学習指導要領の移行伴い追加された学習内容等、特定の学習内容における「知識・技能」の定着に課題がある。
[中学2年生 大問1の(2)]
○ 問題の概要
○ 解答状況
「おおむね達成」の期待正答率50.0に対して、正答率は34.4であり、15.6ポイント下回った。指数の意味や、負の数における指数を含んだ計算方法の理解に課題があると思われる。
○ 指導法改善の手立て
生徒がつまずきやすい問題である。指数の意味や 等の違いについて理解できるよう丁寧に指導し、類似問題に数多く取り組ませるなど、知識・技能の定着を図る取組が大切である。 |
[中学2年生 大問2の(1)]
○ 問題の概要
○ 解答状況
「おおむね達成」の期待正答率50.0に対して、正答率は28.3であり、21.7ポイント下回った。分数を絡めた問題であったため、正答率も低下したと考えられる。絶対値や整数の意味や分数についての数値としての大きさの理解に、課題があると考えられる。
○ 指導法改善の手立て
絶対値や整数及び自然数等の用語の意味について知識の定着を図る必要がある。また、場合によっては、小学校で学習する小数や分数についての復習が必要である。数の大小を考える場合は、数直線上に表して考えることが多いが、数直線上の目盛りを細かく取るなどの工夫により、該当する数がどの位置にあるのかを理解させて、数値としての大きさを捉えさせていくことが大切である。
[中学2年生 大問2の(4)]
○ 問題の概要
○ 解答状況
学習指導要領の移行に伴い追加された学習内容である。「おおむね達成」の期待正答率50.0に対し、正答率は44.8であり、5.2ポイント下回った。比例式の性質(外項の積=内項の積)を使った解き方が十分定着できてないものと考えられる。
○ 指導法改善の手立て
解が整数であるような場合には暗算でも解は導きやすいが、本問題のように解が分数になるものや、複雑な文字式が絡むような問題においては、比例式の性質(外項の積=内項の積)を使った解き方が有効である。そのため、比例式の性質を使った解き方についても、十分定着を図ることが大切である。指導に当たっては、2:3=6:9の場合は、2×9=3×6が成り立つことなど、具体的で分かりやすい例を取り上げながらまずは知識・理解の定着を図り、その上で、一般的な比例式の問題の解き方へと技能の定着を図っていくことなどが考えられる。
[中学2年生 大問6の(2)]
○ 問題の概要
○ 解答状況
学習指導要領の移行に伴い追加された学習内容である。「おおむね達成」の期待正答率40.0に対して、正答率は18.9であり、21.1ポイント下回った。平行移動、対称移動及び回転移動の理解に課題があると思われる。また、与えられた情報や文章の意味を読み取る力や数学的な思考力を必要としたために、正答率も低下したものと考えられる。
○ 指導法改善の手立て
定規やコンパス、分度器等を使いながら、三角形などの具体的な図形を、それぞれの移動を使って移すような操作活動に取り組ませて、知識・技能の定着を図っていくことが、まずは大切であると考える。また、線対称と点対称について学習を終えていることを配慮し、対称移動については線対称としての概念をもたせることや、点対称移動は180°の回転移動であることを理解させることも大切である。更に、本問題のように、ある図形といくつかの移動を使って動かした図形を比べて考えさせる場合においては、厚紙等で作った図形を用いて実際に移動させるなどの操作活動を取り入れることにより、数学的な思考力も培われるとともに知識・技能の定着につながるものと考える。
[中学2年生 大問7の(1)(2)(3)]
○ 問題の概要
○ 解答状況
「おおむね達成」の期待正答率は、問7(1)が50.0、問7(2)が45.0、問7(3)が35.0であったが、正答率は問7(1)が31.7、問7(2)が41.3、問7(3)が8.9と、全てにおいて下回った。与えられた図形や立体の条件に応じて、長さを求めたり、面積を求めたり、体積を求めたりするための知識・技能の定着及び回転体についての理解に課題があると考えられる。また、問7(3)については、球の体積と円柱の体積及び回転体に関する内容が関連した複合問題となっていたため、正答率の低下につながったと考えられる。
○ 指導法改善の手立て
図形や立体における長さや面積、体積を求めること等の学習については、十分な時間の確保が大切である。それぞれを学習する過程において、実際に図形や立体の具体物を用いて、長さを測ったり面積を求めたり、体積を調べたりするような操作活動を取り入れていくことで、理解も深まっていくものと考える。そういった学習過程を経た上で、公式を使った求め方を定着させて、技能の習熟を図っていくことが必要である。また、回転体の学習においては、実際に厚紙で作った図形を回転させるなどの操作活動や、パソコンによるグラフィックソフト等を活用した取組を行うことにより、理解が深められるものと考える。
[中学2年生 大問8の(2)]
○ 問題の概要
○ 解答状況
「おおむね達成」の期待正答率55.0に対して、正答率は28.7であり、26.3ポイント下回った。無解答率も21.8であり、座標の意味や表し方についての理解が十分でなかったこと、また、文章の意味を十分読み取ることができなかったことが要因として考えられる。
○ 指導法改善の手立て
座標ということばについて理解していても、実際のグラフ上の点や表で表されているxとyの数値と結びついていないことが考えられる。座標、x座標、y座標などのことばの意味を理解させるとともに、y=-2xなどのグラフの学習において、xに具体的な数を代入しながら表を作る際に、表に表したxとyの値が、それぞれの点の座標やx座標、y座標を表しているということを、実感させるような取組が大切である。また、本問題は複数の解答が考えられたために、戸惑いを感じた生徒も多かったことが予想される。知識・技能に関する内容の学習においても、解答の条件を広く設定した問題に触れさせることは、多様な見方や考え方を育むことにつながっていくものと考える。
[中学2年生 大問9の(1)(2)]
○ 問題の概要
○ 解答状況
問9(1)は「おおむね達成」の期待正答率45.0に対し正答率は21.4で、無解答率は27.4、問9(2)は「おおむね達成」の期待正答率40.0に対し正答率は14.2で、無解答率は34.0であった。与えられたグラフからxとyの関係を読み取って式に表すことや、与えられたグラフの変化や対応の特徴を捉えること、文章の意味を読み取ることなどに課題があると考えられる。
○ 指導法改善の手立て
比例の学習内容に関わる発展・応用問題である。問9(1)については、x軸とy軸における1目盛り数値が違っていたことも正答率の低下につながったと考えられるが、このような問題を通して、グラフからxとyの関係を読み取り式に表すことできるような技能の習熟を図っていくことが大切である。問9(2)については、Aの式がy=4/5x、Bの式がy=3/10xとなることから4/5x-3/10x=60という方程式を利用する求め方の他に、50gのおもりをつるしたときのばねののびた長さが40-15=25(mm)になることから、x : 50=25 : 60 など比例式を利用した求め方等も考えられる。このように多様な考え方ができるような課題を設定し取り組ませることで、数学的な思考力の向上につながるものと考える。また、これまで学習したことを活用させることで、知識・技能の定着にもつながるものと考える。
[中学2年生 大問10の(2)(3)、大問11の(1)]
○ 問題の概要
○ 解答状況
学習指導要領の移行に伴い追加された学習内容であり、「おおむね達成」の期待正答率は問10(2)は50.0、問10(3)は50.0、問11(1)45.0であったが、正答率は問10(2)は20.1、問10(3)は42.1、問11(1)は3.7と、全て下回った。相対度数の意味と求め方、度数分布表を利用した平均値の求め方、有効数字の意味と表し方など、知識の定着が十分でないことに要因があると考えられる。
○ 指導法改善の手立て
それぞれにおいて、知識の定着を図るための取組が優先事項であると考える。できれば、日常生活の中にある数値で表された情報などを題材とすることで、生徒の関心・意欲を引き出しながら、理解が深められるように授業を進めたい。 |