好ましい人間関係を育てる開発的・予防的教育支援の在り方の研究

○ 面接における留意点(参考資料)  


  

研究担当者が、高等学校の現場の先生方の協力を得ながら面接を行った際に、留意した点
をまとめています。必ずしもすべての面接に当てはまるとは限りませんが、小・中・高等学校
の教育相談担当、養護教諭、学年主任、また学級担任の先生方が児童生徒や保護者の方
と教育相談をする際の参考資料として御利用ください。


(1)面接の前に 

   
 
事前準備
・事前に学級担任の了解を得る。
・対象生徒の学校での様子、好きなこと、嫌いなこと等の情報を得る。
・対象生徒が初めての面接で緊張しないように、対象生徒と事前に何度か顔を合わせる機会をつくり、信頼している教師からそれとなく面接者の人柄を話してもらっておく。
・対象生徒が面接者と話をしたいという気持ちがあれば実施するということを伝え、決して無理に面接の場を設定しないようにする。
場所の確保 ・対象生徒が安心して過ごせるような部屋(例:相談室、和室、空き教室、会議室等)を確保しておく。
・部屋の中は掃除をして余計なものが目に付かないようにする。
・可能なら観葉植物やぬいぐるみなどほっとできるようなインテリアを置く。
服装 ・対象生徒に刺激を与えないように、派手な服装は避け、アクセサリーや化粧も控えめにする。
   

(2)面接中

 

 
 
対象生徒との距離と位置 ・正面で向かい合って話をするのは緊張しやすいので避け、斜めに、場合によっては横に並んで話をする。
・面接者が先に座り、対象生徒が面接者との距離を決められるようにする。
枠組の設定 ・あらかじめ対象生徒の当日のスケジュールを確認し、終了時刻を予告しておく。
・面接時間は毎回同じ長さが望ましい。(例:50分)
リレーションづくり(初回面接) ・対象生徒が時間をつくって面接に来てくれたことに対して、面接者の素直な気持ちを述べる。
・はじめに自己紹介をして緊張感を和らげる。
・対象生徒の好きなこと、興味のあることについてあらかじめ情報を得ておき、その話から始める。
基本技法


















 

@受容
  面接者は受容することで自分の考えに固執せず、対象生徒と同じ考えをもつことができる。また、生徒は受容されることで、面接者を受け入れる。とがめられることがないので自己肯定感が高まると考える。すぐにアドバイスをしたり、解決策をほのめかしたりせず、まず相手の気持ちに寄り添い話を聴くことを心掛ける。
A繰り返し
  繰り返しとは、聴いたことを繰り返すことであるが、この方法で対象生徒の自問自答を促進することができる。難しい話ばかりしたり、同じことを何度もしゃべったりする場合には「あなたの言いたいことを一言で言うと〜ということですか?」と尋ねることもある。
B明確化
  明確化とは生徒が言葉にはしていないが、潜在的に気付いていることを面接者が言葉にして返すことである。例えば、不登校気味で「授業が嫌。」と言っている生徒に「授業が楽しければ学校に来たい、と言っているように聞こえるけど?」と投げ掛けることである。言葉だけに惑わされず、どのような気持ちでその言葉を使っているのかを考えながら聴く。
C支持
  面接者が対象生徒に「私もそう思うよ。」と賛同することである。この方法は自己受容を促進する。ただし、支持するためには根拠が必要である。理論的な根拠を出したり、類似の事例を出したりする。また、面接者自身のこれまでの経験を紹介することもある。
D質問
  情報収集のために、また相手に考える時間を与えるために質問をする。質問には2つの種類がある。一つは閉ざされた質問(closed question)である。これはYESかNOで答えられるものである。詰問風になるので恐怖心を与える恐れがある。もう一つは開かれた質問(open question)である。これは自分の言葉で答えるような質問である。話すのが苦手な人には負担になることもあるので、この2つを取り混ぜて質問するようにする。また、聞かれて嫌なことは後回しにする。当然であるが、面接者本人の好奇心を満たすような質問はしないように注意する。

※参考文献「学校カウンセリングの基本問題」 國分康孝 誠信書房 1987
対象生徒の観察 ・服装、持ち物、顔の表情、言葉遣い、声の大きさや抑揚、身振りや手振り、そして癖などに注意しながら話を聴く。話している内容と態度や表情にギャップがある場合は、どういう気持ちなのか気を付けながら話を聴く。
   

(3)面接後

   
 
関係職員との打ち合わせ ・次回の面接の日程について予告をする。
・プライバシーや個人情報に気を付けながら、関係職員と対象生徒の情報交換をし、今後の支援の方向性を話し合う。
(4)その他の留意点
   
 
・面接者は、スクールカウンセラーや教育センターのスーパーアドバイザーに面接の経過を報告し、助言を受けた。
・学校の教師(学級担任や教育相談担当等)が面接する場合は、スクールカウンセラーや臨床心理士とは
立場や役割が異なるので、かかわりの境界を明確にし、限界を認識しながら行った。

 

 

   

 

 

 

 


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最終更新日: 2010-03-02