話合い活動のよさを生かした学級活動内容(2)の授業を提案します。

2 研究の実際

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(5) 授業実践

  本研究が提案する授業モデルを基に小学校で行った実践例を示します。

【小学校第6学年】学級活動内容(2)における授業実践

題材

給食のマナー

 
キ 食育の観点を踏まえた学校給食と望ましい食習慣の形成
段階
活 動 過 程
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○ 題材設定
 
教師が児童の日ごろの実態より題材を設定した。
 
○ アンケート調査
【アンケート】
給食アンケートを実施する。(実態の把握、意識付け)
 第1回計画委員会
【原案】
教師と計画委員会で、題材名、話合いのめあて、柱などを考えて原案に書く。
役割分担をする。(司会、進行、黒板記録、ノート記録など)
○ 道徳の授業
 
「食べ残されたえびになみだ」
食べ物の大切さに気付き「いただきます」「ごちそうさま」について考えさせる。 
 
 原案の配布
原案に自分の考えを前もって書き込ませる。

○ ペア活動
【ペア活動】
ペアで聞き合うことで、学級会ノートに書いた自分の意見を確認したり書き加えたりさせる。
 第2回計画委員会
話合い活動の準備と打合せをさせる。
 

本時の

題材
○○小の給食を食べられるのもあとわずか、給食時間について考えよう。
提案理由
給食の時間は一日の学校生活の中でも一番待ち遠しい時間です。そんな○○小の給食を食べられるのもあとわずかです。だけど、今の給食の時間の様子を見てみると、休み時間のように過ごしていて少しマナーが気になります。みんなでマナーアップできるように考えたいと思い提案しました。
話合いのめあて
・みんなのマナーがもっと良くなるように考えて意見を出そう。
・友達の意見を聞いて、よい所は参考にしよう。
話合いの流れ
1 はじめの言葉
2 運動会での応援歌
3 役割の紹介

4 題材の確認

5 提案理由

6 話合いのめあての確認
  7 話合いの柱の確認 

8 話合い
柱1を話し合う前の先生の話

   

柱1 6の○は給食時間のマナーに気をつけているだろうか。
本を読んで静かに待っているので、できています。
席を離れたりしているのであまり気を付けていません。
終わりの合掌がまだなのに廊下に出て、歯磨きをしながら話したりしているからできていません。
友達としゃべっているので気を付けていません。
給食を残さず食べることはできているけど、終わった後友達としゃべっているから、守れているところと守れていないところがあります。
    【話合い活動の様子】
柱2に向けての先生の話
【アンケート結果からの話】
柱2 なぜ、給食時間のマナーに気を付けることは大切なのだろうか。
大切です。しゃべると給食の中につばが入るからです。
暴れるとゴミが入ります。給食をこぼしたりもします。
下級生にお手本を見せないといけないから大切です。
手を洗わないとお腹が痛くなるなどして、衛生によくないと思います。
しゃべると放送が聞こえなくて困ります。
食べる時間が遅くなると合掌が遅くなり、昼休みが短くなるからです。
柱3に向けての先生の話




【アンケート結果からの話】
柱3 給食時間のマナーに気をつけるために自分にできることを考えよう。
つばやゴミが入らないようにマスクを付けて静かに待つ。
しゃべるときは班に聞こえるくらいの大きさで話す。
本を読む。クラスの貸し出し冊数も伸びていい。
本を読む。しゃべらず、つばなども入らないから。
時間を見て給食を食べる。
   
めあてを決める前の先生の話
 9 めあてを書く
10 話合いの気付き
11  ○○賞の発表 
12
  先生の話
 

 
 
13 終わりの言葉 





○ めあての掲示
具体的なめあてを「ふり返りカード」に記入させ、教室に掲示する。
 
○ 実践活動
給食の準備を静かに待つことができています。 マスクを付けて静かに給食を取りに行っています。
   
○ 振り返り活動
週の間で実践の振り返りをし、その後の実践に生かします。
 

前半のめあて
前半3日の
日々の実践の振り返り
前半のの振り返りと
ペアによるコメント
前半の反省を踏まえて変更する児童は記述する
後半のめあて
後半3日の
日々の実践の振り返り
後半の振り返りと
ペアによるコメント
   
<ふり返りカード>
児童は話合い活動を経て自分のめあてを設定し、日々の振り返りを行いながら実践に取り組みました。ここでは、ペア活動後のアンケート、話合い後のアンケート、実践後のアンケート、「ふり返りカード」、学級会ノートの記述及び教師の観察により児童の変容を見ました。
○ 意欲の高まりの感じられる児童の感想
 
毎日マナーを意識するようになったし家でも学校でも気をつけようと思いました。
 
給食の待ち時間はマスクをして席について本を読んでいるので、前よりすごくよくなったと思います。これからも気をつけていきたいと思います 。
 
マスクをして給食を取りに行く人が増え、おしゃべりもへりました。クラスの給食の態度が前よりもよくなり気持ちよく食べることができるようになりました。
○ 教師の感想から見る、話し合い活動を取り入れた指導のよさ
 
話合いの後の給食時間の様子を見ると、大きな変化が見られました。マスクをきちんとする、待つ間は本を読む、極力席を離れない・・・子どもたちだけでなく、教師も「○○しなさい。」と注意することがなくなり、教室全体が静かになりました。
 
一人一人が意識をもって生活するということは大切なことだと感じました。また、めあては一人一人違うが、クラス全体が同じ方向を向いて取り組むということで、自分がめあてを守れた達成感とクラス全体が向上するという二重のよさを味わうことができたようです。
 
取組後の感想には「ふり返りカード」は終わるが、これからも続けていきたい。」と書いた子どもが多くいました。その後の生活に生かすという点が教師としても一番嬉しく思いました。
  話合い活動では、それぞれの心の中に自分やクラス全体を高めたいという思いからの意見がたくさん出ました。また、実践することでよい方向に変わっていることを子どもたちが実感し、更に他の面においてもよくしたいという思いを自然にもつことができ、価値のある取り組みだと感じました。 

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