![]() |
(授業を行う上での注意事項)
|
1 主題名「『いじめ』なんてしたくない!」 【内容項目2−B】 |
集団生活を行う子どもたちにとっては,お互いのよさを認め合い,助けあいながらお互いを高めていくことのできる学級が理想である。しかし,現実に目を向けると「優れている子への妬み」「劣っている子への嫌悪」「異質なものを排除しようとする差別意識」などの理由から,学級における「いじめ」は後を絶たない。「いじめ」は,特別な学級においてのみ発生するものではなく,人間が集団で生活する以上,どの学級にも起こりうる可能性を秘めている。また,現在の「いじめ」は,どの子も,被害者になる可能性と加害者(観衆,傍観者を含めて)になる可能性の両方を秘めている。 そのような「いじめ」の解決には,いじめの発生を防ぐ「予防」と,発生しているいじめを止める「対処」の2つが必要となってくる。その2つの中で,心を育てることをねらいとする道徳の時間にできることは,「予防」である。つまり「いじめはいやだ」という心情や,「いじめをなくしたい」という実践意欲と態度を育てていくことである。そして,このような道徳的実践力を育てていくことが,友情を深めることにつながっていくと考える。 そこで,これからも学校生活を続けていく子どもたちにとって,「いじめ」について考えていくことで友だちを大切にしようとする思いを育てていくことは,よりよい友だち関係を築く上で価値あることだと考え,本単元を設定した。 |
本学級の子どもたちは,困っている友だちに声をかけをしたり手助けをしたりなど,友だちと仲良くしたいという思いは持っている。また,友だちのいいところを見つけようとする優しい目ももっている。さらに,全員が「いじめ」とはどのようなものかということについての考えを持っているし,大半の子が「いじめ」問題に対して自分ができることを知っている。 しかし,「いじめ」について気づいていないことも多い。例えば,いじめの具体的な姿を思い浮かべることはできるが,「いじめとはどのようなものであるか」という定義について考えている子は少ない。それから,思い浮かべるいじめの具体的な姿においても「暴力をふるう」や「悪口を言う」など直接的なものが大半で,「無視をする」「仲間外しをする」「ものを隠す」などが「いじめ」に入るとは思っていない子どももいる。また,観衆や傍観者を「加害者」と考えている子どもはほとんどいない。 |
「いじめ」についての新たな見方・考え方や「いじめ」と自分との関わりに気づかせるために,本単元においては,教室内でのいじめを描いた1枚の絵(自作資料)を中心の資料とする。 絵を資料とすることには,次のようなよさがあると考える。1つ目は,「絵」に対する子どもたちの興味・関心が高く,学習への意欲を高めやすいということである。2つ目は,見るだけで内容が分かるために,文章の読み取りが苦手な子どもでも,内容理解が容易であるということである。この絵を使うことで,どの子も「いじめの具体的な姿」を理解することができるであろう。3つ目は,資料に多くの情報を取り入れることができるということである。これにより,子どもたち同士の「いじめ」に対する考え方の違いを明らかにすることもできるであろう。また,「いじめ」について加害者と被害者の両方から自分の経験と重ねて考えたり,これまでの自分をふり返ったりすることができやすいであろう。4つ目は,絵を資料とすることで「いじめの言葉」「いじめの行為」「いじめで不幸になる人」など絵には描かれていないことまで想像を広げることができやすいということである。このような点で,本資料はねらいを達成できるものと考える。 |
![]() |
指導にあたっては,これまでとは違った「いじめ」についての見方・考え方に気づかせたい。そのために,まず,資料の絵の中から「いじめを感じる場面」を発見させ,いじめとはいかなるものであるかという「いじめの具体的な姿」や「いじめの定義」を理解させる。そして,そこで発見したことをもとに「いじめにつながる言葉」「いじめる側に含まれる人たち」「いじめで不幸せになる人」についても考えさせていく。その後,いじめられる子の気持ちを予想させたり,いじめられた子やいじめた子の悲しみ・苦しみにふれさせるたりすることで,「いじめはいやだ」という心情を育てていきたい。 次に,道徳的実践意欲と態度を育てるために,誰もが「いじめる側」「いじめられる側」のどちらにもなる可能性があるという,現在のいじめの特徴に気づかせる。そこから,どの子にも「いじめ問題は人ごとではない」という思いを持たせたい。そして,資料から発見したいじめの具体的な姿から「これまでの自分」をふり返らせたり,「これから先の目指す自分」の姿について考えさせたりすることで「いじめをなくしたい」という思いを育てていきたい。 |
3 単元のねらい |
○ | 「いじめ」についての見方・考え方を広げたり深めたりさせることで,「いじめはいやだ」という道徳的心情を育てる。 |
○ | 「いじめ」についてこれまでの「自分」を振り返らせそこから目指す「自分」を考えさせていくことで,「いじめをなくしたい」という道徳的実践意欲と態度を育てる。 |
4 単元計画(全2時間) |
|
5 1時目のねらいと展開 |
資料を通して「いじめの具体的姿(言葉)」「いじめる側に含まれる人たち」「いじめで不幸になる人」について考えさせるとともに,様々な人々の「いじめ」に関わる悲しみや苦しみについて知らせることで「いじめはいやだ」という道徳的心情を育てる。 |
学習活動・期待する児童の反応 | 学 指 導 上 の 留 意 点 | 備 考 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|
掲示用の絵 (1枚目) |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
![]() (発問・指示)この絵の中に「いじめを感じる場面」はありますか。 |
児童用の絵 (1枚目) |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
![]() (発問・指示)この絵から「いじめている人」のどんな声が聞こえてきそうですか。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|
掲示用の絵 (2枚目) |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
![]() (発問・指示)この絵の中で「不幸せ(悲しい思い,苦しい思いをする人)」な人はいるでしょうか。 |
児童用の絵 (2枚目) |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(期待する反応)
|
|
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|
プリント(一太郎版) プリント(PDF版) |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
![]() |
6 2時目のねらいと展開 |
自分の中にある「いじめ」についての資質からこれまでの「自分」について振り返らせたり,「いじめ」から立ち直った人たちの話を聞かせたりすることで,「いじめをなくしたい」という実践意欲と態度を育てる。 |
学習活動・期待する児童の反応 | 学 指 導 上 の 留 意 点 | 備 考 | ||||||||||||||||||||
|
|
掲示用の絵 (1時目に使ったもの2枚) 児童用の絵 (1時目に使ったもの2枚) |
||||||||||||||||||||
|
|
アンケート (2種類) |
||||||||||||||||||||
![]() (発問・指示)今から2種類のアンケートを採ります。あてはまるものに丸を付けましょう。 |
||||||||||||||||||||||
|
|
|||||||||||||||||||||
|
|
掲示用の絵 児童用の絵 |
||||||||||||||||||||
![]() (発問・指示)この絵の中に,これまでの自分自身(自分に似ている人)はいませんか。 |
||||||||||||||||||||||
|
|
|||||||||||||||||||||
![]() (発問・指示)あなたはこれまでの自分に満足ですか。この絵のようなクラスに満足ですか。 |
||||||||||||||||||||||
|
|
|||||||||||||||||||||
|
|
|||||||||||||||||||||
|
|
プリント(一太郎版) プリント(PDF版) |
||||||||||||||||||||
![]() |
![]() |