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食生活における確かな実践力をはぐくむ中学校家庭科の授業を提案します!

2 研究の実際

(1)3年間を見通した指導計画の作成

  本研究を進めるに当たっては、生徒が自らの食生活における課題を設定し、解決するための方法を考えて実践を重ね、解決を図るという学習過程を明確に位置付けた指導計画が必要だと考えました。 そこで、改訂された学習指導要領の趣旨を踏まえて、指導計画を立てることにしました。
以下の2点を踏まえ、中学校3年間を見通した指導計画を作成しています。
  @ 新学習指導要領における中学校技術・家庭科(家庭分野)の改善の基本方針とその内容
  A 小学校家庭科及び中学校技術・家庭科(家庭分野)の学習内容の系統性


@新学習指導要領における改善の基本方針
 
平成20年1月に中央教育審議会から出された答申の中では、小学校家庭科、中学校技術・家庭科(家庭分野)における改善の基本方針について、次のように示されています。
自己と家庭、家庭と社会とのつながりを重視し、生涯の見通しをもって、よりよい生活を送るための能力と実践的な態度を育成する視点から、子どもたちの発達の段階を踏まえ、学校段階に応じた体系的な目標や内容に改善を図る。    ※中央教育審議会「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領の改善について」(答申)より引用
この基本方針には、目標と内容の改善を図る視点として、空間軸、時間軸、体系化の3つが示されています。
「自己と家庭、家庭と社会のつながりなど空間軸の視点」
  中学校の家庭分野では、中学生としての生活の自立を目指して衣食住などの指導を行うが、その自立は家族・家庭とのかかわりの中にあること、また、その家族・家庭は社会とのつながりの中にあること、これらのことを意識して題材を構成したり、指導を行ったりする必要がある。
「生涯にわたって生活する見通しをもつ時間軸の視点」
  中学校の家庭分野では、衣食住などの実践的・体験的な学習活動を通して、生徒が自分の生活の自立を目指して学習を行う課程で、将来にわたって自立した生活を営む見通しをもつということである。
「指導のねらいや内容を体系化する視点」
  A「家族・家庭と子どもの成長」、B「食生活の自立」、C「衣生活と住生活の自立」、D「家庭生活と消費・環境」に関する内容で構成し、すべての生徒に履修させることで中学生の自己の生活の自立を図る。 また、小学校での学習を踏まえて中学校で学習する内容の見通しがもてるよう、ガイダンス的な内容を設定し、家庭分野の学習の最初に指導する。
これらの3つの視点を受けて、小学校家庭科と中学校技術・家庭科(家庭分野)の目標が次のように改善されました。
新学習指導要領の小学校家庭科と中学校技術・家庭科(家庭分野)の目標

小学校家庭科
中学校での内容を見通して、小学校段階の基礎的・基本的な知識及び技能や、生活をよりよくしようと工夫する能力と実践的な態度が、着実にはぐくまれることを目指しています。
中学校技術・家庭科(家庭分野)
これからの生活を見通し、よりよい生活を創造するとともに、社会の変化に主体的に対応する能力を一層育成することを目指しています。そこで、目標は、これからの生活を展望し、将来にわたって自立した生活を営む見通しをもつように改善されました。
A 中学校技術・家庭科(家庭分野)の内容構成
 
少子高齢化や食育の推進、持続可能な社会の構築など、社会の変化に対応する視点から改善が図られ、従前の2つの内容構成から、AからDまでの4つの内容に構成されました。
中学生としての自己の自立を図る視点から、内容は、これまでの選択項目をなくし、すべての内容をすべての生徒に履修させることになりました。
 
【中学校技術・家庭(家庭分野)の内容の改善】

B 小学校家庭科の内容構成
小学校家庭科の内容は、中学校技術・家庭科の内容との系統性や連続性を重視し、生涯にわたる家庭生活の基盤となる能力と実践的な態度を育成する観点から、次のように内容と構成が改善されました。
 
【小学校家庭科の内容の改善】

C新学習指導要領における小・中学校の内容の体系化
 
小学校家庭科では、これまで8つの内容構成だったものが、中学校での内容を見通して、小学校の学習に求められる基礎的・基本的な知識及び技能や、生活をよりよくしようと工夫する能力と実践的な態度が着実にはぐくまれることを目指して、中学校と同じ枠組みをもつA〜Dの4つの内容で構成することとなりました。このことにより、小学校と中学校における内容の円滑な接続が可能となり、小学校での指導が中学校までの内容を見通したものとなりました。
中学校技術・家庭科(家庭分野)の学習においては、小学校家庭科の学習を踏まえ、他教科との関連を明確にして、系統的な指導ができるように配慮が求められています。
D 3年間を見通した指導計画
 
新学習指導要領における中学校技術・家庭科(家庭分野)のねらいや改善の方向性を踏まえ、次のような点に考慮して3年間を見通した指導計画を作成しました。
自己の問題解決や学習課題の解決などを通して、主体的に学んでいくような題材を設定する。
実践的・体験的な学習活動を効果的に設定する。
4つの内容をいずれかの分野に偏らずに、すべて履修できるよう計画を立てる。
小学校の学習との系統性や連続性を踏まえ、繰り返して指導する必要のある能力などを適切に計画する。
題材のまとまりごとの学習の前後に、導入として学習の見通しをもつ時間、自分の生活や将来を見つめるなどの振り返りの時間を位置付ける。
中学校で学習する内容の見通しがもてるように、家庭分野の学習の最初にガイダンス的な内容を設定する。
他教科・他領域との関連や季節や行事などを踏まえる。
 
            ◆作成した3年間の指導計画はこちらから見ることができます。
第1学年 第2学年 第3学年 全学年(PDF)
 
               
  この指導計画を作成するに当たっては、『中等教育資料』平成21年6月号(文部科学省)に掲載されている「各教科等の改善/充実の視点 −技術・家庭−」の中の、前初等中等教育局教育課程課 教科調査官 岡 陽子氏による指導計画の作成についての解説を参考にしています。
指導計画作成についての解説について、詳しく知りたい方はこちらを
 

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最終更新日: 2010-03-24