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 平成22年度「全国学力・学習状況調査」の結果とこれからの指導に向けて

平成22年4月20日に実施された「全国学力・学習状況調査」の報告書・集計結果が7月末に文部科学省から提供されました。この結果と県独自の採点による結果を基に、本県におけるこれからの指導について提案します。具体的には、設問ごとの分析結果とこれからの指導に向けて、主に教科に関する調査(主として知識に関するA問題、主として活用に関するB問題)の結果とともに、その改善策について紹介します。
なお、平成22年度の結果については、県独自の採点によるものですが、平成20・21年度の結果については文部科学省から提供されている該当年度の「全国学力・学習状況調査」の報告書・集計結果によるものです。
平成22年度「全国学力・学習状況調査」の小学校国語(6年生)の調査結果について
本県の小学6年生の平均正答率は平成19年度の調査開始以来、上昇傾向にあるものの、A問題(主として「知識」に関する問題)よりも、B問題(主として「活用」に関する問題)に課題が見られる傾向は変わりません。改善が見られる項目も増えてはきましたが、設問ごとに見ていくと平均正答率が低迷しているものや無解答率が高いものもあり、更なる指導の工夫・改善が必要と考えられます。
○ A問題(主として「知識」に関する問題)での佐賀県の正答率
項目
平成22年度
平成21年度
平成20年度
話すこと・聞くこと 80.2 82.0 64.4 70.3 75.3 58.9
書くこと 61.3 85.7 51.6
読むこと 66.0 66.4 43.1
言語事項 89.4 63.0 65.5
○ B問題(主として「活用」に関する問題)での佐賀県の正答率
項目
平成22年度
平成21年度
平成20年度
話すこと・聞くこと 67.5 64.3 60.4 46.4 73.5 54.8
書くこと 88.4 12.6 47.0
読むこと 49.2 54.8 43.9
言語事項 57.6
○ 佐賀県全体の結果(設問別正答率及び無解答率)


全国調査の佐賀県全体の設問別正答率で、特に正答率が低いものや無解答率が高いものを赤色で示しています。この赤色で示した課題が見られると考えられる設問について、以下に指導の工夫・改善について提案します。
佐賀県教育センターでは、知識・技能の定着をサポートする学習プリント活用にかかわる学習プリントを定期的に作成し、提供していきます。ぜひご覧になり、ダウンロードして使っていただけたらと考えています。
設問ごとの分析結果とこれからの指導に向けて [主として「知識」に関するA問題]



設問番号


正答率
   49.7
無解答率
        1.7
    



〔設問の概要〕…物語の登場人物の関係をとらえて書く。
〔出題の趣旨〕…文学的な文章に登場する人物を相互に関係付けて読む。  
〈分析結果と課題〉
文学的な文章に登場する人物を相互に関係付けて読むことに課題があります。主人公の人物像についてはとらえることができるものの、主人公以外の人物との関係を心情や情景描写に注意しながら読み取ることができなかったものと思われます。 

《これからの指導に向けて》
文学的な文章に登場する人物を相互に関係付けて読むには、それぞれの人物の行動や会話、情景などについての叙述に着目し、人物相互の関係をとらえることができるようにすることが重要となります。

指導に当たっては、
家族や同級生のように物語を設定する上での実体的な関係を整理すること
仲間や好敵手のように物語が進むにつれて明らかになる構造的な関係を整理すること
物語の展開に即して人物像や人物相互の関係、役割を押さえながら読むこと

などが考えられます。
 



設問番号


正答率
    52.1
無解答率
      1.9
 

〔設問の概要〕…メモを基にして、児童会だよりの中に入る適切な内容を書く。
〔出題の趣旨〕…文と文との意味のつながりを理解し、文の論理を考えて書く。  
〈分析結果と課題〉
文と文との意味のつながりを理解し、文の論理を考えて書くことに課題があります。伝えるために必要な言葉を的確にとらえることができなかったり、文と文とのつながりを考えて言葉を書きかえることができなかったりしたものと思われます。 

《これからの指導に向けて》
相手に伝えたいことを的確に表すには, 文と文とのつながりを理解できるようにすることが重要です。

指導に当たっては、
「書くこと」の記述や推敲(すいこう)の段階などにおいて、文と文との接続関係に着目し、必要に応じて複数の文を一文に書きかえること
一文が長くなり、意味が伝わりにくい重文や複文については、一文一文に分けて簡潔に書くこと

などが考えられます。
 
設問ごとの分析結果とこれからの指導に向けて [主として「活用」に関するB問題]




設問番号
2一(1)

正答率
  43.5
無解答率
   5.2
〔設問の概要〕…物語を読んで、指示された部分についてのあらすじを書く。
〔出題の趣旨〕…登場人物の行動や場面の移り変わりに注意しながら、あらすじを書く。 
〈分析結果と課題〉
登場人物の行動や場面の移り変わりに注意しながら、あらすじを書くことに課題があります。指示された範囲の叙述内容について、登場人物の行動などの必要な要素を適切に押さえ、要約してあらすじを書くことができなかったものと思われます。

《これからの指導に向けて》
登場人物の行動や場面の移り変わりに注意しながらあらすじを書くには、中心となる人物とその他の人物との関係をとらえるとともに、場面の展開に沿って変化する行動や心情を押さえながら、叙述内容を要約できるようにすることが重要です。

指導に当たっては、
読む目的を明確にし、物語全体の構成や展開に即して作品を解釈していくこと
物語全体を繰り返し読み、前後の文脈を関係付けながら解釈していくこと
あらすじを書く目的や字数などを明確にし、登場人物の行動などの必要な要素を取り上げながら、簡単に書いたり詳しく書いたりできるようにすること

などが考えられます。
 
設問番号
2二

正答率
  19.6
無解答率
   7.7
 



〔設問の概要〕…物語を読んで思ったことや考えたことと、その理由を書く。
〔出題の趣旨〕…物語を読んで思ったことや考えたことを、理由を明確にしてまとめて書く。 
〈分析結果と課題〉
物語を読んで、登場人物の行動や場面についての描写など、優れた叙述について自分が思ったことや考えたことを、理由を明確にしてまとめて書くことに課題があります。物語の叙述に即して内容を的確に解釈し、自分が思ったことや考えたことを、理由を明確にして、求められた字数に即して書くことができなかったものと思われます。

《これからの指導に向けて》
物語を読んで思ったことや考えたことを、理由を明確にしてまとめて表すには、物語の内容面、構成や表現面など、様々な特徴をとらえた上で、それらに対する自分の考えを明確にもつことができるようにすることが重要です。

指導に当たっては、
目的に応じて、様々な本や文章を読み、自分が思ったことや考えたことについて、叙述内容の一部を引用したり要約したり、自分の体験や読書経験などと関係付けたりすること
本や文章全体の構成や展開、表現の特徴などにも着目しながら、理由を明確にして発表し合うこと

などが考えられます。








設問番号
3二

正答率
   44.6
無解答率
   11.1
〔設問の概要〕…話し手が聞き手に問い掛けるよさについての説明を書く。
〔出題の趣旨〕…目的や意図に応じて、聞き手を引き付けるように話す。
〈分析結果と課題〉
テーマに基づいて調べたことについての発表において、話し手が聞き手に問い掛けることのよさについて説明することに課題があります。問われている事柄を正しく理解することができなかったり、聞き手へ問い掛ける効果について明確に説明することができなかったりしたものと思われます。

《これからの指導に向けて》
聞き手を引き付ける話し方をするには、聞き手の反応を確かめながら話を進めていくことができるようにすることが重要です。

指導に当たっては、
「このことを知っている人は手を挙げてください。」と聞き手の知識の状況をとらえたり、「二つの資料のこの部分を比べてみてください。共通点が一つあります。」と注目点や強調点を示したりするなど、話の内容や資料への興味や関心が高まるような話し方の工夫すること

などが考えられます。
 
〈参考〉国立教育政策研究所Webページ      http://www.nier.go.jp/index.html                                       
以上のように分析及び考察を行いました。
詳しい結果や指導のアイディアなどを知りたい方は下記のリンクを参照してください。
○調査結果の詳細は 〜佐賀県教育委員会Webページ   
http://www.pref.saga.lg.jp/web/kurashi/_1018/ik-genba/_48207/_48219.html
○平成22年度全国学力・学習状況調査結果を踏まえた実践アイディア集 
  〜国立教育政策研究所Webページ         
http://www.nier.go.jp/10chousakekkahoukoku/22_shou_jugyou_idea_houkoku.pdf

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最終更新日:2011-03-30