「児童生徒一人一人が居心地のよさを感じる学級集団づくり」について提案します!

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ア 「がばいシート」について
 
◆「がばいシート」とは
  「がばいシート」とは、佐賀県教育センターが平成19・20年度のプロジェクト研究で開発した質問紙のことです。っきゅう・っちり・いなかま》の頭文字を取って、「がばいシート」と名付けられました。
  「がばいシート」を実施することによって、児童生徒同士の人間関係が良好であるか、教師と児童生徒の関係はどうであるか、児童生徒一人一人が自己存在感を感じているかなどを把握することができます。また、児童生徒の状態に応じて、学校で児童生徒が安心して過ごすための適切な支援を考えることに役立てることができます。
 
◆「がばいシート」の構成
  「がばいシート」は、県内で実施した「安心できる人間関係づくりに関する意識調査」の結果を基に、「集団の状態を把握するシート」として作成されました。「がばいシート」は、アンケートと集計表で構成されています。
  アンケートは、全部で 25の質問から構成されています。これらの質問は、意識調査の回答数が多かった項目や、記述で挙げられていた内容を参考に作られました。質問内容は児童生徒の実態を把握するために、以下の5つの観点について、それぞれ5項目ずつで構成されています。
  ●「学級の雰囲気」
   明るく楽しい雰囲気がある、助け合う雰囲気がある、ルールが守ることができているなど、居心地のよい集団の雰
  囲気があるかを見ます。
 
  ●「友達との関係」
  友達と何でも話すことができる、困っているときに友達が助けてくれる、また、友達とのトラブルやいじめにかかわる
  ことがないなど、 友達との関係が良好かを見ます。
 
  ●「自己存在感」
  教師や友達から、励ましや賞賛、感謝、信頼などがある、集団の中で、自分は価値のある存在である(自己肯定感、
  自己有用感、所属感、成就感などがある)と感じているかを見ます。
 
  ●「授業への意欲」
  授業内容が分かる、進んで参加する、工夫する、質問するなど、授業への意欲があるかを見ます。
 
  ●「教師との関係」
  教師と話や遊びをする、教師に相談をしている、認められている、また、教師から傷付けられることはないなど、教師
  との関係が良好かを見ます。
 
 
◆「がばいシート」の種類
  「がばいシート」は図3−1のように、発達段階に応じて、「小学校1〜3年生用シート」「小学校4〜6年生用シート」「中学校・高等学校用シート」の3種類があります。
図3−1 「がばいシート」の種類
 
  それぞれに、アンケート用紙(PDFファイル)集計表(Excelファイル)が圧縮ファイル (ZIP形式) で入っています。
  1つの集計表で、3回分の実施結果まで入力でき、比較しながら表示することができます。 
 
  下のアイコンをクリックすると、平成20年度の研究から、各「がばいシート」をダウンロードすることができます。
 「部活動用」は「中学校用」「高等学校用」の中にも入っています。
 このシートは、“Excel 2003”と“Excel 2007”に対応しています。シートを改良しました。(2010/3月)
 
◆「がばいシート」の実施
  無料で実施することができます。回答の所要時間は、各シートそれぞれ10分程度です。(小学校低学年の場合は学級の実態によって、もう少し時間が掛かる場合があります。) 中・高校生は、「部活動用シート」を併せて実施しても15分程度です。また、実施する際には、児童生徒に目的と方法を明確に説明することも大切です。教師が、事前に実施方法を確認しておきましょう。
  実施後に集計シートにアンケート結果の数値を入力するだけで、自動的に「集団(学級や部活動)の様子」及び「個人の様子」を表すグラフなど、様々な情報を提示します。
 
  集計表に点数を入力すると、図3−2のようなグラフが表示されます。個人の状態も同様にグラフで見ることができます。
 
図3−2 「がばいシート」学級の様子
 
◆「がばいシート」の実施時期について

「がばいシート」を実施する時期や回数は、活用の目的によって異なりますが、どのような場合においても複数回実施することが望ましいと考えます。
  年度当初からの学級づくりを意識する場合は、児童生徒の人間関係や学級の中での位置付けがほぼ固まってくる、5月中旬から6月上旬までに1回目を実施することが望ましいと考えます。この段階で「がばいシート」を実施することによって、児童生徒の様子や学級集団の状態を把握し、今後の大まかな対応方針を立てることができます。
 そして、10月頃に2回目を実施して対応方針の修正を図ります。余裕があれば、2月頃に3回目を実施して、当該年度の教育実践を振り返るとよいでしょう。
 また、学級内に何らかの問題や変化を感じた時は上記のパターンに限らず、随時実施することも可能です。「最近、学級集団の雰囲気が変わったように感じる」「学級が騒がしく、授業中も落ち着かない」など、教師の感覚や観察で察知したシグナルを「がばいシート」で確認して、具体的な対応へ展開していきます。
 なお、学期開始直後や大きな学校行事(体育大会や文化発表会等)の前後、グループ同士の衝突があった直後などは、実施を避けた方がよいと思われます。目先の出来事の影響を強く受けてしまい、結果の信頼性を損なう恐れがあります。

 
◆実施上の留意点
  「がばいシート」を実施する際には、児童生徒の実施への不安をできるだけ小さくすることが大切です。以下は、実施する際の留意点を示します。
 
       
   
 
◆結果の分析と対応策の検討について 
 「がばいシート」を実施したら、結果を児童生徒にフィードバックすることが重要です。必ずその結果を分析して、必要な対応を検討します。対応策の検討に当たっては、学級担任が一人で行うのではなく、児童生徒に関わる関係者(例えば、副担任や学年主任、教科担当者、教育相談担当者、養護教諭、スクールカウンセラー等)を交えての機会を設けて、検討会を実施するとより効果的です。
◆「がばいシート」の見方及び分析の仕方
  「がばいシート」集計表(グラフ)の見方については、こちらの平成20年度の研究を参考にしてください。
                      
   
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