「書くこと」「読むこと」における条件に合わせて記述することに課題がある。
[小学5年生 大問2の五]
○ 問題の概要
○ 解答状況
「おおむね達成」の期待正答率50.0に対し、正答率は23.1であり、26.9ポイント下回った。無解答率は6.9であった。【日記】の中では、としひこさんがお母さんにしかられた理由が明確に書かれておらず、それを文中から判断して書かなければならない。書くときの条件は、①としひこさんがお母さんにしかられた理由を入れて書くこと、②文末は「~で飛ばすこと。」にすること、③一文で書くことの3点あるが、①の理由を考えて書くことが特に難しかったのではないかと推察される。
○ 指導法改善の手立て
条件に合わせて書く学習を積み重ねることによって、自分で考えて書いたことに自信をもつことができ、書くことへの苦手意識も低くなるのではないかと思われる。また、次第にいろいろな思考を試みるようになると考える。具体的には、次のような指導が効果的である。
①理由を入れて文章を書くときや自分の考えをまとめるとき、相手や目的、様式や字数などの条件に合わせて書くという活動を、日頃から授業に取り入れる。
②考えて書いたことを発表し合い、交流する。交流することによって、自分や友達の書いた文章のよさを感じ取り、自分の考えを深めたり、自分の表現の参考にしたりすることができる。
[中学1年生 大問4の三]
○ 問題の概要
○ 解答状況
「おおむね達成」の期待正答率45.0に対し、正答率は30.8であり、14.2ポイント下回った。無解答率は7.8であった。【新聞記事の一部】に書かれた具体的な節電の方法と【グラフ】から分かることを入れ、【スピーチ原稿】の文章と合うように二文で書くという条件がある。【グラフ】からどんなことが分かったか、それを【新聞記事の一部】の節電の方法とどのように結び付けるか、そして、スピーチ原稿としてどのように書くか。さらに、二文に分けて書くなど、児童にとって複雑な思考を要するため、無解答率も高くなったと考える。
○ 指導法改善の手立て
要旨の捉え方、文章と図表などの資料が関連していることを、説明文・物語などの教材で学習する。その際、学習したことをいくつか組み合わせて書く指導をするときに、条件を少しずつ増やして書かせることが考えられる。児童が文章の内容をどれだけ理解しているか、どれだけ読み取っているかということは、書いて表現させることが多い。日頃から、自分の考えを書かせるということを意識した指導が必要である。具体的には、次のような指導が効果的である。
①段落の要旨をまとめ、教師の示した前後の文章に当てはまるように書かせる。
②資料から分かることや自分が思ったことを一、二文で書かせる。
③読み取ったことを、学級新聞、スピーチ原稿、推薦書や宣伝文などに書き換えさせる。
[中学1年生 大問2の二]
○ 問題の概要
○ 解答状況
「おおむね達成」の期待正答率55.0に対し、正答率は44.7であり、10.3ポイント下回った。無解答率は6.4であった。文章を書くときの条件は、①たずねるように書くこと、②本文の書き方に合わせて書くこと、③「くわしく知りたいので、」に続けて一文で書くことの3つである。「おおむね達成」の基準を下回ったのは、手紙という形式で書き慣れていないことが原因にあると考えられる。
○ 指導法改善の手立て
目的や相手に応じて手紙の書式に則して書かせ、実践を重ねる。具体的には、次のような指導が効果的である。
①どんな手紙の種類があるか調べさせる。(学校からの行事案内・お願いのプリントなどで調べさせてもよい。)
②どんな手紙にも、手紙の形式(初めのあいさつ、本文、結びのあいさつ、後付け) が用いられていることを確かめさせる。
③体験学習の指導を依頼する手紙、学校行事について案内をする手紙、地域の方にお世話になったことへのお礼の手紙などいろいろな場面で手紙を書く機会を設け、手紙の書式を一つずつ確認させる。
④手紙を実際に書き送るという経験をさせ、相手から返事をもらったり感想を聞いたりして手紙のよさを実感させる。 |