国語科授業の「あったらいいな!」を形にします。

 授業展開案1  〜授業づくりの基本構想に基づく実践の提案〜  (「書くこと」の指導)
単元名 
  意見文を書こう
教材名(出典)
新聞投稿記事(実際に新聞に掲載された中学生の投稿記事)
「佐賀新聞」日曜版「中学生の意見」のような特集から入手しやすい。
「根拠を明らかにして書こう 意見を伝える」 (光村図書「国語2」)
教材@との比べ読みにより、構成や文末表現、反対の立場に対する配慮などに気付かせるための教材
投稿記事モデルA〜F (自作資料)
投稿記事の書き方のポイントをつかむための教材
「モアイは語る―地球の未来」 安田喜憲 (光村図書「国語2」)
教材Bとの比べ読みにより、字数や様式などの条件や、目的などに応じて書き方が違うことに気付かせる
ための教材
「読書活動 情報を検索する」(光村図書「国語2」P156)
情報収集の方法(図書資料の検索)を学ぶための教材

生徒の実態と指導のねらい
   佐賀県の生徒の実態として、平成21年度佐賀県小・中学校学習状況調査の結果から、「読むこと」、「書くこと」、「言語事項」の2領域1事項に課題が見られました。特に「読むこと」では、「論理の展開を押さえ正確に理解し、ものの見方をとらえる」ことに、「書くこと」では、「資料から必要な情報を取り出し、伝えたいことを明確にして書く」ことに課題があるため、年間指導計画の立案や単元構想に当たってはこの課題の克服を常に頭において考える必要があります。そこで本単元では、説明的な文章と新聞投稿記事との比べ読みを行い、実際に投稿記事(意見文)を書くという言語活動を通して、「論理の展開を押さえ正確に理解する力」、「目的や条件に応じて意見や立場、根拠を明らかにし、分かりやすい構成で書く力」を付けることをねらいとしています。
学習内容の系統性
  《既習単元》
 
学年
単元名
既習の学習内容
1年生 「未来を開く微生物」 ・段落の役割に着目して文章の構成を読み取る
・説明的な文章の構成や言葉の意味を正確にとらえる
「手紙を書こう」
・目的や相手に応じて書く
「調べたことを正確に伝えよう」 ・情報を正確に分かりやすくまとめる
2年生 「文化を伝えるチンパンジー」 ・事実と考察を区別して読み取る
 
    ◆課題
自分の意見を明確にし、それを相手に分かりやすく適切にまとめることに苦手意識をもつ生徒が少なくない
  《本単元》
○既習の力を使って説明的な文章と新聞投稿記事の比べ読みをする活動を通して、説得力のある意見文の書き方のポイントを学び取らせ、意見や根拠を明らかにし、分かりやすい構成で意見文を書くこと【「書くこと」(1)ア〜エ】ができるようにしたいと考えます。
○相互評価や意見交流会を行い、書いた文章を互いに読み合い、構成の仕方や材料の活用の仕方などについて意見を述べたり助言をしたりして、自分の考えを広げること【「書くこと」(1)オ】についても指導していきます。
 
     
  《系統性をもたせる単元》
 
学年
単元名
発展させる学習内容
3年生 「生き物として生きる」 ・論理の展開を読み取る
「説得力のある文章を書こう」 ・自分の主張を書く
言語活動について
   本単元では、まず最初に、説明的な文章と新聞投稿記事を教材として目的や条件に応じた意見文の書き方を読み取る学習を行います。さらに、モデル作文の比べ読みを行うことで説得力のある意見文の書き方のポイントを知り、それを自分の意見文の表現の工夫につなげる言語活動を位置付けています。
【書くこと(2)イ「多様な考え方ができる事柄について、立場を決めて意見を述べる文章を書くこと」の具体化】
単元の指導目標
(1) 環境問題や食糧問題などの社会生活にかかわる課題をもたせ、必要な情報を収集・整理し、取捨選択して自分の意見を作り、意見文を書いて新聞に投稿しようとする意欲をもたせる。
(2) 目的や条件に応じて、意見や立場、根拠を明確にし、分かりやすい構成で意見文を書くことができるようにする。
単元の評価規準
ア 国語への関心・
意欲・ 態度
1 自分で設定した課題について情報を集め、立場を明らかにして意見文を書こうとしている。 【B 書くこと(1)ア、イ、ウ】
イ 書く能力 1 意見や根拠を明らかにし、分かりやすい構成で意見文を書いている。  【B 書くこと(1)ア、イ、ウ、エ】
2 書いた文章を互いに読み合い、構成の仕方や材料の活用の仕方などについて意見を述べたり助言をしたりして、自分の考えを広げている。 【B 書くこと(1)オ】
ウ 読む能力 1 文章の表現の仕方について、根拠を明確にして自分の考えをまとめている。 【C 読むこと(1)ウ】
2 目的をもってさまざまな文章を読み、必要な情報を集めて自分の表現に役立てている。 【C 読むこと(1)オ】
エ 言語についての
知識・理解・技能
1 相手や目的に応じて文章の形態や文章表現に違いがあることを理解している。 【伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項 イ(オ)】
単元の計画(全8時間)
主な学習活動
指導上の留意点
指導計画
資料
ワークシート等
1 新聞の投稿記事を読んで新聞投稿に関心・意欲をもつ。

2 投稿記事モデルを比べ読みし、「説得力のある意見文の書き方のポイント」を考える。
○学習計画表を基に、学習の目標と流れを確認させる。

○比べ読みの仕方を確認させ、個別に随時指導する。
指導計画1/8
学習計画表
補助資料@
生徒用手引き 7
教材1(新聞投稿記事)
教材2(教科書)
教材3(投稿記事モデル)
ワークシート@
3 「モアイは語る」と投稿記事モデルC、Fを比べ読みし、相手や目的、条件等に応じて書き方が異なることに気付く。

4 学習課題を設定し、学習計画を立てる。

○比べ読みをすることにより、同じ事実を述べるのにも、目的や条件に応じて表現の仕方が異なることに気付かせる。

○学習計画を立てる際には、モデルを示すなど丁寧な指導を心掛ける。
指導計画2/8
学習計画表
教材3(モデルC・Dのみ)
教材4 (教科書)
補助資料A
補助資料B
5 モデル学習をし、意見文を書く手順を知る。

6 設定した課題について、図書検索やインターネットを利用して情報を集める。

○引用した文章の書かれている図書を提示する。

○参考資料や参考図書を明確にするよう指導する。

指導計画3/8
学習計画表
教材5(教科書)
補助資料C
補助資料D
ワークシートA
ワークシートB
ワークシートC
7 集めた情報を基に自分の意見を明らかにする。

8 構成法を考えて意見文を構成する。

○どの情報を選び取るのかを考えさせる。


○学習の手引きを利用させる。

指導計画4/8
学習計画表
ワークシートA
ワークシートB
ワークシートC
生徒用手引き 7
9 意見文を書く。 ○意見文を書く際に、学習計画表に記載しているポイントを参照するよう助言する。 指導計画5/8
学習計画表
補助資料E (原稿用紙の使い方:1年教科書)
補助資料F(推敲の仕方:1年教科書)
ワークシートC
ワークシートD
10 書いた意見文を推敲(すいこう)して、原稿用紙に清書する。

○学習の手引きを利用させる。 指導計画6/8
学習計画表
補助資料E (原稿用紙の使い方:1年教科書)
補助資料F(推敲の仕方:1年教科書)
ワークシートD
ワークシートE
11 グループで意見文を読み合い、評価し合う。 ○評価の観点に従って相互評価をさせる。

指導計画7/8
学習計画表
ワークシートE
評価表
12 各グループの代表者が学級で発表し、意見を交流し合い、学習のまとめをする。
○学習を振り返らせ、何を学んだかを確認させる。 指導計画8/8
学習計画表
ワークシートE
評価表
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※学習計画表は、単元を通して同じものを使用しています。また、同一番号のワークシートはすべて同じ内容です。

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最終更新日: 2010-03-29