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2 研究の実際
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(4)実践事例 |
実践事例 A |
本単元では、授業モデルを基に、主に展開1と展開2、終末に表現する活動と伝え合う活動を位置付けました。展開1と展開2では、「おきゃくさまカード」を使って気付きを表現させ、それを基に自分たちの班の「おみせ」のよさについて、終末では友達への賞状作りを通して自分のよさや成長についての気付きを促す手立てを取りました。 |
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1 |
単元名 「みんな たのしい 『○○フェスタ』」 (第2学年11月実施) |
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2 |
単元の目標 |
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友達と協力して、『○○フェスタ』での遊ぶ「おみせ」を作り、来てもらった人々に楽しんでもらったり、自分で楽しんだりすることができる。 |
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3 |
単元の評価規準 |
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・『○○フェスタ』に関心をもち、進んで「おみせ」の準備や役割に取り組み、参加しようととする。 |
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(生活への関心・意欲・態度) |
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・『○○フェスタ』で楽しむための計画を考え、楽しかった活動について、表現できる。 |
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(活動や体験についての思考・表現) |
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・『○○フェスタ』の計画や準備、参加を通して、人とかかわるよさや自分のよさに気付く。 |
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(身近な環境や自分についての気付き) |
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4 |
単元の指導計画(全11時間) ※ 「学習のめあて」から各時間の指導略案にリンクしています。 |
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学習過程 |
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具体的な評価規準 |
※ |
【関】・・・関心・意欲・態度 |
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【思】・・・思考・表現 |
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【気】・・・気付き |
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導入 |
1 |
みんなたのしい 「おみせ」を考えよう |
○ |
『○○フェスタ』でみんなが楽しく遊びができる班の「おみせ」を考える。 |
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・ |
班の「おみせ」の方向性について話し合う。 |
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【思】 |
持ち寄った遊びを基に班の「おみせ」についての自分の思いや考えを表すことができる。(ワークシート・対話・発言) |
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2 |
「おみせ」作りの けいかくをたてよう |
○ |
「おみせ」作りの詳しい計画を立てる。 |
○ |
準備する物や役割を決める。 |
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(班で話し合う) |
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【関】 |
「おみせ」作りに必要な物や役割について意見を出したり、役割について決めたりしようとする。(発言・班のワークシート・行動観察・対話) |
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展開
1 |
3・4 |
「おみせ」作りをしよう |
○ |
「おみせ」を開く準備をする。 |
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(必要な物を作る) |
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【関】 |
自分の役割や班全員でする活動に進んで取り組み、「おみせ」に必要な物を作ろうとする。(発言・行動観察・対話) |
【思】 |
自分たちの班の遊びの説明を友達に分かるように表すことができる。(ワークシート・対話) |
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5・6 |
『ちょこっとフェスタ』をしてみよう |
○ |
『ちょこっとフェスタ』をしてみる。 |
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・ |
「おみせ」の側とお客さん側と交代で行う。 |
○ |
気付いたことをお互いに伝え合う。 |
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【気】 |
他の班や自分たちの「おみせ」の工夫やお客さんへの接し方のよさや改善点に気付く。(おきゃくさまカード・発言・ワークシート・対話) |
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展開
2 |
7 |
「おみせ」をパワーアップしよう |
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【関】 |
よりよい「おみせ」にしようと改善したり工夫しようとしたりする。(発言・行動観察・対話) |
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8・9 |
『○○フェスタ』で「おみせ」をがんばろう |
○ |
『○○フェスタ』をする。 |
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・ |
「おみせ」の側とお客さん側と交代で行う。 |
○ |
気付いたことをお互いに伝え合う。 |
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【思】 |
お客さんが喜ぶような対応を工夫することができる。(行動観察・ワークシート・対話) |
【気】 |
他の班や自分たちの班の「おみせ」の工夫や接し方などのよさに気付く。(おきゃくさまカード・発言・ワークシート・対話) |
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終末 |
10・11 |
『○○フェスタ』の「がんばった」をつたえよう! |
○ |
『○○フェスタ』の楽しかった思い出を基に、友達の頑張りを伝え合う。 |
○ |
班で、友達の頑張りについて、お互いに一人ずつ賞状を作り、渡す。 |
○ |
単元を振り返っての振り返りカードを書く。 |
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【思】 |
本単元での自分の活動を振り返り、友達や自分の頑張りやよさについて考え、絵や文で表す。(発言・対話・班のワークシート・賞状) |
【気】 |
「おみせ」作りやお客さんへの対応を通して自分の頑張りや成長などに気付く。(振り返りカード・対話) |
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5 |
授業後の考察 |
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(1)導入段階における表現する活動と伝え合う活動 |
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本単元の導入段階では、自分の思いや願いや、班での方向性を明確にもつために、表現する活動と伝え合う活動は位置付けています。班で話し合う前に自分の考えを表現しておくことで自分の思いや願いが明確になり、班で話し合う際に伝えたいことがお互いにはっきりと見えるので話がしやすいということにつながりました。また、班で話し合う際に、お互いに見せ合うことができるので班の「おみせ」づくりの方向性が決めやすいものとなりました。 |
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(2)展開段階における表現する活動と伝え合う活動 |
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展開1では、本番前に「おみせ」を試しに行うとき(『ちょこっとフェスタ』)、展開2では、本番の『○○フェスタ』の際に他の班の「おみせ」に行ったとき、「おきゃくさまカード」を用いて気付きを表現し、伝え合う活動を設定しました。
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○ |
「おみせ」を試しに行う『ちょこっとフェスタ』では、遊びそのものへの気付きが多かったものの、「説明の仕方が上手ですね。」「みんなで協力していているところがすごかったです。」などのように、遊び以外の視点(文中下線部)についての気付きも見られました。 |
○ |
遊びそのものへの気付きも「落とし穴や深い壁を作っているところがすごいと思いました。」「もうちょっと点数を減らしたほうがいいかも。」などのように具体的な部分(文中下線部)について、自分たちの班の遊ぶ物や「おみせ」と比べて気付くことができるようになってきたと考えます。 |
○ |
中には「迷路が楽しかった。」「射的がおもしろかった。」で終わっている記述も多く(「おきゃくさまカード」全体の45%)気付きの質が高まったとは言い難い状況でした。表現したものを活用し、児童が尋ね合うなどの活動の工夫や、教師が対話し引き出す支援を行う必要があったと考えます。 |
○ |
自分たちの「おみせ」のよさについては、「遊びの説明がよくできました。」「いろいろなおもちゃがあってよかった。」など78%の児童が記述ができていました。このことから、遊びを楽しむことより、「おみせ」をすることへの楽しさへ意識が向いてきたように感じました。このような児童の気付きの変化から、気付きの質が高まりつつあったのではないかと考えました。 |
○ |
本番の『○○フェスタ』では、「おみせ」をすることへの意識が強く、また、『○○フェスタ』が全校あげての行事であり他の学年の発表を聞いたりする活動もあり、他の班への「おきゃくさまカード」を書くまでには至りませんでした。しかし、他の学年の人や地域や保護者の方々から「まさか、ストローを使ってサッカー遊びを考えるなんて、びっくりしたよ。」「○○さんと○○さんが協力してお客さんし接していたのですごいなあと思いました。」「『おみせ』屋さんが優しく教えてくれました。ありがとう。」などの「おきゃくさまカード」を多くもらい、お客さんと接することの楽しさや喜び、班の友達や自分の頑張りについての記述を94%の児童ができました。 (下記の記述例を参照) |
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『○っ子フェスタ』終了後のワークシート記述例 (文中下線部は自分自身への気付きの部分)
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お客さんがたくさんだったので嬉しかったです。○○さんがいなかったのでたいへんだったけど、頑張りました。あとで○○さんがきてくれたので嬉しかったです。 |
・ |
フェスタで一番楽しかったことが「おみせ」をすることです。あまり迷路は売れなかったけど、楽しかったです。来年もあったらいいなと思いました。 |
・ |
僕の「おみせ」は幼稚園生にすごく人気でした。だからよかったなと思いました。みんなのも人気だったからすごいなと思いました。3年生になったらフェスタをもっともっと楽しいフェスタにしたいです。 |
・ |
フェスタで僕が作った的あてがすごくすごく人気で、おもしろいねという1年生を見て僕はとっても嬉しかった。 |
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上記のような記述から、自分たちの頑張りや、考えたことの有用感を味わうことができたことに気付いている姿がうかがえます。自分の班や自分自身のよさや特徴について気付くことができ、気付きの質が高まった状態であったと考えます。 |
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資料1 「8・9/11」時のワークシートの記述例 |
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(3)終末段階における表現する活動と伝え合う活動 |
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終末段階では、まず、単元を通した活動についての振り返りを行い、班の友達同士でお互いの頑張りやよい考えなどを賞状に表して渡す活動を行いました。そして、振り返りの時間を設け、自分の頑張りについて振り返り考えたことを振り返りカードに表現する活動を設定しました。 |
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○ |
これまで表現してきたワークシートの綴りや「おきゃくさまカード」、「○○フェスタ」本番での写真などを手掛かりに、班の中でお互いのよさを話し合い、班の友達への賞状を作成し、みんなで表彰する活動を行いました。そして、振り返りカードへの記入をさせました。ほとんどの児童が単元を通した自分の活動に充実感を味わい、自分の頑張りや上達したこと、考えたり作ったりできるようになったことなど、自分のよさや成長に気付くことができました。 |
○ |
班で話し合い、お互いのよさについて口頭で伝え合ったり、班のワークシートに記述したり、賞状のように目に見える形にしたりして、気付いたことを表現し伝え合う活動が、自分への気付きをさらに促すことにつながったと考えます。 |
○ |
最後に、自分への気付きを振り返りカードに表すことで自分のよさを実感し、自分への自信をもつことができる学びとなったと考えます。95%の児童が自分の頑張りや成長についての記述を書くことができました。 |
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写真1 「10・11/11」時
班での振り返りの様子 |
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写真2 「10・11/11」時
賞状作成の様子 |
資料2 「 10・11/11」時
作成した賞状の例 |
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最終更新日:2011-03-30 |
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