1 |
「造形力の低下」について |
|
(1) |
日本文教出版発行の図画工作科・美術科の機関誌「形 forme」のWeb版機関誌bQ71(平成15年10月10日発行)のなかで、福島大学教育学部の天形 健教授が「造形力の低下」について触れられている。 |
|
(2) |
教育美術振興会発行の機関誌「教育美術」1998年8月号に山梨大学教育人間科学部の栗田真司准教授が「10歳前後に発現する描画表現意欲の低下傾向に関する基礎的研究」という論文の中で触れられている。 |
|
(3) |
岡山大学の高橋敏之教授が、Web論文「造形表現におけるイメージの形成とその母胎〜図画工作・美術科教育の今日的課題と方法論序説〜」の中で触れられている。 |
|
|
|
2 |
ローウェンフェルドについて |
|
V.ローウェンフェルドは、オーストリアのリンツに生まれる。ウイーンの専門学校において美術制作、ウイーン大学において美術史と心理学を学んだ。その後、アメリカに渡り、ペンシルヴァニア州立大学にて美術教育部長の座に着いた。翌年に彼が出版
した著書は、戦後の世界の美術教育で最も影響力のある著作として知られている。
我が国においても、その著作の改訂第三版が『美術による人間形成』(竹内 清・堀ノ内 敏・武井 勝雄 訳/黎明書房)という表題で翻訳
され、その邦訳書は、戦後の美術教育の理論と実践の礎となり、現在においてもなお美術教育の基本図書の一つとなっている。 児童生徒の発達段階に即した一貫した美術教育の実際的、体系的な指導書である。 |
|
|
|
3 |
フェルドマンの批判学習について |
|
フェルドマンは、1960年代のアメリカにおける美術批評モデルの提案者である。
教育的美術批評を提唱した。「フェルドマンの批判学習」とは「記述」「分析」「解釈」「判断」という4つの段階に分けて美術批評を行う手法である。 |
|
(1) |
「記述」(価値判断をいったん停止・保留し、十分な時間をかけて観察し、記述する。)
このとき、できるだけ、客観的に見た言葉と数字を用いるようにする。例えば、写実作品など伝統的な手法による作品の場合には、何が描かれているか、抽象的作品の場合には、形態・色彩・空間・量など造形的要素について、それぞれ記述する。 |
|
(2) |
「分析」(見ているものの状態を観察)
個々のイメージとイメージの関係の記述。形態や構造の分析を主に行う。
@ 位置と形態の関係(垂直、水平など)
A 大きさ
B 形態の相互関係
C 色彩とテクスチャーの関係
D テクスチャーと表面の関係
E 空間と量の関係 |
|
(3) |
「解釈」(作品に現れている様々な特徴を統一する理念や概念(仮説など)があるかどうか)
考察の結果、もし、あれば、それについて論じる。記述段階のように、視覚的イメージを言語化するのではなく、理念を言語化する。 |
|
(4) |
「判断」(作品の価値を判断する真に注目する価値があるか、どうかを決定)
以下の3つの立場から判断する。
「形式主義」 作品の視覚的要素を強調、徹底的な形態分析
「表現主義」 感情的に或いは知的に揺り動かされる度合い
「道具主義」 芸術は社会制度によって規定された目的をもち、その目的に対する芸術の影響力 |
|
(奈良教育大学 美術科教育学研究室 宇田秀士 「教師教育における鑑賞教材開発(1)」より) |