〔共通事項〕をよりどころとして表現と鑑賞の関連を図った指導法の工夫について提案します!!    
                                                          

2 研究の実際

(2) 本研究における〔共通事項〕をよりどころとした表現と鑑賞の関連の考え方

 〔共通事項〕は、表現及び鑑賞のすべての活動において共通に指導する内容が示されています。授業においては、すべての活動で共通に必要となる〔共通事項〕で示された指導内容と、各活動に示された指導内容を関連させることが大切になります。

 @〔共通事項〕をよりどころとした関連

 

  「よりどころ」の意味 

                  (大辞泉より)

  1 頼みとするところ。支えてくれるもの。  
  ある物事が成り立つもとになるもの。根拠

本研究では、「〔共通事項〕をよりどころとして」を、「〔共通事項〕を表現及び鑑賞の各活動を支える基盤として」また「〔共通事項〕を思いや意図をもつための思考・判断の根拠として」と捉えています

これらの意味を含めると、〔共通事項〕をよりどころとした関連を図ることは、次のような2つの関連を考えることにつながります。

  

2つの関連

 a 〔共通事項〕と表現及び鑑賞の各活動の関連……〔共通事項〕を、表現及び鑑賞領域における歌唱、器楽、音楽
                                                                    づくり、鑑賞の各活動を支える基盤として、各活動相互の関連
                                       を図る。
                                     

   b 〔共通事項〕と各活動の指導事項との関連………〔共通事項〕を、思いや意図をもつための思考・判断の根拠と
                                       して、題材を通して各活動の指導事項との関連を図る。  

〔共通事項〕をよりどころとして表現と鑑賞の関連を図った授業づくりの、関連のポイントは次のとおりです。

●〔共通事項〕を各活動に共通に位置付ける

〔共通事項〕の指導事項アの(ア)「音楽を特徴付けている要素」及び(イ)「音楽の仕組み」を聴き取ることと、その働きを感じ取ること、イの音符、休符、記号や音楽にかかわる用語を理解することと常に関連させて指導する。

●〔共通事項〕と題材のねらいとの関係を明らかにする
   具体的なレベルの(ア)「音楽を特徴付けている要素」及び(イ)「音楽の仕組み」を題材の要に位置付け、各活動で共通に指導する内容を明確に示すことによって、歌唱、器楽、音楽づくり、鑑賞の各活動が必然的に関わるようになる。
●〔共通事項〕の学習を各活動の学習に生かすようにする
  表現及び鑑賞の各活動に示された指導事項を身に付けさせるためには、〔共通事項〕の学習を各活動の学習に生かすように、〔共通事項〕と各活動の内容を関連させた題材を構成することが大切である。
 
教育出版 小学校学習指導要領の解説と展開 音楽編 安彦忠彦 監修 坪能由紀子・伊野義博 編著 p14、15より

 

 A〔共通事項〕をよりどころとして表現と鑑賞の関連を図った題材構成
  このように考え、本研究を実践していくには、まず、〔共通事項〕をよりどころとして表現と鑑賞の関連を図った題材を構成することが必要です。そこで本研究では、〔共通事項〕の音楽を形づくっている要素(音楽を特徴付けている要素)である旋律を中心に表現と鑑賞を関連させ、各活動を通して育成するように教材を組み合わせ、3年生の児童を対象にした題材「せんりつのとくちょうをかんじとろう」を構成しました。また、鑑賞の活動で学習した音楽を形づくっている要素(音楽の仕組み)である反復を表現領域の器楽の学習で生かし、更にそれを音楽づくりの学習で、音を音楽に構成する手掛かりとして旋律の創作に生かすよう構成しています。(図1
  

            

              図1 題材のねらいと表現及び鑑賞の各活動と〔共通事項〕との関係    

                                                       

 表1は、図1を基に、本題材において〔共通事項〕(音楽を特徴付けている要素「旋律」と音楽の仕組み「反復」)をよりどころとした各活動の児童の姿を具体的に示したものです。〔共通事項〕を支えとして、表現や鑑賞の各活動の関連を図りながら題材のねらいに向かっていくように考えて構成しています。
 
 表1 題材における〔共通事項〕をよりどころとした表現と鑑賞の関連を図った児童の活動
題材名 「せんりつのとくちょうをかんじとろう」
表現及び鑑賞
の各活動
〔共通事項〕

  鑑 賞

  「白鳥」



旋律
音色

 

○白鳥の様子を表すなだらかな上行、下行の主旋律、湖面の様子を表す16分音符の分散和音で流れるように繰り返される伴奏の旋律の特徴を聴き取る。

○優雅な白鳥を表すチェロの響きのある柔らかく優しい音色、湖面を波打つ様子を表すピアノの音色の違いに気付き、それぞれの音色のよさや美しさを感じながら聴く。
反復



○楽曲の曲想に関わる音楽を形づくっている要素である音楽の仕組み反復について知る。


○湖面の様子を表す16分音符の分散和音で流れるように繰り返される伴奏の反復を聴き取る。

      
 
                     
 
                     

  歌唱

 「ふじ山」

旋律
強弱


○「白鳥」で、旋律の動きが曲想に関連していたことを思い出す。

○「ふじは日本一の山」に向かう上行の旋律の特徴や曲の盛り上がりに気付き、強弱と関連させて表現の工夫に生かす。

 
      
 
                     
 
                     

   器楽
「メリーさんの羊」

旋律
○「白鳥」や「ふじ山」で学習した上行、下行の旋律や、付点のリズムが入った旋律の特徴に気付き、表現の工夫に生かす。
反復


○楽曲の構成が、1〜2小節と5〜6小節が同じ旋律であることに気付き、「白鳥」で学習した反復を思い出し、楽譜を見て理解する。


○反復のよさや面白さを感じ取って表現の工夫に生かす。

      
 
                     
 
                     
音楽づくり 旋律 ○「白鳥」や「ふじ山」で学習した上行、下行の旋律や、「メリーさんの羊」で学習した付点のリズムが入った旋律の特徴を生かして旋律を創作する。 

○「メリーさんの羊」に出てきた、ソ、ラ、シ、レを含むソ、ラ、シ、ド、レの5音で旋律を創作する。

反復

○「メリーさんの羊」で学習した、反復のある8小節の楽曲構成を参考にして曲を構成する。
      
 
                     
 
                     
題材の
指導目標
○旋律の特徴を感じ取りながら、想像豊かに聴いたり思いや意図をもって表現したりすることができるようにする。
○旋律の特徴を生かして、曲想にふさわしい表現の仕方を工夫しながら演奏することができるようにする。
 このように、〔共通事項〕をよりどころとして、表現及び鑑賞の各活動の関連を図った題材の中で、学習カードの作成・提示の仕方、発問や指示、ワークシートなどの指導法について実践を行いました。〔共通事項〕をよりどころとして表現と鑑賞の関連を図った指導法が、児童の音楽の学習過程とどのように関わっているかを表したものが図2です。
    図2 〔共通事項〕をよりどころとして表現と鑑賞の関連を図った指導法と学習過程との関連図
        
  図2では、中央の緑色の円にある〔共通事項〕が、表現領域の歌唱、器楽、音楽づくりと鑑賞領域の鑑賞の4つの各活動の関連、〔共通事項〕の指導事項と各活動の指導事項との関連との支えとなり、そこを中心につながり合っています。

本研究では、図2のような《楽曲と出会う》→《楽曲について考える》→《楽曲を味わう》という児童の音楽の学習過程において、〔共通事項〕カードの作成・提示、発問や指示、ワークシートなどの指導法の工夫を行い、思いや意図をもって表現したり味わって聴いたりする児童の育成を目指しました。その具体的な手立ては、次のとおりです。

 B〔共通事項〕をよりどころとして表現と鑑賞の関連を図った指導法の工夫
学習カードの作成・提示の仕方


○聴き取り感じ取ったことを基に、思いや意図をもって表現したり味わって聴いたりさせるための手立てとして、〔共通事項〕カードを作成し、提示する。

表現及び鑑賞の全ての活動において共通に指導する内容である〔共通事項〕の各要素をカードとして提示することは、児童の思考・判断やその根拠を明確にして、ねらいに向かわせる有効な手立てになると考えました。

〔共通事項〕については、それ自体を教え込むのでなく、あくまでも音楽のよさや面白さ、美しさを味わわせるという大きな目標を見失わないようにすることが大切だと考えています。提示の仕方については、〔共通事項〕の全ての要素が常に前面に提示されているような状態でなく、その授業のねらいを達成するためのよりどころとしてポイントとなる要素をその都度提示していくようにしていきます。

そのためには、教師が、〔共通事項〕について十分理解し、年間計画の中で、〔共通事項〕と題材(教材)とどのように関連付けて指導していくのか明確な目標をもち、指導をしていくことが大切になります。


○〔共通事項〕を、9年間を見通して、小学校での学習と中学校での学習をつなぐ架け橋にできるようなカードにする。

提示する要素を小学校・中学校9年間のスパンで系統付けて理解させるために、〔共通事項〕カードを、中学校学習指導要領解説音楽編「音楽の構造の原理」を参考に、大きく分類して色分けしています。(表2

低・中学年では、児童が色の分類を意識することも少ないかと思われますが、高学年になり、音楽を形づくっている要素についての理解が深まるにつれ、各要素について音楽の構造も含めて理解しやすいようにしています。

例えば、黄色いカードは、音と音の時間的な関係を表す要素「リズム」「速度」「拍の流れ」、ピンク色のカードは、音の横の連なりや縦の重なりに関係する要素「旋律」「フレーズ」「音階や調」「音の重なり」「和声の響き」「音楽の縦と横の関係」というような色分けです。「旋律」は、3年生に提示することを考え「せんりつ」としました。他のカードは読み仮名を付けて漢字で示しています。小学校低学年や中学年で、まだ音楽の構造の原理が分からなくても、系統付けておけば、高学年になったり、中学校で音楽を構造的に学習するようになったりしたときに、積み重ねてきた〔共通事項〕の学習がつながり合い、音楽を構造的に理解していくのに役立つと考えています。

                           表2 〔共通事項〕カードの種類と色分け一覧表

「音符、休符、記号や音楽にかかわる用語」もカードとしていつでも提示できるように作成しました。

「音楽の縦と横の関係」については、小学校の学習指導要領においては、音楽の仕組みに入っています。中学校学習指導要領解説 音楽編の「音楽の構造の原理」によると、音楽の縦では、音の重なりや和声の響きも含み、横では旋律やフレーズ、音階や調も含むことから、「音の連なりや織りなす関係」として、「テクスチュア」につながっていきます。そこで、音楽の組み立て方の要素と音の連なりや織りなす関係の両方の要素をもつことから、赤と青の間を取って紫色でカードを作成しています。

中学生用にも「テクスチュア」「形式」「構成」の要素を入れたこれらのカードを作成し、小学校と中学校が連携して、〔共通事項〕を音楽活動の架け橋として系統的に指導していくことができたら、音楽の力が着実に積み上げられ、身に付いていくことにつながると考えます。    

       歌唱「ふじ山」の授業での板書例

   分類

   
小学校
中学校

   音

音    色
   音量の変化
強  弱

音と音との

時間的関係 

速  度
リ ズ ム


音の連なり 織りなす関係

旋  律

 

  

  音楽の  

組み立て方

この表は、中学校学習指導要領解説 音楽編 p19 音楽の構造の原理」を参考に作成しています。

   
発 問 や 指 示

〔共通事項〕をよりどころとして表現と鑑賞の関連を図った指導を進める上で大切な発問や指示については、

次の2つのポイントを踏まえて実践しました。


a 表現及び鑑賞の各活動をつなぐ発問や指示          → ピンクの発問や指示

〔共通事項〕と表現及び鑑賞の各活動の関連


b 〔共通事項〕と各活動の指導事項とをつなぐ発問や指示 → 緑の発問や指

〔共通事項〕と各活動

の指導事項との関連

a発問や指示は、前時までの学習で思考・判断の根拠となった〔共通事項〕を想起させ、本時の活動に生かすという表現及び鑑賞の各活動を関連させる働きがあると考えます。

bの発問や指示は、例えば、@どこを、Aどのように、Bなぜいう具体的な問い掛けをすることによって、児童の思考・判断やその根拠を明確化して、〔共通事項〕と各活動の指導事項を関連させながらねらいに迫る働きがあると考えます。

 

授業での実践例を紹介します。


T:「白鳥」でも、音の高さに合わせて手を動かしながら曲を聴きましたね。手の動きと同じように、チェロで演奏されている旋律と、ピアノで演奏されている旋律の動きに気を付けて聴き取り、どちらの旋律が何のどんな様子を表しているのかを感じ取りながら曲を味わいましたね。チェロの旋律は、何を表していると感じましたか。

 
S:白鳥です。

T:ピアノの旋律は何を表していると感じましたか。


S:湖です


T:それは、なぜでしたか。


S:
白鳥の旋律は、ゆったりとしていてきれいな感じで、階段のようにだんだん盛り上がっていくところは、白鳥が翼を拡げて羽ばたいているような感じがしました。湖の旋律は、旋律の形が波のようになっていたし、同じ旋律が繰り返されていてゆらゆら揺れている感じがしました。

T:そうでしたね。同じ旋律が繰り返されることを何といいましたか。


S:
反復です。

 
T:
そうでした。同じ旋律が繰り返されていて、それをよく波のようだと感じ取ることができましたね。旋律の動きに気を付けて聴いたら、様子が思い浮かんできて曲を味わって聴くことができましたね。「ふじ山」でも、旋律の動きに気を付けて、「日本一のふじ山」を表す歌い方を工夫する勉強をします。(本時のめあて[友だちと協力して、「日本一のふじ山」を表す歌い方をくふうしよう。を提示する。)

では、みんなで「ふじ山」も、旋律の音の高さに合わせて手を動かしながら歌ってみましょう。


S :
旋律の動きに合わせて手を動かしながら歌う。 


T:旋律の動きで何か気付いたことは、ありませんか。

 
S1:音が高くなったり、低くなったりしています。

 
S2:階段みたいにだんだん音が高くなっていくところがありました。

 
S3:とても高い音にとんでいるところがありました。

 
T:「白鳥」にも、音が高くなったり、低くなったりしていたし、階段みたいにだんだん高くなっていくところがありましたね。

「ふじ山」でも、「白鳥」で学習したように旋律の動きに気を付けて、歌い方の工夫をします。   

ワークシートの楽譜に、@どこを、Aどのように工夫するのか書きましょう。   

   

      ★一人でワークシートを書く。 → ペアで相談しながら書く。 → グループで話し合って書く。

※グループで、どのように表現の工夫 をしたいのか話し合って、歌い試した後、発表させる。

※児童に発表させる際は、@どこを、Aどのように工夫するのか説明させてから発表させる。

 
S4:私たちのグループは、「ふじは日本一の山」のところを一番大きく歌うように工夫しました。
 
 
T:それは、Bなぜですか。

 
S4:歌詞が「日本一の山」となっているし、「ふじは」の音(旋律)が一番高くなっていたからです。


※グループ発表の後、ワークシートのふりかえりの欄に、Bなぜそのように工夫したのかを書かせる。

 
T:
Bなぜ、そのように工夫したのかを、「せんりつ」という言葉を使ってワークシートに書きましょう。

ワークシート

〔共通事項〕を思考・判断根拠としてどのように思いや意図をもったのか、またどのように味わって聴いたのかが分かるように、3つのポイント(@どこを、Aどのように、Bなぜ)を盛り込んだワークシートを作成しました。

表現のワークシートには【工夫マップ】、鑑賞のワークシートには【部分マップ】に、@どこを、Aどのように感じ取ったのかが書き込めるスペースを設けました。更に表現及び鑑賞どちらのワークシートにもBなぜそのように感じたのかについて〔共通事項〕と関連させて考えたことを記述する欄を設けることにより、題材を通して児童の思考・判断の流れが同じになり、前の学習と関連させながらスムーズに書くことができると考えました。(資料1、資料2)また、それを音楽表現の創意工夫の評価にも生かすことができると考えました。

   資料1 表現のワークシート「ふじ山」(歌唱)       資料2 鑑賞のワークシート「白鳥」(鑑賞)   


※上記の3つのポイントに留意したワークシートの他にも学習の活動内容や児童の実態に合わせて、児童がほぼ「おおむね満足できる」状況(B)になるような手立てとなる補助的なワークシート「作曲シート」資料3)や早く終わっている児童が更に音楽の力を伸ばせるような「チャレンジシート」資料7)なども準備しました。

資料3 音楽づくりにおけるグループ活動用のワークシート

グループ創作用の「作曲シート」
                               

資料3は、グループ創作用の「作曲シート」です。まず2小節ずつのカードに、ソ、ラ、シ、ド、レの5音から必要な音を用いて組み合わせた簡単な旋律をつくらせ、「メリーさんの羊」の反復のある8小節の楽曲構成を参考にしながら組合せを考えさせました。このワークシートは、資料4の個人用のワークシートを書く前に、そのカードをグループで考えて構成させたものです。
  3年生ではまだ旋律創作の経験のなかった児童の実態に合わせて、2小節単位で旋律を創作させ、「メリーさんの羊」を参考にしてグループで話し合いながら構成を考え、反復を生かした8小節の音楽をつくらせました。

グループ活動にしたのは、一人で創作するのが難しい児童にとってもグループの話し合いに参加しながらつくっていくことで、自分も旋律づくりに参加して協力してできたという達成感を味わわせるためです。

この後、個人の音楽表現の創意工夫や技能を評価できるようなワークシートを書かせました。(資料4)

          資料4 音楽づくりにおける個人用ワークシート

資料4は、同じグループの二人の児童のワークシートを並べています。同じグループの同じ作品であっても、一人一人の思いや意図には、それぞれの持ち味や個性があります。それらを見取ることができるように工夫しました。
〈音楽表現の創意工夫〉
  階段のように、上行の旋律にした理由について、左の方は「ユニコーンがだんだん高くとんでいく感じにしたかった」、右の方は「階段みたいに高くなったらかっこいいと思った」と書いています。作品は同じでも、一人一人の児童の思いや意図を書かせることで、音楽表現の創意工夫の評価にも生かすことができると考えました。
〈音楽表現の技能〉
  楽譜は、5/6時間目に各グループが創作した作曲シートの曲を基に作成しました。反復を生かした構成である5〜6小節目を空欄にして、その部分を記譜させることで、反復を生かした構成を理解して、音の高さやリズムを正しく書くことができているかどうかなどの音楽表現の技能も評価できるようにしました。

   次の資料6資料7は、グループでつくった曲(資料5)を基に、同じ児童が書いたワークシートです。児童の実態に応じて「チャレンジシート」を活用した例を紹介します。
資料5 グループ創作用の「作曲シート」

                                        

 

資料6 音楽づくりにおける個人用ワークシート   資料7 「チャレンジシート」

全員の評価は、題材6/6時間目の資料6で行いました。
   資料7のワークシートは、5/6時間目に使用しました。創作が早く終わったグループが出てきたとき、その時間を有効に使うために、「グループごとに旋律を歌ったりリコーダーで吹いたりしましょう。」「また、早く終わって歌ったりリコーダーの練習ができたりした人は、チャレンジシートに挑戦しましょう。」と指示を出して、意欲や記譜の能力の高い児童を見取る補助的な評価の資料として役立てました。クラスの児童の実態に応じて、資料6を使わないで全員に資料7のワークシートを使って評価することもできると考えます。

 
 C指導法の工夫をするための音楽の学習環境づくり

このように〔共通事項〕をよりどころとして、表現と鑑賞の関連を図った指導法の工夫を進めていくためには、その授業を含め、授業と授業を〔共通事項〕でつないでいく音楽の学習環境づくりも大切と考えました。音楽の授業の中で、児童の十分な音楽活動時間を確保するためにも、〔共通事項〕の内容について、その都度説明しなくていいように、日頃からそれらの要素に親しみ、理解を助けるような環境づくりはとても大切だと考えています。

  音楽の学習環境づくり


○〔共通事項〕の音楽を形づくっている要素について、日頃から親しみがもてるように、音楽室などに掲示しておく。
  

低学年においては、難しい音楽用語をそのまま使うのでなく、分かりやすく具体的な例を挙げながら授業の流れの中で話すことが大切だと考えています。

中学年になると、音楽の各要素について、構造的なことも少し理解できるようになってくるので、本研究においては、「音楽を形づくっている要素」を、家に例えて、家を形づくっている屋根や窓、壁などが音楽の「音色」「リズム」「旋律」などの要素にあたり、音楽を形づくっていることを音楽室の掲示物で示したり、話して聞かせたりしました。

〔共通事項〕は、表現及び鑑賞のすべての活動において共通に指導する内容であり、低学年の学習から高学年の学習への橋渡しにもなります。

このような音楽の学習環境をつくることは、〔共通事項〕をよりどころとして表現と鑑賞の関連を図った指導法の工夫をしていく上で必要なことだと考えました。

      

       

       

                     ※教育出版 小学音楽 音楽のおくりもの3年生の教科書を参考に作成しています。

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