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授業…目標,学習者,教材の三要素と教師の指導により成立 |
(1) 本研究委員会における指導目標の明確化のポイント
本研究委員会では,指導目標の具体化・明確化の一方策として,モデル文(例文)の作成に取り組んだ。
○モデル文(例文)を作成することにより,学習目標を達成した児童の姿がより具体化(どのような作文が書ける児童とするか)できることから,評価規準もより具体化できる。 ○目標とする作文を書かせるために,1単位時間ごとの指導をどう積み上げていくか,1単位時間内での指導をどう具体化していくかなどを,指導過程をより細かいステップで検討,確認することができる。 |
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@児童に書かせたい文章について具体化する。 →文種,テーマ,必要な取材,文章の長さ,段落,言葉遣い 等 |
A児童の実態(児童が書くことができる文章レベル)から,具体的な目標(高めたい文章レベル)を想定する。 |
B児童にとって,「学習のねらい」がとらえられやすいものであるかどうか検討する。 |
C児童の学習意欲を喚起できるようなものであるかどうか検討する。 |
D児童の多様性に対応するために,複数の例文を作成する。 |
E作成した例文について検討する。(必要があれば練り直す。) →指導者にとって作成する上で困難だった点は,児童にとっても書きにくいところであり,指導場面においても,特に工夫が必要な箇所である。 |
○単元の指導目標・評価規準 | 学習指導要領 →教科の目標・内容 →学年ごと・領域ごとの目標・内容 |
指導要録 →教科の評価の観点及び趣旨 →学年ごと・領域ごとの観点及び趣旨 |
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国立教育政策研究所の参考指針 →内容のまとまりごとの評価規準及びその具体例 |
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学校の教育目標・教育課程 →年間指導計画の作成 →学習指導要領解説書の理解 →教材研究(教科書教材の検討,投げ込み教材の検討) |
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○単元の指導計画・評価計画 | 単元の指導過程の構想・設計(指導計画) |
指導展開に応じた評価場面の設定 | |
具体的評価目標の設定,評価用具の選定 | |
判定基準の設定(評価基準表の作成) | |
評価方法の検討 @観察法…行動,発言(発表・つぶやき・感想) A作品法…ノート,ワークシート,作文(メモ,構成,下書き…) B評定法…ある基準に従って分類,段階づける方法 C自己評価法,相互評価表…評価票,自由記述 Dテスト法…ペーパーテスト,実技テスト Eその他…対話,ポートフォリオ,視聴覚機器による記録(ビデオ,テープレコーダー),他教科や日常生活での様子 等 ※これらを4観点ごとに適正を考えて使い分ける |
※ 1時間の授業の中,単元の中での評価→指導目標・内容・評価項目の焦点化→補助簿 |
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(1) 児童(学習者)の実態把握における留意点
○「書くこと」に関しての関心・意欲・態度 | 文章を「書くこと」の好き・嫌い →作文活動への意欲はどうか |
児童と題材(テーマ)とのかかわり →児童が興味をもっている題材(テーマ)はどんなものか →児童に取り組ませたい題材(テーマ)はどんなものか |
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○「書くこと」に関しての技能 | 作文活動における取材力,構成力,叙述力,推敲力,語彙力 等 →指導要領と実態から,どのような力を付けさせるべきか(この時期に付けさせたい力,付けさせておくべき力) →学習活動においてはどのような支援が必要か →取り立て指導の時間での実態はどうか |
文種の違いによる得意・不得意 →どのような文種に取り組ませるべきか →これまでにどのような文種の経験があるか |
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日常生活における書く場面での実態 →他教科や家庭学習における実態 →速写力,聴写力についてはどうか |
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○国語科の他領域における技能・態度 | 「話すこと・聞くこと」「読むこと」「言語事項」 →効果的な関連指導はできないか →単元において他の領域との関連は(討論会を受けての意見文,読書感想文 等) |
○学習に関しての関心・意欲・態度 | 児童が好む(児童に経験させたい)学習形態 →書く活動の生かし方 |
(2) 「書くこと」に関する実態と指導計画における留意点
【3年生】
「書くこと」に関しての実態 | 指導計画における留意点 | |
○主題意識が十分でない(主題の掘り下げの姿勢ができていない) | ![]() |
○単元を通して,主題意識をもって「書くこと」に取り組ませたい |
○一つのことを詳しく書けない(書いているうちに他のことになってしまう) | ![]() |
○段落の一つ一つを充実させたい ○計画的に書き進めさせたい |
【6年生】
「書くこと」に関しての実態 | 指導計画における留意点 | |
○「何を」「だれに」伝えようとしているのかが不明瞭 | ![]() |
○目的意識,相手意識をもって「書くこと」に取り組ませたい |
○意見文の構成要素である「意見(主張)」「理由」「根拠となる事例(事実)」「複数の立場からの考え(視点)」のいずれかが欠けている | ![]() |
○意見文の構成要素の一つ一つを意識しながら書いていくようにさせたい ○複数の立場に目を向けて考えを述べさせたい |
○理由やその根拠となる事例がはっきりしない ○理由やその根拠となる事例が意見(主張)につながらない |
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○意見(主張)の理由やその根拠となる事例(事実)の書き方を身に付けさせたい |
○書き出しとまとめの部分がつながっていない | ![]() |
○書き出しからまとめの部分まで,一貫性のある文章を書かせたい |
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(1) 素材の教材化
「ごんぎつね」という物語は,そのままではひとつの読み物である。指導者が,学習者にある一定の能力を身に付けさせることをねらって単元や授業を組織化し,さらに学習者の働き掛けがあってこそ教材と言える。「書くこと」領域においても,児童の思いや考えをどのような文種で,どのような活動を通して書かせるかといった単元や授業の組織化が重要である。本研究委員会では,児童の実態から,「論理的な文章」を書く単元の開発に取り組むこととし,各学年に応じた文種について考えた。 |
素材 | ![]() |
指導者側のねらい 学習者の働きかけ |
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教材 | ||
そのものの もつ価値 |
素材を使って →どんな教育目標を達成するか →どんな言語能力を育てるか |
素材の吟味について ○言語要素的側面 ○内容的側面 ○言語活動的側面 |
どのような能力を付けるのに適しているか(技能面,態度面) |
どのような活動を仕組むことができるか | |
児童の実態に適しているか(興味・関心,技能) | |
そのまま使えるか,作り替えた方がよいか |
(2) 文種の選定について(今回,第3学年における実践で取り上げる教材の文種「紹介の文章」)
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「紹介の文章」の構成要素 | 3年生での取組における具体的指導内容 |
表題−内容を集約して端的に表す | ○読み手の興味を引くように工夫した題名 |
前文−目的,動機,計画等を書く | ○紹介したい理由 等 |
本文−事実と意見・感想を区別した書き方 ※問題点を明確にする ・小見出しを付ける ・図表を用いる ・箇条書きを活用する ・常体で書く |
○どこにあるか→道順,目印など ○その場所(もの)の様子 ○伝えたい(知ってほしい)こと1つめ,2つめ… ○何ができるか ○その他(付け加えとして伝えたいこと) |
結び−問題点の整理,結論,結果,反省 ※問題設定と結論の整合性 |
○読み手への呼びかけ 等 ○その他 |
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