「児童生徒一人一人が居心地のよさを感じる学級集団づくり」について提案します!

               
現在の位置: 2 研究の実際 (5) 対応策の実施 ウ 中学校(学年)における実践 (イ) 対応策
                   
ウ 中学校(学年)における実践
認められているという思いを高めることを目指した学年での取組
対応策
 
(イ) 対応策
 
1 研究委員、学年所属の教師による対応策の検討
  本研究では対応策の検討に当たり、「検討会シート」を用いています。    →「検討会シート」についてはこちら

  本学年においては、アンケートの結果と生徒についての学年所属の教師の日常観察から、リレーションが小グループの決まったメンバーで構成されていること、生徒が友人や先生から認められているという思いが低いことが考えらました。このことから、学年所属の教師や学級担任は、リレーションを学級全体に広げる取組をより意識して行います。検討会で出された対応策は、以下のとおりです。   
(研究委員)
・教師と生徒のリレーションの確立のために、教師と生徒で楽しさの共有ができる活動を計画する。
・生徒が、「先生が自分のことを見てくれている」という思いをもつことができるように対応する。
・些細なことでも生徒に積極的に声を掛けて、さり気ない声掛けを増やす。
・生徒のよいところ・できているところを見てほめる機会をつくる。
・目立たないが頑張っている生徒を大切にする。
・リレーションを高める構成的グループエンカウンターの授業を行う。
・学級内のルールの確立のために、ソーシャルスキルトレーニングの授業を行う。
・A、B、Cへの個別対を行い、必要であれば、家庭との連携や学級担任、学年以外の教師に協力を依頼する。
(学年所属の教師)
・リレーションの確立と同時に、ルールの確立に向けた日常的な対応に根気強く取り組む。
・ルールの確立に向けて、学年として既に共通で取り組んでいることを同一歩調で継続していく。
・ルールを守ることができていない場面では、すぐに複数の教師で対応する。
・授業などでは他学年の教師の協力が必要であるため、情報共有のために生徒の様子を積極的に他学年の教師に伝える。
・現在、行っているグループ学習を継続して取り組む。
・地道に頑張っている生徒に意識的に目を向ける。
・学校行事や学年活動で、生徒がリーダー的な役割を数多く経験できるような活躍の設定をする。
・個人のアンケートの結果を踏まえて、学級の生徒全員に教育相談を実施する。
・教師がA、B、Cへの声掛けやほめる場面を、意図的に増やして日常観察を行う。
Aについては、学級担任が友人関係についての話を聴き、必要があれば他の生徒からも情報を得て対応する。
Bについては、欠席した時の学級担任と保護者との情報交換だけでなく、登校時にも声掛けをする。
Bについては、教育相談担当や養護教諭とも情報を共有して協力し合う。
Cについては、チャイム着席や授業への参加など、努力して取り組んでいることを認めて、声を掛ける。
               
2 対応策の選択及び計画
【集団について】

ルールとリレーションの確立のために、以下のことに取り組みます。

ルールの確立に向けて、掃除や朝読書の指導、登下校の指導、休み時間や放課後の生徒の様子を観察するなど、学年として既に共通で取り組んでいることを、学年所属の教師が同一歩調で継続していくことで、生徒が集団生活の規律の中で安心して学校生活を送ることができるようにします。

リレーションの確立に向けては、身近な友人関係は良好であるものの誰とでも活動できるほどには広がっていないことや、友人や教師から認められいるという思いをもつことができずにいる生徒が多いという実態が考えられます。このような学年の実態を踏まえて、1学期に各学級で、生徒同士が互いのよさを認め合うことができるような活動に取り組みます。2学期は、学校行事への生徒の取組を行事後の振り返りにつなげて、生徒が、「ルールを守って、みんなで一緒に取り組んでよかった」と思えるような活動や、互いの行事への取組を認め合う活動に取り組みます。具体的にはこのような活動を、授業の中で構成的グループエンカウンター(SGE)のエクササイズで行い、友人から認められているという思いを高めるようにします。
  学年所属の教師は学校行事の際に、リーダー的な役割を数多く経験できるような活躍の場を多く設定します。また、学級ではグループ構成に配慮して、生徒が様々なメンバーと内面的な交流の機会をもつことができるようにします。リーダー以外の生徒と積極的に交流し、学年や学級の集団としてのよい面や、個人としてのよい面を認めて生徒にフィードバックし、教師から認められているという思いを強く感じられるようにします。

【個人について】
学級担任は、アンケート結果を踏まえて学級の生徒全員と教育相談を実施します。
A、B、Cの3人については、学年所属の教師で情報を共有し、授業や休み時間などの観察や声掛けに生かします。
〈Aについて〉
学級担任が、早急に友人関係についての話を聴き、必要があればすぐに他の生徒からも話を聴くなどの対応をします。
〈Bについて〉
欠席した時の学級担任と保護者との情報交換だけでなく、学年所属の教師も登校時などに声掛けをします。
〈Cについて〉
授業に間に合う、ノートを取るなどの望ましい行動をほめて、よい面での声掛けを増やします。
 
3 実施した対応策
時期
活動内容
ねらい
展開
ワーク
シート等
学年の職員と
連携した取組み
5月
「がばいシート」(1回目)実施
学級集団や個人の様子について、学級担任・学年主任・教育相談担当との情報交換
6月
研究委員による対応策の検討
研究委員による検討会を受けて、学年所属の教師による検討会及び実践計画の作成
・学級担任がアンケートの結果を踏まえて、学級の全ての生徒との教育相談を実施する。

・配慮を必要とする生徒A、B、Cの情報を学年所属の教師で共有して、授業や休み時間などの観察や声掛けを行う。・学校行事の際にいろいろな生徒がリーダーの役割を経験できるようにする。生徒の出番を増やす。

・学年や一人一人のよい面を認めてフィードバックし、評価の視点を増やす。
7月
実践@
各学級
小グループ
(4〜5人)
SGE
「私の四面鏡」
選択理由
肯定的な印象を伝え合うことで一人一人の自己肯定感を高め、より深い人間関係を築くためのきっかけにさせる。
9月
実践A
学年集会
小グループ
(4〜5人)
SGE
「私の四面鏡
・体育大会編」
選択理由
体育大会の取組について振り返り、互いの活動を認め合うことで、達成感を味わわせる。
 
11月
実践B
各学級
中グループ
(5〜8人)
SGE
「私の四面鏡
・文化発表会編」
選択理由
文化発表会の取組について振り返り、互いの活動を認め合うことで、達成感を味わわせる。
11月
実践C
各学級
(全員)
SGE
「クラスの中の私」
選択理由
自分や学級の友だちのパーソナリティを改めて振り返り、互いに伝え合うことで、相互理解を深めさせる。
11月
「がばいシート」(2回目)実施
「がばいシート」(2回目)を受けての学級集団や個人の実態把握及び考察
 ※ 各実践の前後に、学年の職員との情報交換や授業の振り返りを行いました。 
   

〈実践内容の選択理由〉 

実践@ SGE「私の四面鏡」                   →元の位置に戻る       →この実践の展開へ
 教師の日常観察から、仲のよい友人との交流は多いが、誰とでも話したり活動したりできる雰囲気が不足しているため、リレー
ションづくりのきっかけにするために、SGE「私の四面鏡」を行いました。生徒が互いのよさのみに目を向けることができるように
するために、あらかじめ示した項目から選択して互いに肯定的な印象を伝え合うようにしました。日頃一緒に活動することが多
いメンバーである生活班の4人で行い、身近な友人に認められているという思いをもてるようにするとともに、各学級で同時期に
行うことで、実践A、Bの活動をスムーズにできるようにすることもねらいとして選択しました。
 
実践A SGE「私の四面鏡・体育大会編」         →元の位置に戻る      この実践の展開へ 
 体育大会は、学級や学年全体で取り組む行事であり、ルールの中で活動しながらリレーションを高めるよい機会であると考えま
した。「ルールを守って取り組んだから成功した」「みんなで一緒に頑張ってよかった」という思いを共有して達成感を味わうこと
ができるように、学年集会でSGE「私の四面鏡・体育大会編」に取組みました。学級担任が事前にSGEの内容と目的を説明し
て、体育大会の取組期間中に班の友人がどのように頑張っているかよく観察するように声を掛けておくことで、友人のよい面に
目を向けながらこの期間を過ごすこともねらいとしました。2学期の新しい生活班の4人で行い、身近な友人に自分の頑張りを認
められているという思いがもてるようにすることでリレーションを高めることをねらいとして選 択しました。
 
実践B SGE「私の四面鏡・文化発表会編」       →元の位置に戻る     →この実践の展開へ
 文化発表会は、学級や学年全体で取組む行事であり、ルールの中で活動しながらリレーションを高めるよい機会であると考えま
した。学年合唱や劇、展示制作など、学級の枠を超えたメンバーと一緒に活動し頑張ってよかったという思いを共有して達成感
を味わうことができるように、SGE「私の四面鏡・文化発表会編」に取り組みました。学級担任が事前にSGEの内容と目的を説
明して、文化発表会の取組期間中に同じ活動の友人がどのように頑張っているかよく観察するように声を掛けておくことで、友人
のよい面に目を向けながらこの期間を過ごすこともねらいとしました。同じ活動のメンバーで行い、一緒に活動した友人に自分の
頑張りを認められているという思いをもつことができるようにすることで、リレーションを高めることをねらいとして選択しました。
 
実践C SGE「クラスの中の私」               →元の位置に戻る      →この実践の展開へ
 学校行事も終わり、進路選択のための面談を控えて、生徒は不安を抱えて生活する時期に差し掛かっています。この時期に、学
級の全員と互いの印象を肯定的に伝え合うことで一人一人の長所を再確認させて、学級で安心して過ごすことができるようにす
るために、SGE「クラスの中の私」に取り組みました。学級の全員から自分のパーソナリティを肯定的に見てもらい、自筆で書いて
もらったカードを受け取ることで、学級の中で
頼りにされたり役に立っている自分に気付き、相互理解を深めることで学級全体の
リレーションを高めることをねらいとして選択しました。
 
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