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食生活における確かな実践力をはぐくむ中学校家庭科の授業を提案します!

第1時の実践
 自分の食生活の問題点に気付こう

(1) 本時の目標
○自分の食生活を振り返り、食生活に関する問題に気付き、関心をもっている。【関心・意欲・態度】
○見通しをもって、おいしいみそ汁の調理計画を立てることができる。【生活の技能】
(2) 本時の展開
 
       学習活動
        教師の指導・支援
      評価・資料




1 本時の学習課題を知る。 
○自分の食生活の問題点に
  気付こう
2 事前アンケートの結果を聞
     き、授業への関心をもつ。




・事前アンケートの結果を紹介することで、
  今後の授業への見通しをもたせる。





事前アンケート結果




3 ウェビング法を用いて、「食
   生活」という言葉から思い付
    く言葉を、ワークシ ートに記
    入する。
        
4 食生活の振り返りチェックシ
    ートを記入し、点数を付け
   る。



5 食生活の振り返りチェックシ
  ートの項目について、気付き
   を出し合う。

(生徒の発言例)
・自分ができていないのは何?
・他の人はどうなのだろう・・・
・Aさんは茶碗洗いをしているんだ


6 自分の食生活の振り返りチ
    ェックシートの記入して、気
  付いたことをワークシートに
  書く。

(生徒の気付き例)
・自分は間食をしていないからいいな
・嫌いな物は、あまり食べたくないな
・みんなは手伝いをしているのかな


7 次時の調理の説明を聞
   き、ペアでみそ汁の調理の
   ための話し合いをし、手順
   や方法をワークシートに記
   入する。

(生徒の記述例)
・おいしいみそ汁のポイントってどん
  なのだろ う?
・調理実習ができて嬉しいな
・いりこの使い方はどうだったかな?
・大根はどんな形に切ろうかな?
・2人分って作ったことないな
・野菜の皮むきしたことがないな
・小学校での学習内容などを想起させ、
  「食生活」という言葉から思い付く言葉を
  自由に書かせることで、食生活の学習内
  容への関心をもたせる。








・今後の授業の資料となることを伝え、今
  までの食生活を振り返ってありのままを
  書くよう指示する。
・おおまかな目安として見るための点数な
  ので、細かな検討は必要としない。

・生徒自身の間食や食べ物の偏りなどを
  話題にさせる。
・家庭内での食事時間など、プライバシー
  に関することは避け、あまり深入りはさせ
  ないようにする。





・項目ごとに気付きが書けるように、振り返
  る時間を十分に取る。
・気付きを出し合っての話し合いは調理の
  後(第3時)で行う。
・自分のよい点についても書くように、伝え
  る。




・ペアで話し合いをさせる。
・話し合う時間をきちんと設定してお く。
・第2時の調理実習の中で自分自身の問
  題点に気付かせるため、教師側で作り方
  等の説明はしないようにする。
・野菜の切り方などは、その名称を覚えて
  いないことも考えられるので、小学校の
  教科書に出てきた野菜の切り方のプリン
  トを 各ペアに配付しておく。

ワークシートNO.1@
生徒のワークシート@










ワークシートNO.1A
(食生活の振り返りチェックシート)







ワークシートNO.1B
生徒のワークシートA
【関心・意欲・態度 】
自分の食生活に関心をもち、問題点に気付くことができる。(ワークシート)



ワークシートNO.1C
生徒のワークシートB

【生活の技能】
見通しをもって、おいしいみそ汁の調理計画を立てることができる。(ワークシート)

野菜の切り方プリント


評価



8 調理に必要な準備等を確認
   し、次時への見通しをもつ。
・開始時には、服装の準備等整え、自分の
  分担を確認しておくことを伝えるが、細か
  い服装の指示は行わないようにする。
 
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(3) 授業の実際と指導のポイント
学習活動2
 事前アンケートの結果を聞き、授業への関心をもつ。
○指導のポイント・・・事前アンケートの結果を使用する
  自分たちの事前アンケートの結果をグラフ化して紹介することで、これまでの調理に関する実態を自分たちの課題として考えることができたようです。また、課題を生徒どうしが共有することで、劣等感をもたずに自分の課題に向き合うことができました。 
学習活動6
 自分の食生活の振り返りチェックシートを記入して気付いたことを、ワークシートに書く。
○指導のポイント・・・振り返らせたい項目を絞って気付きを書かせる
 振り返らせたい項目ごとに気付きを書く欄を設けたことで、生徒は振り返る視点を基に、いろいろな面から問題点を考えることができていました。また、問題点だけでなくよい点も書かせたことで、自分の食生活の姿を確認することにつながりました。
学習活動7
 次時の調理の説明を聞き、ペアでみそ汁を調理するための話し合いをし、手順や方法をワークシートに記入する。
○指導のポイント・・・ペア(二人組)で調理にかかわる活動を行わせる 
 技術面の課題に気付かせるために、ペアで「おいしいみそ汁」の調理をする学習を取り入れました。ペアにしたことで、発言の機会が増え、意欲的に話し合いができていました。教師が調理に関する指導を行わないこととペアで知恵を出し合うことを確認し、話し合いをさせました。みそ汁作りについて知っていること・知らないこと、できること・できないことといったことが、このペアの話し合いの中で明らかになり、調理技術に対する課題に向き合わせるきっかけになりました。
学習活動8
 調理に必要な準備等を確認し、次時への見通しをもつ。
○指導のポイント・・・生徒に気付かせるために、服装等準備の指示を細かく行なわない
 次時は調理なので、事前に準備をしておくよう指示をしましたが、細かく指示をせず生徒に考えさせました。この準備についても、3時目において食生活に関する課題として気付かせるように考えました。
(4) 授業後の考察
 本授業では、教師側から課題を与えるのではなく、できる限り自分自身で気付いていくことができるようにいくつかの手立てを行いました。提示した資料や振り返る内容が生徒にとって身近なことであったため、関心をもって取り組んでいました。
 通常、グループで行うことが多い調理実習ですが、ペアでの活動を取り入れたことで、生徒全員にすべての準備や計画にかかわらせることができました。調理経験の少なさによる技術面の課題に気付かせるのに効果的で、実践的・体験的な活動を充実させるという意味でも有効でした。
 ただ、個人で気付きを見付けたり、ペアで話し合ってワークシートに記入したりする時間が多いので、時間配分に気を付ける必要がありました。

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最終更新日: 2010-03-24