基礎的・基本的な知識・技能を活用することに課題がある。
[小学5年生 大問12の(2)]
○ 問題の概要
○ 解答状況
「おおむね達成」の期待正答率50.0に対して、正答率は18.8であり、31.2ポイント下回った。無解答率も7.7であった。伴って変わる二つの数量の関係を調べ、式やことばを使って、2cmの棒が何本必要であるかについて適切な考え方や棒の本数を求める問題であった。問題の意味を十分に把握できなかったことや、式や言葉を使って正三角形を作るための棒の本数の求め方を記述できなかったことが考えられる。
○ 指導法改善の手立て
この問題では、伴って変わる二つの数量を表を用いて表し、二つの数量の間にある関係を調べるものである。数量関係領域においては、求めるものは他のどんなものと関係があるか、何が決まれば他のものが決まってくるかというように、求めるものと他のものとを関連付けてみる見方を大切にしていく必要がある。また、問題で問われていることが図のどこと対応しているのかを常に意識させ、解決させるような指導を心掛けていく必要がある。
[小学5年生 大問13]
○ 問題の概要
○ 解答状況
「おおむね達成」の期待正答率50.0に対して、正答率は14.7であり、35.3ポイント下回った。無解答率も10.3であった。この問題では、長方形の形をした土地に幅が2mの道を作ったときの面積を求めさせる問題であった。長方形の面積の公式を活用して道の面積を求めるときに、道の重なりを処理しなかったり、道以外の部分を全体から差し引いて求めることができなかったりしたことが考えられる。また、式や言葉を使って考え方を記述できなかったことも考えられる。
○ 指導法改善の手立て
この問題では、道の重なりの処理をしたり、等積変形をして条件に合った面積を求めることが大切になってくる。その際、図形を分割し再構成して形を変えても面積は変わらないという面積の保存性を理解していることが必要である。また、児童が問題を解決する際、今、何を求めているのかを図と対応させ、図中に記号を付け、式と記号を対応させるなどの表現の工夫をさせることも重要である。そのためには、ノート指導などを通して児童の思考過程を表現させていく指導も行っていく必要がある。また、長方形や正方形の面積の公式をいろいろな場面を通して活用させるような指導も必要である。
[中学1年生 大問9の(2)(3)]
○ 問題の概要
○ 大問9の(2)解答状況
「おおむね達成」の期待正答率50.0に対して、正答率は34.8であり、15.2ポイント下回った。無解答率も10.8であった。この問題は、円を8個のおうぎ形に分割したときの4つのおうぎ形の面積の和を求める問題であった。4つのおうぎ形を等積変形して半円の面積を求めたり、円の面積の半分と見たりして求めることが困難であったことが考えられる。
○ 大問9の(2)指導法改善の手立て
この問題では、まず円の面積の公式を確実に使うことができるようになっていることが重要である。そのためには半径の長さを問題の中から読み取ったり、円の面積の公式を確実に覚えていたりすることが大切である。また、偶数と奇数の意味をきちんと理解しておくことも必要である。問題を解決させる際には、今、何が分かっていて、これから何を求めるのかという情報を整理させることや円を分割したらどのような形になるのかという円の多様な見方を育てていく必要もあると考える。
○ 大問9の(3)解答状況
「おおむね達成」の期待正答率45.0に対して、正答率は35.5であり、9.5ポイント下回った。無解答率も15.9であった。この問題は円(給食当番表)の半径の長さを2倍にしたときに円の面積を求める問題であった。実際に半径の長さを2倍にした円の面積と提示された円の面積と比べることができなかったり、公式から判断して面積が4倍になることを求めることができなかったりしたことが考えられる。また、無解答率が高かったことから、問題の意味を把握できなかったり、考え方を式や言葉使って表現することができなかったりした児童が多かったことが考えられる。
○ 大問9の(3)指導法改善の手立て
この問題では(2)と同様に円の面積の公式を確実に使うことができるようになっていることが重要である。解決していることがどこの部分の面積なのかを常に考えさせ、順を追って筋道立てて表現させる指導が今後重要になってくると考える。また、「何が何の何倍か」を考えることは、児童が苦手とする内容である。そこで、数直線を用いた図や線分図などに数量を表して、それらの関係を捉えることができるように繰り返し指導し、あらゆる場面で基準量を意識できるようにすることが大切である。
[中学1年生 大問11の(1)(2)]
○ 問題の概要
○ 大問11の(1) 解答状況
「おおむね達成」の期待正答率55.0に対して、正答率は27.4であり、27.6ポイント下回った。無解答率も11.5であった。この問題は提示された資料からトラックの台数を取り出し、全体の台数の何%に当たるかを求める問題であった。資料から必要な情報を取り出せなかったり、割合の意味を理解していなかったりしたことが要因として考えられる。
○ 大問11の(1) 指導法改善の手立て
資料を読み取らせる際には、二次元表の中の数が表す事柄について、その数が何を表しているのか、単位に着目して表現できるようにすることが大切である。また、「数と計算」領域の学習指導においても割合の考えを意識して指導する必要であるので「何が何の何倍か」を考えることは、割合の考えの基礎となるものである。数直線を用いた図や線分図などに数量を表してそれらの関係を捉えることができるように繰り返し指導し、あらゆる場面で基準量を意識できるようにすることが大切である。
○ 大問11の(2) 解答状況
「おおむね達成」の期待正答率45.0に対して、正答率は12.3であり、32.7ポイント下回った。無解答率も22.5と平成23年度調査(中1数学)の中で1番高かった。この問題は、2つの資料から条件に合った乗用車の台数を取り出して、全体の中での白色の乗用車の台数を考察していく問題であった。条件に合った乗用車の台数を取り出せなかったり、円グラフを読み取って白色の乗用車の台数を求めることができなかったりしたことが考えられる。また、円グラフのみを見て1番多かった白色のトラックの台数を求めたことも考えられる。
○ 大問11の(2) 指導法改善の手立て
複数の資料を扱う場合は、資料の表題を基に関連している部分を考察させることが大切である。さらに円グラフのみを見てC病院前を通った白色の乗用車が1番多いと判断した生徒には(基準量)×(割合)=(比較量)の関係を図などを通して理解させ、(比較量)は(割合)だけではなく(基準量)×(割合)の量で決まることを理解させることも重要である。また、割合に関する問題解決の場面で、(基準量)×(割合)=(比較量)などの割合の考えを根拠にして、式や言葉で理由を説明できるようにすることが大切である。 |