄まされます。
心理劇は,参加者の自発性創造性が育つことを目指して行います。
生徒の心の動き自主性を大切にして進めていきましょう!
 
心理劇の流れの基本
@  会   場   作   り
A  ウォーミングアッププログラム
B  気 付 き の 交 流  
C  心理劇のテーマと場面の提示
D 心理劇の役割決め ・ 話合い
E  心 理 劇 の リ ハ ー サ ル
F  心 理 劇 の 発 表
G  気 付 き の 交 流   
H  自   己   評   価

心理劇の進め方 時間配分

生徒の学習活動 指導上の留意点 50分 100分



@教室の机を片付づけ,会場を作ります。(椅子を残すこともあります)

会場作りをウォーミングアップにすることもできます。方法はこちら
心理劇の目的,約束事を確認させます。
A教師の指示に従って心理劇を始める前のウォーミングアップを行います。
気持ちを和ませ,心理劇の効果を高めるために,ウォーミングアップの指示をします。
10 20
B各グループごと円になって座り,今の気持ちを話します。
感想を一人ずつ発表させます。
解説をします。









C心理劇のテーマを聞きます。

劇を演じるためのくつろいだ雰囲気ができたら,心理劇のテーマと場面を教師が発表します。ねらいは伏せておきます。
10
D班ごとに役をとり,役柄を創り出してストーリーを話し合います。
話合いが進まない時は,教師が動きのヒントを示します。
E一斉にリハーサルを行います。
  (時間を5分程度に区切ります)
演じる時間は3分程度と指定しておきます。
Fリハーサルが終了したら,教室の前をステージにして,各班が順番に演じます。
・ステージに立ったら,班のリーダーが観客に,これから演じるストーリーを短く伝え,班員は各自で役や役柄を短く説明します。
演じ終わったときに,気付きや感想を短く発表できるように伝えておきます。
劇の始まりと終わりの合図は,教師の拍手(手を打つ)です。拍手で時間を動かしたり止めたりします。
観客役の生徒も,見ていた劇について,気付きや感想を一言ずつ言えるように伝えておきます。
20 30
G感想を一人ずつ発表します。
・1班が終わったら,次の班に入れ替わります。
1班が演じ終わったら,気付きや感想を言わせ,一人一人を認めたコメントを短く言います。



H活動を振り返り,自己評価シートを記入します。
シートをもとに話合い・発表をします。
今日の気付きや発見をまとめさせます。
30
時間配分について
時間配分はあくまでも目安です。心理劇の導入回数に合わせて,ウォーミングアップにかける時間や心理劇を演じる時間を加減してください。 ただし話合い・気付きの交流の時間は長いほど,気付きや発見が増え,学習効果が上がります。
100分授業の場合は 感想や話合い に時間をかけます。さらに同じ心理劇のテーマで,役割を交代させたり,グループの人数を変化させたりもできます。

舞台について
教室を舞台にするときは,「ここが舞台です」と手で示します。または「ここからここまでのこちら側が舞台です」と歩きながら示します。

ウォーミングアップと心理劇プログラムについて
プログラム表の中から「してみたい」「これならできそう」と思われるものを選んで,自由に組み立ててください。
演じ終わったら,感想を述べ合い気付きの交流をします。感想では必ずプラスの感想を言わせます。心理劇では「冗談でも,人の悪い所は言わない」と教えます。
プラスの感想を言わせる効果
@参加者が安心して参加できます。
Aプラス(人の長所,自分の長所)を見つけて言語化する習慣が付くと,日常でも,相手の長所を見る目が養われ,良い人間関係が持てるようになります。

劇に溶け込めない生徒がいたら・・・
グループの中に入らない・ボーっと立っている生徒がいたら,その生徒のそばに黙って立ってください。その生徒は安心するでしょう。動きたくなれば動きます。

心理劇中に,気になる言動や,生徒がはしゃぎすぎたと思ったら・・・
生徒のどんな行為も,どんな言葉も注意はしません。
人を傷つけるけるような行為,軽蔑するような言葉のときは,時間をとめて(ハイと手をたたく)「約束でした。人を傷つけるようなことはやめましょう」と言い,「ハイ,時間が動きました」と手を一つたたいて心理劇を続けます。
収拾がつかなくなった時は,手を一つたたいて「時間を止めます」と言います。そしてグループごとに「今何をしていますか」と聞きます。生徒は聞かれたことで,「あ,今,私たち何してたかな」と考えて場面にもどります。
 
心理劇を成功させるための教師の心得
生徒に無理強いをしません。役を振り当てないで生徒の自発性にまかせます。
授業の進行は騒がしいということを認識しておきます。
劇に乗れなくてもよいのです。乗れない自分を発見すればよいのです。
生徒の行為を生かします。座っていたらTVを見ている場面などにします。
(ポジティブな受け止め方をしてください。)


Copyright ©  SAGA Prefectural Education Center