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対象を立体的にとらえる力を養う指導法を提案します

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実践事例2   美術科   中学校 第2学年 


 

1  題材名 「すてきな模様の小物入れを作ろう 〜篤姫の小物入れ〜」 (工芸・木彫)
                                     (平成20年11月実施 35名)

                    
   

 

題材とその指導について

       

 木彫は、小学校の図画工作科でも教材として用いられることが多く、ほとんどの生徒が彫刻刀で木を彫るという経験をしており、とても親しみやすい題材である。木彫は彫刻の1種である。粘土を用いた彫塑と違い一度削り落としてしまうと、その部分はやり直すことはできないという特徴がある。そのために自分がどのような形を作りたいのかというイメージをしっかりともっていないと制作段階で失敗しやすい。このことは生徒の「木彫嫌い」を生み出す原因の一つと考えられる。ワークシートを用いた作業過程と模様デザインの確認を通して、自分が考える模様を彫るためにはどのような手順を踏めばよいのかということを学ばせ、木を彫ることのすばらしさを生徒に味わわせたい。
       
 今回の題材で最も時間を費やすのは、木彫で模様を彫ることである。模様のデザインについては、基礎的な彫り方や彫刻刀の使い方を学べるように配慮し、指導に用いる資料に例示してある幾何学模様の彫り方と、「浮き彫り」で彫ることができる植物のデザインとした。
       
 これまでの美術教育、特に立体・工芸領域はどちらかというと制作重視の表現活動になることが多かった。このことを考慮し、今回は「篤姫の小物入れ」というテーマを設定した。このテーマ設定を通じて、生徒が自分なりの思いや発想・構想を作品に投影する過程を明確にすることで、新学習指導要領で重視されている「発想・構想の能力」の育成ができるものと考えている。NHKの大河ドラマ等で話題となっている篤姫という人物像を通して、そのイメージを膨らませ、自分がもったイメージをどのように作品に込めていくかという過程は、これまでの技術指導中心の美術教育から、思いを大切にする美術教育へ移行する1つの方策になると考える。
           
       
 生徒は、美術に対する関心が高く、制作に関する意欲が高い。生徒一人一人が関心をもち、意欲を高められるようなICT教材と関連するワークシートを用いて、順序立てて考えることができるように丁寧に指導していきたい。
           
       
 指導に当たっては、導入の段階でICTを活用した視聴覚教材を用い、生徒が彫りたい模様のデザインが、どのような作業手順を踏めば制作できるかということを分かりやすく提示したい。また、作業手順を忘れた場合でも、ICT教材を自分で操作し、何度でも振り返って学習できるような手立てを取り、基本的な彫り方や彫刻刀の使い方などの技能に関する定着を図りたい。
           またワークシートについては、@単元の作業工程を計画し、実際の制作後、反省と次回の見通しを立てる「思考力」を養うためのシート、Aデザインの発想・構想についてアイデアから具現化し、「構成力」を養うためのシート、B知識の定着と技能の向上を図り、技能に関する「表現力」を養うためのシート、C制作後、生徒作品の相互鑑賞に用い、言語活動における「鑑賞の能力」を養うためのシート、以上の4つのシートを作り、立体制作の表現活動と鑑賞活動において、生徒が自ら意欲的に取り組めるようにし、基礎的な造形力の向上につなげたい。
           
   

 

題材におけるICTの活用について

         

本題材においては、授業場面における教師のプレゼンテーション(タイトルを自分で考える/美術のジャンルにおける工芸・木彫の位置/テーマ設定「篤姫の小物入れ」について/アイデアスケッチを考える など)と、生徒が自分で操作する資料(「いろいろな彫り方を学ぶ」プレゼンテーションソフト)において使用した。

(使用ソフトは「マイクロソフト オフィス パワーポイント2003」)

         
   

 

本題材で設定した評価規準

           「すてきな模様の小物入れを作ろう 〜篤姫の小物入れ〜」で設定した評価規準。              

詳細はこちらPDF

         
   

 

題材の目標

        (1)  ICT教材を用いて基本的な彫り方と彫刻刀の使い方を理解し、自分のデザインのどの部分に活用できるかを考え、制作に生かすことができる。(創造的な技能)
        (2)  制作手順をイメージし、計画を立てようとする。(美術への関心・意欲・態度)
        (3)  篤姫のイメージを生かしたデザインについて、アイデアスケッチから立体構造にいたるまでのイメージを描き表すことができる。(発想や構想の能力)
        (4)  鑑賞活動において、他の作品のよさや作者の思いを感じることができる。(鑑賞の能力)
           
   

 

題材の指導計画 (全7時間)

        第1次  美術のジャンルごとに様々な作品を鑑賞し、そのよさに触れながら、美術における木彫工芸の位置付けについて学習する。
         
(1時間)本時@
        第2次  「篤姫」に関する資料をもとにイメージを膨らませ、装飾に関するアイデアスケッチをワークシートを活用して行う。
         
(1時間)本時A
        第3次  アイデアスケッチを描き、互いに鑑賞し合う。
           正投影図について学習し、デザインの平面図を描く。                    
         
 (1時間)本時B
        第4次  制作する。(木彫・下地処理・塗装)
         
(3時間)
        第5次  完成した作品を相互鑑賞する。
         
(1時間)
           
   

 

準備

        (教師)  参考作品、コンピュータ、プロジェクター、紙やすり、塗料類、刷毛、ワークシート、付せん
        (生徒)  小箱、彫刻刀、作業台布
           

 8 学習指導の実際 

     本時@の学習指導 (1/7) 

図1 授業風景
図2 制作段階の説明

    本時Aの学習指導 (2/7) 

図3 感想の発表 1
図4 感想の発表2

    本時Bの学習指導 (3/7) 

図5 いろいろな彫り

     方の説明

図6 プレゼンテーションソフトを操作する生徒
評価観点の表記
【関心】
美術への関心・意欲・態度
【発想】
発想や構想の能力
【技能】
創造的な技能
【鑑賞】
鑑賞の能力

このボタンをクリックするとその場面における指導のねらいと授業の実際を見ることができます。

 

  8 学習指導の実際 (1/7)  本時@  場所:美術室 

 
○ 本時の目標
@
絵画を鑑賞し、作品に込められた作者の思いを考えることができる。
A
美術の様々なジャンルを学び、今回取り組む「工芸・木彫」について、他の表現方法との違いなどを知ることができる。
○ 本時の展開


 学習活動
 教師の指導・支援と評価
□ 生徒の具体的な学習活動
   関連して学習内容も記載
○ 教師が行う指導・支援
   評価や主な発問については □ 囲みで記載
   関連するワークシートのページ・項目番号を[ ]で記載   



1.
本時のめあてを知る。
@ 作者の思いを知る。
A 美術の中の工芸について知る。
○技術的にものを作ることと、美術としてものを作ることの違いについて触れる。
2.
「思い」について考える。

教師の発問
製品としての作られたものと、作品として作られたものは何が違うのだろうか?




1.
作者の思いを知る。


 図7 モナリザの解説

□ 4つの絵画作品を鑑賞し、その作品の作者になったつもりでタイトルを考える。またどのような思いを込めて制作したかということを考える。
○作品はプレゼンテーションソフトにて掲示し、簡単に説明をする。

作品1
「モナリザ」
レオナルド・ダ・ヴィンチ
 
作品2
「青いターバンの少女」
ヨハネス・フェルメール
○ 比較用に同作者の「牛乳を注ぐ女」も見せる。
作品3
「接吻」
グスタフ・クリムト
 
作品4
「若い女の坐像」
小磯良平
 
  ○ 生徒にそれぞれ自分が考えたタイトルと、想像した作者の思いを発表してもらう。

○ 美術は「思いを表現する1つの手段」であるということを伝える。

[ワークシート 2p 2 いろいろな作品を鑑賞してみよう]
 

《評価》
【関心】【鑑賞】 作者の思いを自分なりにイメージして、タイトルや感想を書くことができる。
《支援》
感想がなかなか書けない生徒には、絵の構図や色、形などから受ける印象を聞き、支援を行う。

2. 美術の中の工芸について知る。
○ 美術には様々なジャンルがあり、その1つに工芸があることをサンプルの作品を見せながら知らせる。

 図8 ジャンルの説明

@ 平面表現
  (1) 絵画
  (2) デザイン
A 立体表現
  (1) 彫刻
  (2) 工芸
○ 美術のジャンルごとにいくつか作品を掲示する。
□ それぞれのジャンルで紹介された作品に対しての感想と、表現技法や材質の違いについて、考えたことをワークシートに記入する。 [ワークシート 2p 2 いろいろな作品を鑑賞してみよう]
B 彫刻の木彫と工芸の木彫
  (1) 表現技法
  (2) 用途
○ 木彫という木を彫る表現は彫刻と工芸の2つがあり、その表現の違いをきちんと区別させる。
  ○ 日用品として普通に使うことができるという面と、1つの作品として鑑賞することができるという面を兼ね備えたものが「工芸」であるということを説明し、いくつかの工芸作品を紹介する。

 図9 木彫装飾の紹介

C 装飾を施す意味
D 装飾の種類と技法
○ 工芸作品の中で表現としての「装飾」の素晴らしさを伝える。
□ 装飾についての感想を書く。 [ワークシート 3p 3 木から作られる作品について、思ったことや調べようと思ったことを書きましょう]
 
《評価》
【鑑賞】 ジャンルの区別について理解でき、それぞれの表現形態や様式のよさについて理解することができる。
【鑑賞】 装飾による表現のよさや、工芸作品のよさを理解することができる。
《支援》
ジャンルや装飾、工芸作品について理解できていない生徒については、素材の違いや作品の制作過程の違いについて考えることを促す。
装飾や工芸作品のよさが気付くことができない生徒には、生徒の身近にある工芸作品を挙げ、日常生活のなかに工芸作品があることのよさに気付かせる。
3. 木彫の制作手順を知る。
□ 工芸・木彫の制作手順について理解する。

 図10 制作段階の説明

@ 装飾デザインを考える。
A デザインをトレースする。
B デザインにあった彫り方で彫る。
C 仕上げをする。(下地作りなど)
D 塗装をする。
[ワークシート 3p 1 スケジュールと制作内容を確認しよう]
  ○ どのような制作過程で制作していくかという作業工程を使用する道具等も併せて説明する。
 
《評価》
【技能】 日程を含めた全体的な制作手順と、それぞれの作業段階で使用する道具等を理解できる。
《支援》
なぜこのような制作手順を踏まえなければならないのか、という理由を丁寧に説明し、理解を促す。
4. 今回の工芸・木彫におけるテーマについて学習する。

□ 「篤姫の小物入れ」というテーマについて、テーマ設定の意味を理解する。

 図11 篤姫の紹介

○ なぜ、木彫の制作にテーマを設定したかという理由を説明する。

○ 篤姫という人物を、簡単に説明する。

○ 篤姫について、ワークシートにある項目について調査することを次時までの課題とする。

【調べてくる項目】
@ 生い立ち
A 時代的背景
B 性格
C 名言・武勇伝など
D 行ったことや与えた影響
E 共感できるところ
F 調べてみての感想

教師の発問の概要
美術の工芸作品を制作するときに大事なことは、「どういう思いで作品を作ろうとしているか」ということを明確にし、その思いが伝わるようなデザインを考えることである。そして今回の制作においてテーマを設定した理由は、自分なりの思いをしっかりともつということとその思いを形に表すとき、自分なりの美しさを加えつつ、どのようなデザインにすればよいかということを学習するためである。
□ 次時までの課題として、篤姫について項目にあることを自分なりに調べてくる。 ○ 課題の提出日は次時の2日前に設定し、事前に生徒のワークシートを画像としてコンピュータに取り込んでおく。
 
《評価》
【発想】 テーマ設定をする理由を理解することができる。
【発想】 篤姫のことについて項目ごとに調べることができる。
《支援》
テーマをもって自分が作りたいものを作ることの大切さを、様々な名画のエピソードを交えて紹介し、理解を促す。
調べ方のヒントや参考資料について紹介する。

 

 

  8 学習指導の実際 (2/7)  本時A  場所:美術室

○ 本時の目標
@
「篤姫」について調べてきたことを発表し合い、自分なりの「篤姫の小物入れ」のイメージをもつことができる。
A
自分のイメージをアイデアスケッチとして表現することができる。
○ 本時の展開


 学習活動
教師の指導・支援と評価
□ 生徒の具体的な学習活動
   関連して学習内容も記載
○ 教師が行う指導・支援
   評価や主な発問については □ 囲みで記載
   関連するワークシートのページ・項目番号を[ ]で記載   



1.
本時のめあてを知る。
@ 篤姫について知る。
A いろいろな彫り方について知る。
 
2.
課題に取り組んでの感想を発表する。

□ 「篤姫」についての調べ学習に取り組んでの感想を発表する。 ○ 生徒のワークシートへの取り組みについて、よかった点と次回見直したほうがよい点を知らせる。




1.
「篤姫」について知る
@ 調べてきたことを発表し合う  
 (1) 友達が調べてきたことを知る

  図12 感想の発表1

□ 友達の調べてきた内容について検討し合う。
○ 事前に画像としてコンピュータにとりこんでおいた生徒のワークシートをプレゼンテーションソフトで映し出し紹介する。






○ 生徒が調べてきたことについて他の生徒に感想を聞く。
 (2) グループを作り、話し合う
  図13 生徒のワークシート

□ 3〜5名のグループになり、自分たちが調べてきた内容についてお互いに発表し合う。
□ グループとしての「篤姫」の人物像をまとめ、代表者の生徒が発表する。
















○ 代表者が発表した内容を板書する。
A 「篤姫の小物入れ」をイメージする
□ 自分で調べてきた内容や友達の発表などを聞いて、篤姫の人物像を思い描き、「篤姫の小物入れ」としてどのようなデザインがいいか想像してみる。
□ イメージがある程度固まってきたらアイデアスケッチを行う。








[ワークシート 6p  7 模様のアイデアスケッチをしよう]

図14 生徒のアイデアスケッチ
○ 頭の中にイメージはあっても、絵として描き表せない生徒は文章や箇条書きでもよいということを伝える。また、1つのアイデアスケッチだけではなく、できるだけたくさん描き、その中からよいものを決めたり部分をつなぎ合わせたりするなど、イメージを再構成する方法を知らせる。
  ○ 人物像がある程度固まっている生徒で、アイデアスケッチに移行できない、または箇条書きにできないで悩んでいる生徒には次の点に留意しながら個別指導を行う。

個別指導における項目
@ 人物像を文章で書き表させる。
A 文章の中で、特徴を表している単語1つ1つを取り出し、それをマークのような単純な形に置き換えるとどうなるかということを考えさせる。
B 形が思いつかない場合は、単語を箇条書きにさせ、単語から発想できるものを連想ゲームの要領で別のものに置き換えて発想させる。
C 発想したものを組み合わせたり、単純化したりして、自分なりのイメージを組み立てるように促す。
 

《評価》
【関心】 「篤姫」のことについて自分なりに調べることができる。
【発想】 調べてきたことを基に自分なりの人物像をイメージし,アイデアスケッチで表現したり言葉で表現したりすることができる。
《支援》
思うように調べることができなかった生徒には、グループの生徒が調べてきた内容から自分なりのイメージをつかむことを促す。
イメージがなかなかつかめない生徒には、その人物の生きた時代背景や、行ったことなどを1つ1つ想像させ、自由に人物像を思い描くことを促す。

2. いろいろな彫り方について知る□ 作りたいデザインがある程度固まったら、それをどのようにして制作するか、いろいろな彫り方の技法を学びながら考えていく。



図15 いろいろな彫り方の説明
○ 資料集にある、いろいろな彫り方と併せて学習するように知らせる。

○ プレゼンテーションソフトについては、次回の授業で生徒が自由に操作できることを伝える。また、本時の学習では、彫り方の種類と彫って出来上がる立体としての形がどのようになるかということを知ることが目的であることを伝える。

図16 菱合い彫りの説明1
○ 彫り方の解説について表示されているアニメーションが、真上からの図・断面図・斜めから見た図の3方向から見た図であるということを説明する。

○ 彫り方によって、使用する彫刻刀の種類や刃の方向などが変わることを知らせる。

図17  菱合い彫りの説明2
○ 動画については、ここでは簡単に見せる程度とし、次の時間は生徒が自由に操作できるようにする。

○ 彫刻刀を使うときは刃先に指を置かない、周囲の安全を確認する、道具の管理をきちんと行うなどの安全指導を行う。
□ プレゼンテーションソフトで学んだことをワークシートに記入する。
[ワークシート 4p  5 いろいろな彫り方を学ぼう]
 
《評価》
【技能】 作りたいと考えている形(立体)を彫るにはどのような彫り方をすればよいか理解することができる。
《支援》
彫り方によって形や手順が異なることを見本を見せながら理解させる。
3. アイデアスケッチを描く
□ 学んだ「いろいろな彫り方」を考慮して、自分がイメージしているアイデアスケッチを深める。

[ワークシート 6p  7 模様のアイデアスケッチをしよう]


図18 生徒のアイデアスケッチ1
○ 言葉で自分のイメージを書いている生徒には、次のことを留意しながら、図としてアイデアスケッチを考えさせる。

個別指導における項目
@ 言葉から形を連想させる。(幾何学図形など)
A 具体的なもの(草木など)をイメージさせて、それをデザイン化させる。
B 小さなデザインを描かせ、それを複数並べてレイアウトを考えさせる。
C 単調なデザインとならないようにアクセントを入れることをアドバイスする。
□ 次時までの課題として、アイデアスケッチを考えてくる。
[ワークシート 6p  7 模様のアイデアスケッチをしよう]
○ 課題の提出日は次時の2日前に設定し、事前に生徒のワークシートを画像としてコンピュータに取り込んでおく。
 
《評価》
【発想】 技法を考慮しつつアイデアスケッチを考えることができる。
《支援》
言葉でのイメージからアイデアスケッチへの移行が難しいと感じている生徒には、単純な形を並べたり、組み合わせたりと例を示し、じっくり取り組むよう促す。

 

 

  8 学習指導の実際 (3/7)  本時B  場所:美術室

○ 本時の目標
@
アイデアスケッチを木彫装飾デザインにすることができる。
A
装飾デザインを立体の形として考え彫り方を考えることができる。 
○ 本時の展開



 学習活動
教師の指導・支援と評価
□ 生徒の具体的な学習活動
   関連して学習内容も記載
○ 教師が行う指導・支援
   評価や主な発問については □ 囲みで記載
   関連するワークシートのページ・項目番号を[ ]で記載   



1.
本時のめあてを知る。
@ アイデアスケッチを鑑賞しあう。
A 正投影図について知る。
B 装飾デザインの平面図を描く。
 
2.
課題に取り組んでの感想を発表する。
□ アイデアスケッチに取り組んでの感想を発表する。





1.
アイデアスケッチを鑑賞し合う
@ 友達のアイデアスケッチを鑑賞する
□ 友達のアイデアスケッチを鑑賞し、自分なりの意見をもって批評しあう。

図19 生徒のアイデアスケッチを提示した様子1
○ 事前に画像として取り込んでおいたワークシートのアイデアスケッチを映し出し、生徒に感想を聞く。

○ アイデアスケッチを描いた生徒に、自分が表現したかったことと、見た人の感想を比べての意見を聞く。

図20 生徒のアイデアスケッチを提示した様子2

教師の発問
デザインや工芸では、自分が伝えたいと考えている「思い」が相手に伝わることが大切である。いろいろな願いや思いを込めたデザインを見た人が、その思いを少しでも理解できるようなデザインであることが、絵画・彫刻との大きな違いである。
A グループで鑑賞・批評し合い、アイデアスケッチを見直す。

□ グループでお互いのアイデアスケッチを見せ合い、意見交換する。その中で、自分のアイデアスケッチに手を加えたほうがよいところが見付かれば描き直してみる。

[ワークシート 6p  7 模様のアイデアスケッチをしよう]

図21 生徒のアイデアスケッチ2
○ グループ(3〜5名)の中で、自分のアイデアスケッチを見せ合わせ、お互いに鑑賞・批評をさせる。

○ 友達の意見にアイデアスケッチを練り直したほうがよいという意見があったり、迷った場合は描き直してみることを勧める。
 
《評価》
【鑑賞】 友達のアイデアスケッチを鑑賞する。
【発想】 グループで鑑賞・批評し合い、アイデアスケッチを見直す。
《支援》
友達のアイデアスケッチに対して、なかなか自分の意見を言えない生徒には、よいと思った点や小さな疑問でもよいので箇条書きにして発表することなどを勧める
自分のアイデアスケッチへの友達の意見に対して、うまく取り入れられない生徒には、その理由を聞く。そして「思いが伝わるデザイン」を考えることを促す。
2. 正投影図について知る
□ 立体を平面図に置き換える投影法について学ぶ。
□ アイデアスケッチを図面として描く場合に、どの投影法を使い、どのようなことに注意して描けばよいかを学ぶ。
□ 平面図から立体をイメージする方法を学ぶ。

図22 正投影図の説明1
○ 立体を平面で表す方法として正投影図を挙げ、3つの図に描く考え方と方法をプレゼンテーションソフトを使って説明する。


図23 正投影図の説明2
○ どこかの面を手がかりとして考えると分かりやすいということを伝える。

図24 正投影図の説明3
○ 逆に3つの平面図から立体をイメージできるようになることも大切であることを伝える。
□ 自分のアイデアスケッチを3つの図に描きおこす場合どのような図になるかということを考える。 ○ 最初は真上から見た図(上面図)がどのようになるかを考えさせ、次に断面図(側面図)について考えさせる。
 
《評価》
【技能】 平面図から立体を、また立体から平面図をイメージする方法を理解することができる。
《支援》
平面図から立体をイメージすることが難しいと感じている生徒には、平面図の角に当たる部分から面に対し垂直に線を延ばし、別の平面図から伸ばした垂線と重なるところが立体の角となることを伝え、面をイメージする足がかりとさせる。
3. 装飾デザインの平面図を描く
□ 実際にプレゼンテーションソフトを操作し、どのような彫り方があるかという種類と、どのようにして彫るのかという技法について学習する。
□ 自分が描いたアイデアスケッチを立体化するには、どの技法を用いて彫ればよいか考える。
□ 技法を考慮しつつ、アイデアスケッチを平面図に描き起こす作業を行う。










[配付した平面図に記入]

図25 ソフトを操作する生徒の様子
○ プレゼンテーションソフトの最初に、いろいろな彫り方を紹介している目次があることを知らせ、操作方法を確認する。

図26 いろいろな彫り方の説明(アニメーション)
○ ソフトで紹介してある彫り方の中で、難しい彫り方については3面図(1つは斜めからの図)で解説してあることを確認し、彫刻刀のアニメーションをそれぞれの面で見比べ立体をイメージしていくことを知らせる。

図27 いろいろな彫り方の説明(動画)

図28 動画を見ている生徒の様子
○ 動画については、画面下部にある操作ボタンで一時停止や早送り、繰り返しなどができることを知らせ、彫り方について分かるまで見てよいことを伝える。



図29 用意した3種類の平面図
○ 平面図を描く用紙は3種類用意し、生徒が自分のアイデアスケッチを図面にする際描きやすい補助線が入った用紙を選ぶことができるように準備しておく。

図30 生徒が下書きした図


□ 彫り方や描き表し方について理解できたら、装飾デザインを平面図に描き表す作業を行う。
 
□ 間に合わない場合は次時までの課題として平面図を描いてくる。 ○ 課題の提出日は次時の2日前に設定し、事前に生徒のワークシートを画像としてコンピュータに取り込んでおく。
 
《評価》
【技能】 自分のアイデアスケッチを基に装飾デザインの平面図を描くことができる。
《支援》
描いている平面図が、立体として制作できない状態の生徒には、1つずつ構造を捉えながら考えることを促す。

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最終更新日: 2009-03-30