○ 学習指導案    中学校第1学年 「 国語科 」


1 単元名  主題を考えよう「そこに僕はいた」(辻仁成)(平成15年12月実施,31名)
                            
授業実践者:溝上 史子授業実践者へのメールはこちらから

2 単元とその指導について
 本教材は、教科書では最終単元「わたしの国語学習」に位置づけられている。2学期までの学習状況に応じ、主体的に学習を計画するための選択学習材の一つとなっている。生徒の実態と、共感し考えを深めやすい教材ということを考え、ここでは「主題を考えよう」の中で取り上げることにした。
 生徒たちが、自己について、人間について、社会について自らの考えを表に出し始めるこの時期、文学作品における登場人物の心情や考え方から人間の生き方、人間のあり方を考えさせたい。
 この作品は主人公の餓鬼大将「僕」と、片足が義足の「あーちゃん」との交流を細やかな心理的描写によって表現された少年小説である。登場人物間の心の交流から互いに人間的に高まっていく場面が描かれている。生徒は主人公や登場人物の言動に共感したり、反発したりしながら読みを深める教材である。
 本学級は、大部分の元気のいい男子と、控えめな女子の差が目立つ学級である。そのため、積極的に意見を発表する男子を中心に授業が進みがちになることが多い。4月当初の学力診断テストでは国語の力は全国平均と大差はないが、読み取りの力がやや落ちることが分かっている。より多くの生徒の発言を取り上げ、作品を深く味わうために、コンピュータを効果的に用いたい。技術科のコンピュータを扱う授業を楽しみにしている生徒が多かったことから、日ごろの授業よりも目新しさも手伝って意欲的に活動することを期待した。打ち込みの速さには個人差があり、中にはローマ字もおぼつかない生徒もいるため、事前での練習も必要となるだろう。
 本教材は登場人物の心情や人間的な成長のあとを読み取ることが比較的容易であるため、表現からの読み込みを基本としたい。コンピュータを使用することにより、日ごろ発言できない生徒たちも意欲的に意見や考えを発表する場を設け、読みを深めたい。障害者理解の概念的なことにのみ固執せず、登場人物の生き方に対する人間的な共感まで高めたい。

 単元における情報通信ネットワークの活用について
 日ごろ発表を苦手としている生徒も意欲的に取り組める。
 会議室機能を使用することにより、他の人の考えを瞬時に読むことができ、より多くの人の考えを知ることができる。 
 コンピュータの活用でより多くの生徒が意欲的に参加でき、必要な場面で瞬時に発言に目を向けさせることができ、集団で課題追求を進めることができる。
3 単元の目標
 作品の構成や展開を正確にとらえ、主題を考える。
 主人公の心情を読み取り、自分の考えを書き表すことができる。

4 単元の計画 (全6時間)
 出会う・つかむ 全文を通読し、初発の感想を発表する。・・・・1時間
 ふかめる 「僕」「あーちゃん」への質問を考え、答える。・・3時間(本時2/3)
 まとめる・ひろげる 「それぞれの思い」について考える。・・・1時間
主題について考え、感想を書く。・・・1時間

5 本時の学習指導 (3/6) 場所:パソコン室  時間:2校時
 (1)目標
   ○ 教科書から根拠を探し、より多くの質問に答えることができる。
   ○ 他の人の答え方を参考にしながら、考えを深めることができる。
 (2)利用環境
<本校の環境>
○主なハードウエア

・使用機器:FMV6433Dx3c 35台
・周辺機器:プロジェクター1台
   
○主なソフトウエア ・使用形態:ツール
・ソフトウェア名:ハイパーキューブNet2
・使用OS:Windows98
 (3)展開
生 徒 の 活 動 教師の指導と支援(※評価)
 本時の学習内容(めあて)を知る。
学習課題
 「僕」への質問に答えよう。
 質問の中から、自分が答えられるものを選び、答える。
@ 初めに答える質問を確認する。
A 教科書から根拠を探しながら考える。
B 考えをまとめ、パソコンに書き込む。
C 他の人の意見を聞きながら考えを深める。
D 最初に選んだ質問に十分意見を出したら他の質問に移る。

 
 全員で確認する。
@ 各パソコンとプロジェクターの画面を見ながら説明を聞く。
A 質問1から順に全員で確認し、それぞれの会議室での話し合いを共有化して考えを深める。

 「違う何かが見え始めた」後の、「僕」のあーちゃんに対する気持ちをまとめワークシートに記入する。




 本時のまとめと次時の予告を確認する。
@ 「僕」への質問の答えを簡単に、確認する。
A 次時は「あーちゃん」への質問について答えることを確認する。
 前時に考えた「僕」への質問をプリントで提示する。
 質問を意欲的に読み、積極的に授業へ参加しようとしているか。 
 前時に考えた質問に対して、どの質問に初めに答えるかあらかじめ決めさせておく。
 決めておいた質問に答え、話し合いの中で十分考えが打ち込めたら他の質問に移ってもいいよう指示する。
 巡回し、戸惑っている生徒に助言する。
 教科書を意欲的に読み返し、その根拠を探しているか。
 意欲的に書き込みができているか。
 
 立ち上げておいたミーティングサーバでフォルダーに保存する。
 各パソコンとプロジェクターを、全員で見ながら各会議室での話し合いの様子と深まりを確認させ説明を加える。
 他の人の意見を参考に、自分の考えを深めようとしているか。
 教科書やパソコンを見ながら、他の人の意見も参考にして考えをまとめるよう指示する。
 巡回し、個別指導を行う。
 考えをまとめ、ワークシートへ意欲的に書き込みができているか。
 本時に出た答えを簡単にまとめ説明する。
 前時に出たあーちゃんへの質問に答えることを予告する。
 本時を振り返り、次時へ意欲を持つことができたか。
6.生徒たちの反応
たくさんの人の意見を参考に考えを深めることができたようだ。
日ごろ発表を苦手としている生徒や、消極的な生徒もたくさん発言することができた。
口頭での発表では言葉が残りにくいが、パソコンへの書き込みでは目でも繰り返し確認することができるため、他の人の考えにじっくり答えることができた。
キューブネットのミーティングルームはチャットの感覚で楽しく活動できた。
7.授業者のコメント
事前に他の授業で会議室機能を使用していたおかげで、生徒が操作に慣れていたのでスームーズに進めた。
複数の質問を用意し、それぞれにミーティングルームを立ち上げたので、保存のためのサーバ用パソコンが質問分必要となる。
途中入室した場合、前からの話の流れが見えにくいため、それに対応のできるソフトがあればと思う。
キューブネットのフォルダーに全員で一度にアクセスすると、画面が固まり戸惑ったが、マイコンピュータの中から見ればそれも解消できた。
匿名ではなく、実名で各会議室に入室させることで自分の発言に責任を持たせることができ、また、サーバ用パソコンですぐに確認ができるため、指導につなげやすかった。
※資料等 指導案【WORD】 指導案【PDF】
ワークシートbP【WORD】 ワークシートbP【PDF】
ワークシートbQ【WORD】 ワークシートbQ【PDF】
生徒の感想【WORD】 生徒の感想【PDF】